らいぶらりぃ
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村治佳織ギターリサイタル(神戸公演)

●日 時1998年7月6日(月)19時開演
●会 場神戸田崎ホール
●出 演ギター:村治佳織
●曲 目バリオス/大聖堂
     森に夢みる
ロドリーゴ/3つのスペイン風小品より ファンダンゴ
      祈りと踊り
ポンセ/南のソナチネ
武満徹/すべては薄明のなかで
アルベニス/コルドバ
      セヴィーリャ
テデスコ/ソナタ二長調Op.77「ボッケリーニ賛」
(アンコール)
ロドリーゴ/小麦畑
      古風なティエント
禁じられた遊び

 7月は、村治佳織さんのツアーの月であります。関西でも、神戸・奈良・大阪・京 都で合計4回の公演がありますが、その全てに行こうという、何とも無謀な(?)こ とを企んでいる私です。(^^;)(注:後で気付いたのですが、実際は、姫路でも公演が あったので、計5回、となります。私のチェック漏れでした…)

 さて、私が佳織さんの演奏を生で聴くのは、今回が初めてなんです。それまでも、 評判などは聞いていて、それなりに注目はしていました。そこへ、彼女の演奏会へ 行ってきたという友人が、「彼女、すっごくいいですよぉ」としきりに薦めるので、 CDを買ってきて、聴いてみて、…惚れました。(*^^*) CDの演奏からも、確かに 何か、天性の才能というものがはっきりと感じられ、これはぜひ、機会があれば生で 演奏をお聴きしたいと思っていたのでした。

 そして、いよいよ、その日がやってきました。関西ツアー初日は神戸。ポートアイ ランドにある田崎ホール(田崎真珠株式会社さんの運営しているホールです)が会場 です。ここは、200人くらいのキャパという、小さなホールですが、小じんまりと した雰囲気が、いいですね。

 やがて、開演。佳織さんが舞台に現われます。…可愛いっ!(*^^*) というのが第 一印象。しかし、彼女の魅力は、その可愛らしさだけではありません。CDでも聴い たあの音色、生で間近に聴くと、より鮮明に私達の心を打ちますね。最初の曲は ちょっとまだ調子が出ていなかったのか、やや不安定なようにも聴こえたのですが、 次の曲からはもう、実力全開!です。「森に夢みる」の美しいテーマ、しみじみとし た響きが、すうっと心に浸み入ってくるようです。また、ギターと言えばロドリー ゴ、ということで(何と単純な発想だ…)、この「祈りと踊り」って、いいですね。 CDにも入ってましたけど、改めて気に入りました。それに佳織さんの赤い衣装が、 どこかスペインっぽさを出していて、曲の雰囲気にまさにぴったり!です。ボンセの ソナチネも、ギターってこういう曲も演奏できるのねぇ、ということを知らされまし た。(何せ、ギターの曲って、あまり聴かないもので…^^;)で、彼女の演奏ですが、 あまりよくは知らない曲ではあるにせよ、その曲に正面から向かって、自分のモノと して表現しようとしてはるのが、伝わってきます。その真剣に音楽と向かい合うまな ざしは、まさに真剣そのもの。可愛らしさとは違う、素敵な魅力がそこにはありま す。ますます、惚れ惚れとしてしまいますねぇ…(^^;)

 後半では、武満が印象的です。まさに薄明、夜明け前のしじまを描写しているよう で、静寂感にあふれた曲ですね。この音世界を、佳織さんのギターは、音をとても大 事にしながら、繊細かつ丁寧に再現していきます。こういう曲は、私は好きです。そ の次のアルベニスも素敵です。こちらもすぐにスペイン!と分かるような曲風です ね。南国のイメージたっぷりという感じの素敵な演奏でした。そして、最後のテデス コのソナタ、結構な大曲ですね。どの曲でもそうですが、pのところはうんと小さ く、全く聴こえなくなるくらいにまで音量を落とし、fのところは、はっと目を見開 く程の大きな音量で出し、そのメリハリのきいた演奏が、すっごくいいですね。そし て、叙情的なメロディーなんかが出てくると、それはもう、うっとりとするくらいに たっぷりと歌い上げているので、もう、聴いている方も夢見心地に、気持ちよくなっ てきます。佳織さんの演奏は、その技術的な面だけでなく、表現的な面でもほんと、 超一流と言っていいように思います。さすが!です。

 終演後は、サイン会。もちろん、私もしっかりとサインをいただいてきました。こ んな間近に彼女を拝見できるなんて、まさに夢のようですね。幸福感に満ち足りた一 時でありました。(^^;) (今回の演奏会は、どうも、彼女の美しさに見とれていたと いうこともあって(おいおい…)、あんまり冷静に聴けてないような気がしていま す。次回の奈良公演も同じプログラムだったと思いますが、今度はもうちょっと落ち 着いて聴けるでしょう、たぶん。)