らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年7月23日(木)19時開演 |
●会 場 | 神戸文化ホール・中ホール |
●出 演 | ソプラノ:並河寿美 |
ピアノ:山村千加 | |
●曲 目 | 成田為三/浜辺の歌 |
中田喜直/夏の思い出 | |
大中寅ニ/椰子の実 | |
平井康三郎/平城山 | |
滝廉太郎/赤とんぼ | |
山田耕筰/この道 | |
曼珠沙華 | |
チェスティ/私の偶像である人の回りに | |
ドナウディ/私の愛の日々 | |
明るい懐かしの地は | |
レオンカヴァルロ/朝の歌 | |
マスカーニ/アヴェ・マリア | |
トスティ/暁は光から | |
プッチーニ/歌劇「トゥランドット」より ”お聞きください、王子様” | |
カタラーニ/歌劇「ワリー」より ”さようなら、ふるさとの家よ” | |
プッチーニ/歌劇「トスカ」より ”歌に生き、恋に生き” | |
チレア/歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」より ”私は神の卑しい下僕” | |
ヴェルディ/歌劇「エルナーニ」より ”エルナーニよ、私と一緒に逃げて” | |
(アンコール) | |
ヘンデル/オンブラ・マイ・フ | |
プッチーニ/歌劇「つばめ」より |
昨年の春、カレッジ・オペラでの「トスカ」において、トスカを見事に演じ切った
並河さん、あの時の印象は、若手でありながら、なかなかの実力を持った人だなぁ、
というものでした。私自身は、それ以前から彼女には注目してはいたのですが、「ト
スカ」以後、さらに彼女の魅力にひかれていたのは、言うまでもありません。そし
て、満を持してのリサイタル、さすが、今日もたっぷりと聴かせてくれました。 最初は日本の歌曲シリーズ。明朗な発声が、また言葉もはっきりと聞かせてくれま す。特に印象的なのは、「平城山」や「蔓珠沙華」。ひとつひとつの言葉をはっきり としゃべりながら、ドラマティックなまでに曲を盛り上げていくのは、ほんと、説得 力があります。いずれの曲も我々には、お馴染みの曲ばかりですが、主催者(神戸灘 ライオンズクラブ)側の要求でもあったのでしょうね。親しみやすい曲も並べてく れ、という。その要請に見事に答えた寿美さん、すっかり、聴衆の心をつかんだよう でした。 そして、次にイタリアの歌曲が続きます。どの曲も素敵な曲ばかりですね。「私の 愛の日々」や「朝の歌」で聴かせた、明るく幸せそうな響きが印象的です。彼女の声 の素晴らしいのは、低〜中音域から、高音域まで、非常に安定感があって、ごく自然 な響きを作り出している、というところでしょう。ハリのある声で、これだけ高らか に愛を歌い上げられたら、もう、聴いている方もうっとりとしてしまうというもので す。「アヴェ・マリア」も素敵ですね。曲自体もこの上なく美しい曲ですが、それ を、ぴぃんと一つの響きの線を保ちながら歌ってはるのが、この曲の魅力をさらに盛 り立てています。 後半は、オペラ・アリア・シリーズ。どの曲も、彼女の本領発揮というところで、 実に感動的な演奏でした。特に、トスカは、もう最高!でしたね。昨年のトスカでの 感動もよみがえってきて、その切々とした歌には、つい、ほろりときてしまいまし た。しみじみとした彼女の声に聴き入っていると、脳裏に浮かんでくるのは、昨年の カレッジ・オペラハウスでの公演での彼女の姿、だけでなくて、何故か、昨年のスロ ヴァキア国立歌劇場の「トスカ」での佐藤しのぶさんのお姿。(^^;) そ、寿美さんの 声って、どこか、しのぶさんの声にも似てるような気がするんです。どっしりと安定 のある響き、たっぷりとした声量、表情豊かな表現力、どれをとっても、決してヒケ を取ることはないだろうと思います。一ファンとして、密かにじっと見守ってきた方 が、ここまで大きくなられるとは、ほんと、嬉しいものです。「エルナーニ」もプロ グラムの最後にふさわしく、堂々とした演奏でした。 アンコールも2曲、飛び出し、寿美さんご自身、大満足!といった感じで、華やい だ空気のうちに演奏会は終ったのでした。
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