らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

読売日本交響楽団大坂公演

●日 時1998年7月27日(月)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演アレクサンドル・ラザレフ指揮読売日本交響楽団
ピアノ:迫昭嘉
●曲 目チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ長調Op.23
ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調Op.27
(アンコール)
チャイコフスキー/「白鳥の湖」より 4羽の白鳥

 今回、読売日響を振るラザレフさんは、3年前までボリショイ劇場の音楽監督兼首 席指揮者を務めていた方ですね。それが不本意ながらもボリショイを去ることに なってしまい、それ以後はイギリスを中心に活躍してきたそうで、そんなラザレフさ んの作り出すロシア音楽とは、いかなものか? が今回のポイントです。

 最初は、チャイコのピアノ・コンチェルト。ピアノの迫さんも若手の実力派のピア ニストですね。そのピアノの音は、とてもシャープで、力強いものがあります。1楽 章の堂々とした和音の響きは、なかなかのものでした。が、逆に、力みすぎかなとい うような部分も若干あるようで、自然な音楽の流れが、やや停滞気味に聴こえたよう な部分もあったような気がします。でも、ラザレフさん指揮の読売日響が、それを しっかりとフォローしていきます。ラザレフさんの指揮は、さすが、ボリショイで指 揮をしていただけあって、歌わせ上手ですね。どの楽器もクリアな音で、よく歌って います。2楽章に入ると、それはさらにはっきりとしてきます。迫さんのピアノも、 そのシャープで深い響きで、たっぷりと歌っていきます。まさに白眉の美しい演奏だ ったと言えましょう。それが、3楽章になると、俄然、オケもピアノも、実にパワフル になってきます。今までと打って変わって、音が鳴り出したんです。私が、単に ぼぉっと聴いていたから、そういうふうに聴こえただけなのかもしれませんが、い やぁ、これだけくっきりした響きが出てくるんですねぇ。そのことに、ほぉ、と思い ながらも、そこに展開されていく絢爛豪華な響きに、ずるずると引き込まれていき、 感動的なクライマックスを迎えるのでした。

 が、今宵の感動はこれだけでは終りません。ラフマニノフの2番、この名曲を、ラ ザレフさんは、まさにロシア人の魂を込めるかのように、実に感動的に歌わせていた と思います。決して、中途半端でなく、それはまさに”ソウルフル”な演奏とも言え るでしょう。1楽章は、広大なロシアの大地、そこに寒風が吹きすさぶ、といったよ うな風景が目に浮かんでくるような、激しさがあります。その一方で、弦がじわ〜っ と盛り上がってくるような部分等でのたっぷりとした歌い方、実によく聴かせてくれ ます。どの音も決しておろそかにすることなく、緻密に、それでいて情感的・感動的 に曲を作り上げていく演奏は、実に中身の濃いものです。1楽章が終っただけでも う、お腹いっぱい、という感じになるのでした…(^^;)

 そして2楽章。Hrのひきしまった響きに導かれるように、実にシャープな音で、 曲を作り上げていきます。決然とした意思を持って、前へと進んでいくような、行進 曲風の部分、そして、たっぷりとした響きで思いっきり歌い上げていく部分、この対 比が素敵です。しかし、一番感動的なのは、やはり3楽章。この甘美で綺麗なメロ ディーを、ほんまにたっぷりと官能的なまでに歌い上げていくのです。弦の響きも とってもクリアに冴え渡っていて、また、Clのソロも甘く素敵な音色で、もう、ど こを取っても、文句の一つも言えないほど、素晴らしいんです。うねうねとしながら も、むせび泣くかのような響きを弦が作り出していくのが、とても印象的です。すっ かり、メロメロ状態になってしまうのでした…(^^;) そこへ、感動のフィナーレ、 4楽章。思いっきり明るく、まるで何かが爆発するかのような勢いをもって、はちき れんばかりの演奏が展開していきます。金管の音も高らかに響き渡り、聴く者を興奮 の中へと引きずり込んでいくかのようです。うねうねと展開していくところでも、決 してその勢いが衰えることなく、常に前へ前へと向かっていく、その音楽の組み立て 方は、やはり、素敵ですね。ラザレフさんは、細かな部分でも常に歌わせることを、 忘れていなくて、実に細かく、的確に指示を出してはります。オケもそれに十分に応 えていて、日本のオケでもここまでできるのだ、ということを改めて思い知らされた ような気もします。興奮のうちに全曲が閉じられ、大っきな拍手が沸き起こったの は、言うまでもありません。まさに、本場の味、これがロシア音楽だぁ、というよう なものをはっきりと感じ取ることのできた演奏会でした。