らいぶらりぃ
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N響「夏」'98(大阪公演)
〜オーストリア=ハンガリー 香しきハーモニー〜

●日 時1998年8月1日(土)18時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演イヴァン・フィッシャー指揮NHK交響楽団
●曲 目ベートーヴェン/ロマンス第1番ト長調Op.40
シューベルト/交響曲第7番(旧8番)「未完成」D.759
ベートーヴェン/ロマンス代2番へ長調Op.50
リスト/ハンガリー狂詩曲第1番
ドヴォルザーク/伝説曲〜アンダンテ
ブラームス/ハンガリー舞曲第6番&第5番
バルトーク/ルーマニア民俗舞曲
エネスコ/ルーマニア狂詩曲第1番
(アンコール)
J.シュトラウスII/ポルカ「雷明と電光」

 8月はあまり演奏会の予定がない(はず、これを書いている段階では。^^;)ので す。そんな折、N響が来るということで、ちょっくら行ってくるかな、と軽い気分で 出かけていきました。(ちなみに、N響は、神戸にも来るのですが、どうもその日は 仕事の都合で行けそうにないので、こっちの大阪公演に出かけて行く、という何だか なぁ、という感じではあります。)

 プログラムは、お馴染みの曲がずらりと並んだ、ファミリー向けのような体裁に なっています。前半は、オーストリアものですな。ベートーヴェンもシューベルト も、奇麗な演奏です。でも、それだけ、という感じもしないでもないように思ってし まいます。何が悪いなんてことは決してないんです。N響の音もとってもクリアで、 大阪のオケとはやっぱりちゃうなぁ、ということを改めて実感させられますし、素敵 な演奏なのですが、ごく無難な、普通の演奏という感じで、どこか満たされないよう な気になるのでした…(ま、私の感覚が、ちょっと麻痺しているのかもしれない、と いうこともあるのですが…^^;)

 が、後半のハンガリーものになってくると、俄然、演奏は色めきだってきました ね。やはり、ハンガリーの名指揮者である、フィッシャーさんの血がたぎる、という ものなのでしょうか。演奏に熱いものが流れてきたように思います。特に、最後の2 曲、バルトークとエネスコはよかったですねぇ。どっちもルーマニアの舞曲なの が、?という感じもしますが(^^;)、まさに、民族舞踏、血が湧き立つかのような勢い をもって、前へ前へと音楽が進んでいくのです。その密度の濃さには、思わず、身を 乗り出してしまうほどでした。圧巻は、エネスコ。あの急速な展開に、N響もよくつ いていったなぁ、というほどで、なるほど、プログラムの最後に持ってくるのが、う なずけるだけの、まさに情熱的な演奏だったと思います。

 また、別の意味で、おぉ!と思ったのは、ブラームスです。有名な2曲が披露され たのですが、これ、実はフィッシャーさんがアレンジしたものなのだそうで、そのア レンジがまた、とっても素敵なんです。よく、大編成のオケがアンコールなんかで演 奏する時の版と違って、ああいうぶ厚い感じではないんですね。小〜中編成のオケ用 のアレンジといった感じで、余計な音が一切ない、だから、そのシンプルさが生きて いて、ブラームスの室内楽にも通じるような、純朴さのようなものを感じたのは、私 だけでしょうか…

 …というようなことで、最後の方にくるに従って、段々と盛り上がってくるよう な、演奏会でした。(^^;)