らいぶらりぃ
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不思議ピアニスター

HIROSHI Piano Live

●日 時1998年9月2日(水)19時開演
●会 場フェニックスホール
●出 演ピアノ:HIROSHI
●曲 目演奏会用ディズニー組曲〜超絶技巧編(*)
モンサルバーチェ/ぎらぎら星(*)
ドビュッシー/月の光
ベートーヴェン=レノン&マッカートニー/月光ミッシェル(*)
リスト/ゲゲゲのカンパネッラ(*)
美空ひばりの主題による6つの楽章(*)
50年目のラブレター(HIROSHIオリジナル)
グラナドス/「ゴエスカス」より 嘆き、またはマハと夜鶯
ごめんね…(HIROSHIオリジナル)
迷子の迷子の子猫ちゃんふんじゃった(*)
モーツァルト/アイネ・クライネ「スーダラ」ムジーク
ムソルグスキー/「展覧会の絵」より
  ハーバ・セガーの小屋、キエフの大門
マーキュリー/ボヘミアン・ラプソディ(*)
(アンコール)
水戸黄門のテーマ
ショパン/エチュード「革命」
(*)は、HIROSHIの作・編曲になるもの

 話題沸騰中のピアニスター、HIROSHIさんの登場です。普通のピアノのリサイタルな んかとは違う、彼ならではの世界というものを体験すべく、行ってきました。

 で、とにかく面白くて、楽しい!の一言につきますな。(^^;) 何が素晴らしいっ て、ネタをたくさん持っていらっしゃっていて、それを巧みに、自由自在に操る妙技 というものは、まさに「ピアニスター」ならではのものでしょう。特に凄かったの は、会場のお客さんからのリクエストに応えての、即興のメドレー演奏。しりとりの 形で、曲のリクエストを…として、挙がってきたのは、「ダイアナ」〜「夏は来ぬ」 〜「ぬ(む?)すんでひらいて」〜「DEPARTURES」〜「ずんどこ節」〜「終止符」〜 「フニクリ・フニクラ」というもの。童謡・民謡にオペラものにGlobeの歌まで、幅広 いメドレーとなりましたが これらを、ちゃぁんと順番に弾いていくのですから、大 したものです。その器用さというか、即興のアレンジの才には、おぉ|と感心しま す。言われてすぐに、その曲を、もちろん暗譜で弾けるというのもすごいですし、そ れらを、ふっとしたきっかけを逃さずに、次へとつないでいく巧みさも、さすがで す。うむ、絶大な人気があるというのも分かります。

 が、そういうアレンジものや、ポピュラー系の曲だけでなく、ちゃんと(?)クラ シックの曲も演奏しはるのが、また、さすがというわけで、今回は、「月の光」や 「展覧会の絵」等を真面目に(?)弾いてくれました。(もっとも、「展覧会の絵」 については、かのホロヴィッツが、譜面通りでなくして弾いた時のを、再演しはった ようですが…)真面目に弾いても、これだけ弾けるんじゃない、という力を見せてく れていたと思います。ただ、純粋にこれをクラシックの演奏として聴くと、どこか物 足りなさを感じてしまうのは、私だけでしょうか。技術は、確かに素晴らしいものを 持ってはるのですが、どうも、歌わせ方がちょっと…という感じは拭えないように思 います。「月の光」だって、もうちょっとゆったりと、秋の月の光を連想しながら、 たっぷりと響かせることもできたのでは…?とも思うのです。ま、あまりそういうこ とにはこだわらない方が良いのかもしれませんが。

 あと、いいなと思ったのは、今回2曲演奏された、オリジナルの曲。どちらの曲 も、どこかで聴いたような感じもするのですが、それが、聴く者の心にしっとりと訴 えかけてきますねぇ。こういう分野でも、あるいはその才能を発揮されるのでは…? とも思えてきます。

 演奏会の途中には、そういうアレンジの秘訣などについてのレクチャー(?)もあ りました。長調の曲は、短調にしてみたり、沖縄音階、アラブの音階にしてみると面 白い、ということで、「ぞうさん」や「かえるの歌」を題材に、いろいろとアレンジ して聴かせてくれます。ま、調を変えて遊ぶということ自体は、私も個人のレベルで は、いろいろとやって遊んでいるのですが、まさにそれと同じようなことをしてはる のですね。自分と同じようなことを考えてはる方がいらっしゃる、というだけでも、 心強くなってくるというものです。(何のこっちゃ…^^;)

 最後の圧巻は、アンコールでの「水戸黄門」のテーマ。これを、バッハの「トッ カータとフーガイ短調」や、ベートーヴェンの「エリーゼのために」等々に乗せて弾 いてしまうのです。そのころころと曲が変わっていくのは、まさに万華鏡を見るかの ようです。注意して聴いておかないと、いつ、曲が変わったのが、分からないという のが、ポイントですね…(^^;)

 何はともあれ、よう笑えた演奏会でした。(^^;)