らいぶらりぃ
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朝日新聞創刊120周年記念

第4回朝日名曲コンサート(昼の部)

●日 時1998年9月6日(日)14時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演小林研一郎指揮大阪シンフォニカー
ピアノ:大川内玲子
●曲 目ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン」
(アンコール)
ダニー・ボーイ

 朝日名曲コンサートは、私は毎回、夜の部を買っていたのですが、今回は、友人か ら、昼の部のチケットが余っているから、一緒に行かへん? と言われ、つい、その 手にのってしまったのです… サイトウキネンを前日に聴いて、朝早くに向こう(松 本)を出てきて、という強行軍です。しかも、自分の買った夜の部のチケットも生き ているので、昼夜の2つの公演を聴き比べすることになってしまいました。(あぁ、 何やってんだか…^^;)

 で、まずは「皇帝」です。ソリストの大川内さんは、夜の部のソリストの南祐子さ んとデュオを組んで活動していらっしゃるのですね。だから、お2人でダブル・キャ ストをしてはるのですね… 大川内さんのピアノは、タッチがやわらかくて、いかに も女性らしいというようなものを感じさせます。が、それが、この曲では逆に仇に なっているような気もします。冒頭の部分からして、どこかふわふわとした感じで、 「皇帝」というこの曲の名にはちょっと似合わないように思うのです。それが以後、 ずっと続いて、特にfになる部分では、音の扱いもちょっと雑になりがちで、あれぇ …という感じは拭えません。それに、フレージングも、どこか、途切れがちで、ブレ スが短いというか、一節弾く度に、それで節が終わってしまい、曲として次へと続い ていかないんですね。一生懸命に弾いてはるのは、よく分かるのですが、う〜む、と 唸ってしまいそうになります。でも、2楽章は、その優しいタッチが十分に生きて、 実に奇麗な演奏にまとまっていたと思います。こういう、甘美的な、或は女性らしい 曲の方が、彼女には向いているのではないでしょうか。彼女のピアノには、ベートー ヴェンならば、例えば、4番コンチェルトの方が向いているのではないかしらん、と 思います。

 後半は、「オルガン」です。ま、電子オルガンですから、以前にシンフォニーホー ルで聴いたのとは違うわな、と思うていたのですが… なかなかどうして、かなり力 の入った熱演でした。シンフォニカーの持つ若々しいパワーというものが、コバケン さんの情熱いっぱいの指揮により、炸裂(?)していたと思います。最初の方でこ そ、多少、リズム感が掴めないのか、もたつくような部分も見られたのですが、後半 楽章に入ると、それは解消、葛藤から歓喜へと至る道を、一気に突っ走って行くよう でした。心配された電子オルガンの響きも、なかなかいい具合に、ごぉ〜っと響いて きて、いい感じを出していました。前半楽章後半で、その低音がじわ〜っと響いてく るのは、さすが、いいなぁ、と思います。

 総じてなのですが、先に書いたように、今回は私の持っている本来の席(この一連 の演奏会の券は通しで買っており、全てが同じ席なのです。で、私の席は2Fの左側 の前の方なんです。)とは違って、1Fの左側後部という、このホールのデッド・ ゾーンとでも言うべき所で聴いていたのです。そのため、いつもとちょっと違うふう に聴こえたのも、事実です。「皇帝」の方で、オケの音がもっと響いてきてもいいの にぃ、と思った部分はたくさんありました。また、ピアノの響きが物足りなく聴こえ たのも、そこに原因があるのかもしれません。それでも、「オルガン」の方は、その デッド・ゾーンの壁を打ち破って、かなり聴こえてきたのは、やはり、さすがという ものです。その「熱い」演奏は、ほんと、素晴らしかったと思います。

 さ、夜の部も楽しみです。(^^;;