らいぶらりぃ
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関西フィルハーモニー第129回定期演奏会

●日 時1998年9月11日(金)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ウリ・マイヤー指揮関西フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:渡辺玲子
●曲 目フォーレ/ペレアスとメリザンド
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番二長調Op.19
シベリウス/交響曲第2番二長調Op.43

 久しぶりの関西フィルの定期。今回のソロは、今注目を浴びている渡辺玲子さん。 来週(9/18)のリサイタルにも行かせていただく予定ですが、コンチェルトも聴 いてみようという魂胆です。

 で、プロコのコンチェルトですが、玲子さん、この甘く美しいメロディーを何と官 能的に弾きはることか! 冒頭からして、たっぷりと聴かせてくれます。何がいいっ て、その自然で、混じりっ気のない、上品さ、とでも言うのでしょうか、ほんま、素 直な感じで音が響いてくるんですね。高い音にしても、キィ〜ッとした感じは全くな く、中音域での響きをそのままに、高いところに移動させたような感じで、しっかり としたものです。また、フレージングも素敵で、その演奏からは歌心というものを はっきりと感じることができます。しっとりとした乙女の想い、とでも言うようなも のかしらん… それでいて、中間楽章の激しいこと! その凄まじいまでの勢いは、 もう、どんどんと前へ前へとオケを引っ張って行くようで、まさに圧巻です。表情豊 かに、それでいて、上品で、どこか知的さを感じさせる演奏は、ほんと、素晴らしい ものでした。来週のリサイタルも楽しみです。

 が、肝心のオケの方がどうも、よろしくありませんねぇ。玲子さんのソロの足を 引っ張るんじゃないかという気もしてしまいます。上でも書いた中間楽章、ひっくり 返して言えば、オケの方が玲子さんにちゃんとついていけてない、ということに他な らないのです。おいおい…と思いながら聴いてたのですが、十分に音も聴こえてこな くて、何か物足りなさを感じてしまうのでした…

 そして、その物足りなさは、シベリウスになって、さらに増長されます。ま、人に よって聴き方はいろいろだと思うので、一概には言えないと思うのですが、どうに も、私にとりましては、今日のシベリウスは、よろしくなかった、という印象が強い のです。オケ全体の音が、いまいち、よくないんですね。音が立ってないというか、 何というか… 例えて言うなら、炊いた米が、一粒一粒がちゃんと立ってなくて、べ ちゃっとした感じになってしまっているような状態、というか…(言い過ぎかな…す みません…m(__)m) 低弦もここぞというところで、響いてこない、Vnも、もっと 伸びやかに響いてほしいところで、響きが埋もれてしまっている、3楽章という緊迫 感のあるところにも関らず、のぺぇ〜っとした音を出すFl、2楽章でのソロを歌い 上げることのできないFg、Hrの音は不安定だし、Tpも、音を出すだけで、奇麗 に響かせようということは全く考えてないようだし… と、不満を書き出すと、止ま らないのですが、1人1人が、ちゃんと自分の出すべき音を、しっかりと考えて、責 任持って出しているのか、と言いたくもなります。それに、音楽そのものの作り方 も、私の好みとはちょっと違うようで、どうしてそんなところで? と言いたくなる ようなところで、妙にタメてみたり、逆に、マイてみたり… こういうシベリウスも あんねんなぁ、という参考にはなりましたが、私にとっては、それ以上のものではな いような感じでした。

 関西フィルも、もうちょっと頑張ってほしいなぁ、と切に願いたいです。