らいぶらりぃ
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スカラ・フィルハーモニー管弦楽団

●日 時1998年9月12日(土)18時30分開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演リッカルド・ムーティ指揮スカラ・フィルハーモニー管弦楽団
●曲 目ヴェルディ/歌劇「運命の力」より 序曲
ヴェルディ/歌劇「マクベス」より 魔女の踊り
ポンキエルリ/歌劇「ジョコンダ」より 時の踊り
ファリャ/組曲「三角帽子」
レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」
(アンコール)
Giuseppe Martucci/ノクターン

 あのムーティがやってくるとなると、これは行かないわけにはいきませんね。発売 日からちょっと遅れてチケットをGETしていたのですが、その段階でもかなり残席 が少なくなっていましたので、その人気の度合も相当のものです。

 そして、その人気を裏づけるように、演奏の方もほんと、「超」感動モノです。何 と言っても、歌い方が、実に見事ですね。最初の「運命の力」序曲からして、そのこ とがはっきりと分かります。クリアな響きは当然のこととしても、各場面ごとにはっ きりと歌い分けているのですね。音が場面によって異なって聴こえるのが、その現わ れです。序曲という曲自体が、そのオペラ全体の特徴というものをはっきりと表現す るようになってはいるのですが、しかし、これほどまでにドラマティックな序曲とう ものは、他に聴いた試しがありません。これまでに聴いた、この曲とは全く違う、こ れこそほんまの「運命の力」序曲、と言わんばかりのものが、そこにはあったと思い ます。

 そのドラマティックさは、さらに「魔女の踊り」でも、十分に発揮されます。弦の 音は、透明感があると同時に、艶やかで、色っぽい音も出してきますし、木管は、各 パートが、確実な力をもっていて、音色は実にやわらか、金管は、決して音がぽぉん と飛び出てくることなく、それでいてクリアでシャープな音を出してきます。これら が、合わさって繰り出される演奏の何と素晴らしいこと! 「魔女の踊り」に続いて の「時の踊り」でも、その感動は続きます。それに、ppの表現が、実に素敵です ね。全く聴こえない程にまで音を落としてきて、まさに静寂そのもの。そこから盛り 上げていき、ダイナミックなffにまで達する、そのダイナミクスの幅の広さには、 感嘆するばかりです「時の踊り」での、チャーミングで可愛らしい部分があると思い きや、たっぷりと朗々と歌う部分、軽快に明るくはずむ部分等、それらの表現の仕分 け方が絶妙で、こんなに素敵な演奏をするオーケストラって、他にあったかしらん …?という気にさえなってきます。

 後半に入っても、その魅力は失われることなく、さらに聴く者を魅了していきま す。「三角帽子」のクライマックスなんかも、とっても盛り上がって素敵でしたが、 やはり、今日の一番の演奏は、「ローマの祭り」でしょう。以前に、アマチュア・オ ケの演奏でこの曲を聴いたことがあったのですが、全くその時と曲の印象が違って聴 こえます。(って、比べちゃいけないのでしょうけど…)冒頭のバンダのラッパの ファンファーレも実にクリアで奇麗に鳴り響いてきますし、それに続く1部の不気味 さや、2部の静けさなども、見事に表現されています。圧巻は、3部の中間部、マン ドリンが奇麗なメロディを奏でる辺りの前後、オケ全体もぐっとppになるわけです が、この部分の何と美しいこと! 何度も言うようですが、ppをこれほど奇麗に演 奏できるオケって、ほんま、他にあるでしょうか。もう、感嘆のあまり、言葉を失う というのは、この時の私の状態を言うのでしょうね…(^^; 最後の4部は、お約束通 り、まさにお祭り騒ぎで、賑やかに終るのでした。まさに、絢爛豪華、黄金色の響き とでも言うような、輝かしい響きは、ホール中の聴衆の心を捉えて離さないのでした …