らいぶらりぃ
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大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団第29回定期演奏会
〜2大レクイエムの夕べ〜

●日 時1998年10月11日(日)18時30分開演
●会 場いずみホール
●出 演当間修一指揮大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団
      アンサンブル・シュッツ
ソプラノ:山川美弥子/倉橋史子
アルト:五十嵐玉美
テノール:頃安利秀
バス:長井洋一
●曲 目フォーレ/レクイエムOp.48(第2阪:ジョン・ラッター版)
モーツァルト/レクイエムK.626(ロバート・レヴィン版)

 先月の邦人曲シリーズに続いて、シュッツ合唱団の演奏会です。今回は、フォーレ とモーツァルトの2つのレクイエムを演奏するという、何とも、すごいプログラムで す。(^^;

 どちらの曲も生で聴くのは、久しぶりなのですが、その魅力というものを、改めて 実感することができました。フォーレの曲は、やはり、その美しさに聴き惚れます。 オルガンの音が優しく響いてきて、いい雰囲気を出しています。オーケストラは、 ヴァイオリンのパートが殆ど、ヴィオラに持ち替えている状態で、そのヴィオラの渋 みのある音色が、また、この曲の魅力を引き出しています。ヴァイオリンは、 「Sanctus」でオブリガートとして登場するとか、あまり出番がなかったのですが、そ の数少ない出番で、実に奇麗に歌っているのが、また印象的です。合唱の方も、いつ ものごとく、よく声も出ていて、聴かせてくれます。メリハリのある表情がとても素 敵で、特に、「Libera me」のユニゾンが、実に美しくそろっていたのが、印象に残っ ています。まさに天上の音楽というにふさわしい、明るさと優しさに満ちた演奏だっ たと思います。

 モーツァルトの方は、大抵は、ジュスマイヤー版を聴くものですが、今回は、レ ヴィン版というもので聴かせてくれました。一番大きな特徴は、「Lacrimosa」の後 に、アーメン・フーガが入っている、ということでしょうか。モーツァルトの書いた 譜面の断片をもとに、アーメン・フーガをロバート・レヴィンが再現したものなんだ そうですが、やはり、いつもと曲の印象が違って聴こえますね。それでも、モーツァ ルトらしさをうまく活かしながら、長大で素晴らしいフーガとしてまとまっていま す。なるほど、この部分にこれだけのアーメン・フーガが挿入されていても、全くお かしいことはないですね。むしろ、曲の流れからいくと、ここにアーメン・コーラス が入るべきなんだということに、はたと気がつかされるのでした… また、 「Benedictus」の後半が修正されているのも、新鮮に聴こえてきます。この部分のオ ザンナ・コーラスも、「Sanctus」後半のオザンナとはちょっと違っているのです。全 く同じオザンナ・コーラスを繰り返すよりも、このように修正された方が、曲として 落ち着いて聴こえるような感じもします。その他にもいろいろと修正してある部分が あるようですが、これだけでも十分、いつものモツレクとは違った雰囲気に聴こえま す。これだけ魅力的な曲を、シュッツ合唱団の皆さんも、また、かなり気合が入って いるようで、その力強い演奏には、胸を打たれます。合唱も、またソリスト陣も、素 晴らしい出来ったのでは、と思います。あえて言うならば、フォーレでも感じたので すが、歌詞の発音が日本語になってしまっているように聴こえる部分があるように思 いました。ま、ラテン語の発音も難しいですから、あまり細かなことは言いたくない のですが。

 それにしても、これだけの大曲を、一気に2つも演奏して、合唱団及びオケの皆さ ん、どうもお疲れさまでした。(聴く方もちょっと疲れましたけど…^^;)