らいぶらりぃ
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神戸市室内合奏団定期演奏会

神戸市演奏協会第111回公演

●日 時1998年10月13日(火)19時開演
●会 場神戸文化ホール・中ホール
●出 演小林道夫指揮神戸市室内合奏団
チェロ:山崎伸子
●曲 目ヴィヴァルディ/合奏協奏曲「調和の霊感」第11番ニ短調Op.3-11
C.Ph.E.バッハ/チェロ協奏曲イ長調Wq.172
 (アンコール)
 クープラン/「演奏会用小品集」より セシクエンヌ
ディストラー/チェンバロと弦楽のための協奏曲Op.14

 今回の神戸市室内合奏団の定期は、前半にバロックの曲、後半に現代の曲、とい う、相変わらずの意欲的なプログラムです。

 ヴィヴァルディの「調和の霊感」、1楽章はいきなりヴァイオリン2本のソロから 始まります。そこへチェロが加わってきて、華やかな雰囲気に包まれていきます。そ して、始まるフーガ、各楽器の音色がしっかりと響いてきて、見事なアンサンブルを 聴かせてくれています。2楽章のラルゴの歌い方も、また、上手いですね。ゆったり と、そしてどこか切なく胸に響いてくるテーマを、たっぷりと歌っているのが、いい のです。そして、3楽章のアレグロは、とっても明朗な感じで、ここでもその表情が 素敵です。相変わらずの、小粒ながらもぴりっとした演奏で、聴かせてくれます。

 C.Ph.E.バッハの曲は、チェロの山崎伸子さんをお迎えしての演奏。1楽章や3楽章 では、山崎さんも、所々、オケのパートを弾いていて、まさにオケと一体となってい るようで、好感が持てます。それが逆に、ソロの部分でも、オケの中に埋もれてし まっているに聴こえるような印象も、ちょっと与えていたような気もしますが… け ど、この曲の一番の聴かせどころは、2楽章ですね。ラルゴのゆったりしたテーマ を、実に情感を込めて弾いてはるのです。山崎さんのチェロは、明朗という感じの響 きで、そこから引き出されてくるバッハの思いというものも、くっきりと描かれてい るように思います。なかなか素敵な演奏でした。

 後半は、思いっきり現代の曲。ディストラーの曲は、まさに現代的な響きをしなが らも、古典的な要素も取り入れていて、どこか聴きやすい感じの曲ですね。1楽章で は、ヴァイオリンに現われるテーマが、何か東洋的な響きをしているように感じまし たが、そういう東洋的なものを、チェンバロという古典的な楽器を使って表現してい るのが、どこか面白いですね。2楽章は、どこか不思議な感じもする曲想、そして、 3楽章が、いきなり古典的な曲想になります。バロック期のコラールのテーマを元に した変奏曲となっているのです。そのテーマはとっても可愛らしいもので、小林さん のチェンバロも、このテーマをよく歌ってはります。オケとのやりとりもまた、(曲 そのものが)どこかお茶目な感じで、とっても聴きやすいですね。けど、変奏が進む に従って、ここまで発展させるかぁ?というくらいにまで、大っきくなっていて、そ の辺りは、さすが、ディストラーならでは、ということでしょうか。それにしまして も、このような結構な難曲を、しっかりと演奏してくれる神戸市室内合奏団の力量と いうものも、安定してきましたねぇ。