らいぶらりぃ | |||||
Prev | Next | to the Index |
●日 時 | 1998年10月23日(金)19時開演 |
●会 場 | 神戸新聞松方ホール |
●出 演 | レオン・シュピーラー指揮アンサンブル神戸 |
ヴァイオリン/村越伸子 | |
●曲 目 | メンデンルスゾーン/「フィンガルの洞窟」序曲Op.26 |
ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op.64 | |
交響曲第4番イ長調「イタリア」Op.90 | |
(アンコール) | |
J.シュトラウスII/ポルカ「雷鳴と電光」 |
今回のアンサンブル神戸の定期は、オール・メンデルスゾーンのプログラム。いつ もは、モーツァルトとかハイドンとかをよく聴くような気がするのですが、さて、 シュピーラーさんを迎えてのメンデルスゾーン、いつになく力の入っているような演 奏でした。その熱気のようなものは、最初の「フィンガルの洞窟」から、はっきりと感じるこ とができます。この曲は、シュピーラーさんご自身が、コンマスの席に座って、ヴァ イオリンを弾きながら指揮をするというスタイルの演奏でした。そのことが、オーケ ストラ全体の士気を高めているようで、実に見事なアンサンブルを聴かせてくれたと 思います。まさに一糸乱れず、緻密に練り上げられた、とでも言うべきまとまりよう は、前回の定期の時とは別のオーケストラを聴くような気にさえさせるのでした…
続いてのコンチェルトは、つい先日も樫本大進さんのヴァイオリン+ビシュコフさ ん指揮のケルン放送響の演奏で聴いたばかりで、どうも、その印象も残っているので すが、小粒な感じながらも、素敵な演奏であったと思います。村越さんのヴァイオリ ンは、すぅっとした感じの、奇麗な音色で、響いてきます。ただ、奇麗なんだけど、 何か足りない… そういう感じは拭えません。一生懸命に弾いてはるのも、十分に伝 わってきますし、それだけの熱演だとは思うのですが、そう、歌心というようなもの が、いまひとつ感じられないような気がするのです。どこでブレスをするんだろうと いうような、平板な演奏、とは言い過ぎかもしれませんが、そのようなことを感じて しまいます。それでも、熱意はたっぷりで、3楽章では、テンポがオケとちょっとず れそうになるほど。(^^; これだけの熱意があるのですから、もうひとつ、殻を抜け 出せたら、と思います。
メインは、「イタリア」。これも、夏にミョンフン指揮のローマ・サンタチェチー リア管で聴いたところですが(^^;、いやぁ、今回も、あの時の感動にも似たような感 覚を覚えてしまいます。こちらもまた、シュピーラーさんがコンマス席に座っての演 奏。この位置でオケ全体をぐいぐいと引っ張っていくのです。シュピーラーさんの ヴァイオリンは、ほんと、歌心に満ちていて、さすが、元ベルリン・フィルのコンマ スの貫禄をたっぷりと見せています。そして、それにしっかりと食らいついていく オーケストラ、彼らの熱意にも感心します。シュピーラーさんの音楽を、完全に自分 達のモノとして消化しています。2楽章や3楽章でのたっぷりとした歌い方など、実 に美しく、惚れぼれとしてしまいます。4楽章も実に情熱たっぷりで、その激しさも 素晴らしいものでした。これでもかというくらいに燃えていた演奏でした。
アンコールには、いきなり、「雷鳴と電光」ポルカ。このオーケストラで、このよ うな曲の演奏が聴けるとは思ってもいなかったので、ちょっと驚きもありましたが、 アンコールまで含めて、熱意いっぱいの演奏会でした。