らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年10月26日(月)19時開演 |
●会 場 | シンフォニーホール |
●出 演 | ルカーチ・エルヴィン指揮日本フィルハーモニー交響楽団 |
ピアノ:小川典子 | |
●曲 目 | チャイコフスキー/幻想序曲「ロメロとジュリエット」 |
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 | |
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」 | |
(アンコール) | |
ドヴォルザーク/スラブ舞曲より 第1番 |
毎年恒例の日本フィルの関西公演、大阪公演は、ソロに小川典子さんを迎えてのも の。6月にリサイタルを聴きに行って以来、彼女に魅せられてしまっておりますの で、今回も、見逃せないものでした。典子さんの演奏する曲は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」。ラ フマニノフと言えば、彼女のデビューCDが、彼の2番&3番コンチェルトを弾いた もので、絶賛のうちに、大ヒットしたことは記憶に新しいところですね。私もこの CDを聴いて、その力強さと、歌心に満ちた美しさに魅了されたのですが、そういう こともあって、ラフマニノフと言えば、小川典子さん、という図式が出来上がってし まっているのでした… そんな彼女が、今回はラプソディーに挑みます。その出だし の力強い和音を聴いただけで、おぉ、と思ってしまいます。(^^; パガニーニの主題 を、時に力強く、時に可愛らしく、時にたっぷりと、場面に応じて表現し分けている のが、素敵ですね。第7変奏でグレゴリオ聖歌がピアノに出てきますが、この扱い も、なかなか丁寧ですね。オケがパガニーニをやっているのと同時に、厳かな感じを うまく表現しています。そして、一番の聴かせどころ、第18変奏がやってくると、 この美しいメロディを、もう実にたっぷりと、情感こめて歌いあげていきます。ラフ マニノフらしさがたっぷりと出ているこの旋律を、確実に自分のモノとして弾いては りますね。思わず、うっとりとしてしまうのでした。また、オケの方も、この部分、 泣けと言わんばかりに奇麗に弦が響いてくるんですね。日フィルの皆さんの演奏も、 相変わらず、情感たっぷりのもので、典子さんの演奏をしっかりと支えています。再 び、パガニーニのテーマが戻ってきて、やがて、コーダへ。CDで聴かせてくれたコ ンチェルトと同様、力強さと美しさに満ちた演奏でした。加えて言うなら、さらに表 現の幅が広がったかしらん、という気もします。ラフマニノフの音楽を、すっかり自 分のモノとして、歌うべきところではどのように歌うか、ということを明確にご自分 の中に持ってはる、そのように感じたのでした…
後半は、「新世界」。またかよ、って感じも強いのですが(^^;、さて、この曲は今 年になって何回、聴いたかしらん… 取り立てて言うようなこともなく、無難と言え ば無難な演奏だったのですが、一つ、はっきりと言えるのは、日フィルの皆さんの相 当の熱意というものに満ちた演奏であった、ということです。日フィルさんの演奏 は、そうたくさん聴いているわけでもないのですが、聴く度に好感が持てるのは、多 少、粗削りな部分があるにしても、情感たっぷりの、ドラマティックな演奏をしてく れる、というところにあると思うのです。今回の「新世界」も、まさにドラマティッ クな演奏でした。
この後、日フィルさんは、神戸、京都と回られるようですが、特に神戸では、震災 後、彼らもいろいろとチャリティ活動をしてくれていただけに、今回の神戸公演も盛 会となることを願ってやみません。(私は、その日はちょっと行けませんので…)