らいぶらりぃ
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モスクワ管弦楽団

●日 時1998年11月8日(日)14時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ウラジミール・ジィバ指揮モスクワ管弦楽団
●曲 目チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調Op.64
プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調Op.100
(アンコール)
プロコフィエフ/交響曲第1番ニ長調Op.25「古典」より 第3楽章

 最近、毎年のように、ロシアのオーケストラを聴きに行っているような気もするの ですが、今年は、モスクワ管弦楽団です。まだ比較的若いオーケストラなんですね。 曲はロシアものが2つ並んでおり、どのような演奏を聴かせてくれるのかと、興味を そそります。

 最初は、チャイ5。昨年の4月に、スヴェトラーノフさん指揮のロシア国立交響楽 団の演奏で聴いたのが、未だに印象に残っているのですが、今回の演奏も、それに負 けるとも劣らない、素敵な演奏でした。何が素敵って、とっても歌っているんです ね。特に2楽章のテーマ、出だしのホルンも素晴らしかったし、後のチェロ等に出て くるところでも、この素敵なテーマ(何故か、このテーマを聴くと、人が恋しくなる んですよね…^^;)をたぁっぷりと歌い上げていたのが、印象的です。それに、この楽 章に関して言えば、ややテンポもたっぷりめに取っているようで、そのことも、また 効果的だったと思います。また、1楽章の第2テーマを歌い上げていくところでも、 かのスヴェトラーノフさんがしたのと同じようなテンポの揺らし方を、ジィバさんも しはるから、これには、おぉっ!と思ったのでした。ロシアの人は、こういうふうに するのがお好きなのかしらん…? 3楽章のワルツも、テンポよくまとめていて、さ あ、終楽章、序奏が終わって主部に入ると、一転して、テンポはむっちゃ、速くなり ます。これでもか、というくらいの速さで、ほんまにあっという間に、一気に、クラ イマックスを築いて、怒涛のごとく、終わっていくのでした… この4楽章について 言えば、やっぱり若々しいなぁ、という感じがしますね。ジィバさんの音楽の作り方 も、そういう若々しい激しさと緻密さとを両方、持ち合わせていて、なかなか素敵だ と思います。やや気になるのは、金管の音が、ちょっと軽いめに聴こえるかな、とい うことかしらん… でも、そうやって金管の音が、かぁん!と前へ飛んでくるからこ そ、4楽章の迫力というものも引き立つんですよね。なかなか好感の持てるチャイ5 でした。

 後半は、プロ5です。こちらでも、やはりその若々しさが、演奏によく出てきてい ますね。1楽章の力強さや、2楽章のスケルツォのはつらつとした感じ、4楽章の明 るさ等、非常にテンポよく、明朗な音感で歌われています。特に感動したのは、3楽 章です。この美しい楽章を、とっても透明感のある音で歌い上げていくのです。思わ ず、ぞくっとしました。先に書いた、金管以外の楽器は、とってもクリアな音色を出 しているんですよね。それが、こういう楽章になると、その本領を発揮するようで、 実に美しく仕上がっていたと思います。ここでそうやってたっぷりと歌っておきなが ら、終楽章になると、打って変わって、軽快なテンポを刻んでいくのですから、たま りませんね。多少、粗削りとも見えるような部分もなきにしもあらず、かもしれませ んが、それでも、素敵な演奏だったと思います。

 と、とっても盛り上がっておいて、アンコールは、プロコの1番の3楽章のガ ヴォット。こちらは、とっても可愛らしくまとめてますな。こんなお茶目な演奏もで きるのが、また、さすが、ですね。