らいぶらりぃ
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関西フィルハーモニー管弦楽団第130回定期演奏会

●日 時1998年11月20日(金)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ウリ・マイヤー指揮関西フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン:神尾真由子
●曲 目ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲Op.56a
ラロ/スペイン交響曲Op.21
バルトーク/管弦楽のための協奏曲

 今回のお目当ては、何と言っても、神尾真由子ちゃん。弱冠12歳の、若くて、 とっても才能のあるヴァイオリニストですね。一昨年の全国コンクールで優勝して以 来、積極的に演奏活動もしてはるようですが、今日は関フィルとの共演です。その注 目の曲は、ラロのスペイン交響曲。真由子さんも、この曲は既に何回も弾いてはるよ うで、得意の十八番といったところでしょうか…

 演奏を待っていると、真由子さんが、ピンクのドレスを着て登場してきます。むっ ちゃ、可愛い!(*^^*)というのが、第一印象。ほんま、まだあどけない顔の少女がそ こに立って、ちょこんとお辞儀をするんですもん。ほんと、可愛いですぅ… けど、 演奏が始まると、その印象はちょっと変わります。1楽章、この力強さに満ちた曲 を、真由子さん、実に力いっぱいに弾いてはるんですね。最初の方でこそ、ちょっと 力みすぎという感じもあったのですが、すぐにその力みも取れて、実に伸びやかで、 力あふれる演奏を聴かせてくれます。確かに若さもあるとは思うのですが、それで も、その素直な感じで、すぅっと伸びてくる音色は、とても心地好いものです。2楽 章のスケルツォに入ると、その若さは、更に変化を見せます。力だけでなく、音楽的 な面、表情とか情感とか歌心というものも、合せ持っていることを示してくれるので す。愛らしい感じで、微妙な表情の変化をつけながら、このスケルツォのテーマを歌 おうとしているのが、はっきりと感じ取ることができます。そして、それは更に、3 楽章の間奏曲や4楽章のアンダンテに至って、より一層、くっきりとしてきます。こ んなに若いのに、これだけのニュアンスづけを見事にしはるなんて…と、真由子さん の才能に、改めて感嘆します。高い音まですぅっと伸びていって、奇麗な音色を奏で るかと思えば、低い音になっても、その緊張感のまま、ふくよかな音色を奏でてい く、そして、そこには、常に、ゆらめく乙女の心を表わすかのように、微妙なニュア ンスづけが施されているのです。こんな演奏を聴かされると、”可愛い”でなく、” 美しい”と言うべきなのでしょうねぇ… なんてことを考えていると、5楽章。再 び、明るい、軽快な雰囲気になります。この辺りの、細かなパッセージの音の扱い も、決して勢い任せにはせず、実に丁寧にこなしてはるのが分かります。素敵やなぁ …(*^^*)と聴きほれているうちに、曲は一気に最後のクライマックスをむかえ、す ぱっと終るのでした。と同時に、会場いっぱいの大きな拍手が起こったのは、当然の ことでしょう。これだけ多くの聴衆を前に、まだあどけなさの残る少女が、どれほど 多くの感動を与えてくれたことか、この拍手を聞くだけでも分かるというものです。 いや、実に素晴らしい演奏でした。これほどの才能をお持ちの真由子さん、これから の更なる成長が楽しみです。きっと、素晴らしいヴァイオリニストになるのでしょう ねぇ…

 さて、オーケストラの方は、この前の9月の定期の時は、ちょっと私の好みの演奏 ではなかったのですが、今回は、割と頑張っていたような気がします。まぁ、特に 凝った音楽作りをしているというわけでもないのですが、ブラームスも厚い響きを聴 かせてくれましたし、バルトークも、メリハリのきいた素敵な演奏でした。これくら い、安定した演奏を、いつも聴かせてくれれば、いいのですけどねぇ…