らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

デトロイト交響楽団

●日 時1998年11月23日(祝・月)14時開演
●会 場びわ湖ホール
●出 演ネーメ・ヤルヴィ指揮デトロイト交響楽団
●曲 目モーツァルト/セレナーデ第7番ニ長調「ハフナー」
マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調
(アンコール)
ドヴォルザーク/スラブ舞曲第8番
チャイコフスキー/組曲「くるみ割り人形」より 道化者の踊り

 今回が初来日のデトロイト響、西日本の方では、このびわ湖ホールだけ、ともなれ ば、これは逃すわけにはいきませんね。(^^;

 さて、そのデトロイト響、なかなか渋みのある響きを聴かせてくれます。デトロイ ト=重工業の町、というイメージがあったりしますが、まさにそういうような、どっ しりとした感じで、とっても安定感のある音を聴かせてくれます。モーツァルトで は、逆に、それがかえって、重すぎるような印象を与えているようにも聴こえたので すが、これは私の好みの問題かしらん…(^^; でも、コンミスさんのソロは、とても 奇麗で、このモーツァルトの音楽をうまく捉えていたと思います。

 メインになるのは、マラ5。この曲を聴くのは、今年何回目でしょう…?(^^; 同 じくアメリカのピッツバーグ響(ヤンソンスさん指揮)での演奏を5月に聴きました が、私の好みで言えば、ピッツバーグ響の方が好きかな、ということになるかと思い ます。デトロイト響の演奏は、最初のうちは淡々としていて、あまり表に感情を出し てこないような演奏なんですね。それが2楽章以後、次第に段々とドラマティックに なっていく、という感じで、そのじっくりとした、じわぁ〜っとくる熱いモノが素敵 なんですね。ま、個人的には、初めからとってもドラマティックに聴かせてくれるヤ ンソンスさん指揮のピッツバーグ響の方が好きなんですけどね。(^^; 1楽章は、そ んなわけで、割と淡々とした感じで葬送行進曲が流れていきます。弦がテーマを奏す る時も、そのブレスが長いんですね。ブレスをたっぷりと取って歌っていくから、暗 鬱とした雰囲気がよく表現されていたと思います。それと、ふと感じたのは、ヤル ヴィさんの、音楽の組み立て方の緻密さなんです。テーマの楽器だけでなく、声域で 言うと、テノールとかアルトといった、内声部を受け持っている楽器にも、細かく指 示を出していているんです。このことが、より一層、音楽に厚みを持たせている、そ のように感じます。2楽章になると、この楽章に付けられたタイトルの通りの「嵐の よう」な激しさが前面に出てきます。金管群の音色も冴え渡っていて、かぁん!とイ イ感じに聴こえてきます。更に3楽章ののどかさ、4楽章の甘美さも、とってもよく 表現されていますね。個人的には、4楽章は、もっと透明感のある音色でしてもいい かな、とも思いましたが。(←単なる欲張り、です…^^;)終楽章は、もう、パワー全 開、といった感じで、まさに、イケイケの状態。一気にぐっとテンポも速くなって、 クライマックスを壮大に築き上げ、幕を迎えるのでした…

 しかし、1年のうちに、3回もマラ5を生で聴くとは、何だかなぁ、という感じも しますなぁ。そのいずれの演奏も、それぞれ、個性があるから、ま、楽しいことは楽 しいのですけどね…(^^;