らいぶらりぃ
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今世紀最後のスーパートリオ

●日 時1998年12月6日(日)14時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ピアノ:ウラディミール・アシュケナージ
ヴァイオリン:ピンカス・ズッカーマン
チェロ:リン・ハレル
●曲 目ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲変ロ長調WoO.39
ショスタコーヴィッチ/ピアノ三重奏曲第2番ホ短調Op.67
シューベルト/ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調D.898
(アンコール)
シューベルト/ピアノ三重奏曲第2番より 第3楽章

 「今世紀最後の…」という触れ込みで、まさに”スーパー”なトリオの公演です。 アシュケナージさんに、ズッカーマンさん、ハレルさんという、それぞれ、ソリスト として、或は指揮者として大活躍をしてはる方たちが集まってのトリオ、まさに、こ れ以上のものはないというくらいの、最高のものでした。

 何が素晴らしいと言うて、3人がそれぞれの技量を如何なく発揮していることと、 それが、時に溶け合うように、時に反発(?)するかのように、非常に密な感じで互 いに絡みあい、1つの音楽を作り上げていくうのには、ただ、感嘆するばかりです。 アシュケナージさんのピアノは、5月に聴いた時と同様、とても深いタッチで、優し い音色を出しています。バックステージやバルコニー席のお客さんの方をちらちらと 見ながら、にこっと笑顔を投げかけたりしていて(今日の私の席は、上手側の2階バ ルコニーでした…)、どこか微笑ましい演奏姿ですね… その上に、ズッカーマンさ んのヴァイオリンが、艶のある伸びやかな音色を奏でていきます。これがまた、とっ ても叙情感あふれる演奏で、まさに「歌う」という言葉がぴったりとくるようなもの なんですね。そして、ハレルさんのチェロ、こちらも深く、ハリのある響きで聴かせ てくれています。時に、他の2人と比べて、ちょっとだけ沈みがちに聴こえたような 気がするのですが、それでも、ズッカーマンさんのヴァイオリンとかけ合いになるよ うなところでは、情感たっぷりに歌い上げていました。これだけの名手がそろうと、 ほんと、何でも素敵な演奏になるもんなんですねぇ…

 特に印象に残ったのは、やはり、シューベルトです。中でも2楽章の何と美しいこ と! シューベルトらしい、歌曲のような情感の曲ですが、これを、3人とも、ほん まにそれぞれの楽器を歌わせていて、そのしみじみとした美しさには、何故か、ほろ りときてしまうのでした… あと、ショスタコーヴィッチも、なかなか素敵な曲です ね。この曲は初めて聴いたのですが、どこか暗鬱とした雰囲気ながらも、その中にい ろんな要素、民俗的なものもあったりして、面白いですね。この3楽章がまた、何と も言えない緊張感あふれる曲で、この緊張感は、まさにショスタコならでは、です ね。

 アンコールにも、シューベルトで、愛らしい曲をたっぷりと聴かせてくれました。 和やかな雰囲気の中、素晴らしい演奏に大満足、なのでした…