らいぶらりぃ
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明石第九演奏会

●日 時1998年12月12日(土)18時30分開演
●会 場明石市民会館アワーズホール
●出 演松尾葉子指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:湯浅契
アルト:藤川賀代子
テノール:小餅谷哲男
バリトン:田中勉
明石第九合唱団
●曲 目ベートーヴェン/「エグモント」序曲Op.84
交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」

 この時期、日本全国いろんな所で、「第九」の演奏会が行われていますが、中で も、盛り上がるのは、市民参加型のものでしょう。公募にて合唱団員を募集して、練 習を積んで、演奏会の舞台に立つというもの、大阪では、「一万人の第九」等が有名 ですが、明石市でも、同じようなことは行われているのです。それが、この「明石第 九演奏会」。今年の分は、6月にメンバーが決定したようで、総勢200名。いや、 その数の多さには、圧倒されますね。

 けれど、パートのバランスとなると、ちと、疑問な点も出てきます。ま、このよう な公募の合唱団は、女声が多くなりがちなものなのですが、明石第九合唱団も、やは り、女声、特にアルトが多くて、アルトだけで全体の3分の1を越えるのではないか というくらいの多さ。それに比べると、男声の何と少ないこと。とりわけ、テナー は、10数名だけという少人数。だから、男声合唱になる部分や、2重フーガの部分 など、テナーがもっと聴こえてきてほしいと思うような部分でも、テナーが聴こえて こなかったのは、ちょっと残念な気もしました。アルトも人数の割には、あまり響い てきていなかったような… ま、これらのことは、往々にしてありがちなことなので しょうが、それでも、ん…?と思ってしまうものです。

 ソリストについて言えば、皆さん、ちょっと力みすぎじゃない、と言いたくなるほ どの力の入れよう。バリトンの田中さんの、あの出だしのレチタティーヴォからし て、むちゃくちゃドラマティックすぎるような語りになっていて、つい、何もそこま で力まなくても…と思ってしまいます。ソプラノの湯浅さんの声も、ちょっと硬いよ うな感じがして、ん〜、と思ってしまうのでした…

 けれど、そのような些細なことよりも、やはり、これだけの人数が集まってきて、 高らかに歓喜の歌を歌い上げているということの意義を、もっと考えるべきでしょ う。合唱というものを、今までしたことのないような人も参加してきて、皆で一緒 に、これだけの大曲を見事に作り上げる、その喜びというものを、1人でも多くの人 が味わい、感動を共有する、そのことが、ひいては、地域の文化の振興というものに もつながっていくのだ、ということを、改めて考えさせられたのでした。明石海峡大 橋も開通して、これからますます成長していくであろう、明石で、これだけの文化活 動が行われていることは、とても素晴らしいことだと思います。今後も、ずっと続け ていってほしいものです。