らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年12月16日(水)19時開演 |
●会 場 | フェニックスホール |
●出 演 | ピアノ:スティーヴ・レイマン |
●曲 目 | Dreams |
Waterfall | |
Whisper Mountain | |
Peace River | |
Songbird | |
Dance with the wind | |
Heaven on Earth | |
A prima donna | |
Moonlight Echoes | |
Heart Strings | |
Waterfall-andante | |
Eclipse | |
epilogue |
”ヒーリング・ミュージック”とかいう分野で注目の、レイマンさんの、ニュー・ アルバム発売を機にしてのコンサートです。この手のピアニストでは、10月に来日 していたアンドレ・ギャニオンさん等もいらっしゃいますが、ギャニオンさんの演奏 会には、他のものと重なっていたため、行くことができなかったのです… だから、 今回のレイマンさんのは絶対に行くぞ、と決めていました。レイマンさんのピアノの特徴と言えば、やはり、その深みのある音色の美しさ、で しょう。どの曲も、そんなレイマンさんの特性が生かされた、とても奇麗な曲ばかり です。特に、「Waterfall」は、彼自身もお気に入りの曲のようで、アンコールでも弾 いてはりましたが、清水がちろちろと流れ出し、やがて、さらさらとした流れになっ て、静々と流れ落ちる、といったような風景を描写しているかのようでした。とって も繊細、なんですね。彼はカナダ在住だそうですが、決して、ナイアガラの滝のよう な、どっかぁんとした大きなものでなく、むしろ、日本画的なものを感じさせるので す。何年か前に行った、青森の奥入瀬の渓流を思い浮かべながら聴いてました…
そういう、奇麗な曲ばかりですから、とっても耳に優しく響いてくるんですね。 「Moonlight Echoes」なんかも、素敵な曲でした。で、この深く、優しく響いてくる のは、どうしてなんだろう、と思っていると、彼のペダルの使い方に、一つの要因が あるのでは、気付きます。たまたま、今日の席は、一番前の真ん中の席。じぃっと足 元を見ていると、レイマンさん、基本的にはずぅっとペダルを多用しているのです が、あまりペダルを踏み変えてないことが分かります。音が濁らないように、と私な どは、割とペダルをこまめに踏み変えていってしまうのですが、そうではなく、 じぃっと長いフレーズ間を、踏みっぱなしにしてはるのですね。ドビュッシーなんか を弾く時のペダル使いみたい、なんて思いましたが(^^;、これが、彼のピアノの深い 響きを作り出しているのですね。う〜む、ちょっと勉強になりました。(^^;
さて、演奏も素敵だったのですが、今回の舞台は、その演出も素敵でした。反響板 は降ろさず、ガラス張りのホリゾントの向こうに、そのスリットから外の景色が見え るような板を降ろしてあるだけ、また、舞台の上には、一面に、クリスタルの片みた いなものを散りばめて、それを足元からのライトで照らし出す、という工夫がなされ ているのです。だから、照明を暗く落とした中に、足元には星屑を散らしたかのよう な輝き、窓の向こうには大阪の町中の夜景が見えており、そんな中で、奇麗な音楽 が、流れていくのです。とても気持ちの落ち着く、素敵な演奏会でした。