らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

神戸室内合奏団定期演奏会

神戸市演奏協会第115回公演

●日 時1998年12月18日(金)19時開演
●会 場神戸文化ホール・中ホール
●出 演ゲルハルト・ボッセ指揮神戸室内合奏団
●曲 目C.Ph.E.バッハ/6つのシンフォニア第2番変ロ長調Wq.182-2
ハイドン/交響曲第49番ヘ短調「受難」
モーツァルト/ディヴェルティメント第15番変ロ長調K.287(271H)「ロドロンの夜曲」

 今回の室内合奏団の聴きどころは、モーツァルトの「ロドロンの夜曲」。第2楽章 のテーマは、NHKのFMの番組(何の番組でしたっけ…?)のテーマとしてもお馴 染みの曲ですね。

 けれど、この曲って、意外と難しいものなんですね。所々出てくる、ヴァイオリン のソロを聴くだけでも、かなり技巧的なものが要求されているのが、分かります。1 楽章や5楽章のソロなんかは、一番の聴かせどころなのでしょうけど、ちょっとだけ 辛そうな感じにも聴こえてしまいました… ソロに限らず、今回の演奏には、ちょっ と粗削りのようなものを感じます。もちろん、ボッセさんの指揮ですから、音楽の作 りは、いつものとおり、しっかりしたものなのですが、何と言うか、音に、やや、艶 のようなものが足りないような気がするのです。レガートですぅっと響いてきてほし い、というようなところでも、その音色には伸びやかさがちと足りないかな、という 部分がいくつかありました。特にアダージョの楽章等は、こういうのが目立って聴こ えてしまいますね。でも、終楽章など、テンポの速い楽章では、いつものとおりの、 勢いあふれる演奏が聴くことができました。やはり、こういう曲風のものがお得意な のかしらん…

 そのアップテンポの曲と言えば、ハイドンの「受難」交響曲もそうですね。冒頭か ら悲壮感の漂う音が鳴ってきます。その悲痛な音色には、なかなか、説得力があり、 たちまちのうちに、この音楽の”受難”の世界に引き込まれていきます。そして、2 楽章や4楽章では、これでもかというくらいのドラマティックな盛り上がり、これに はとっても心打たれるものがあります。つい、バッハの受難曲なんかを思い出しちゃ いますね…(^^;

 その大バッハの次男のC.Ph.E.バッハの曲も素敵な曲ですね。おぉっと思うような不 協和音なんかもあったりして、まさに時代の先取り者としての彼の音楽というものを 感じることができます。その先見性という面では、ルネサンス後期のジェズアルド (彼の曲も私は好きです…)なんかと同様、もっと取り上げられるべき作曲家なので しょうね…

 全体を通じて、演奏で1つだけ、ん?と思ったのは、ホルンの音。もちろん、この 楽団自体は弦楽パートしか持っていませんから、外からのトラなのでしょうけれど、 その”ぽわっ”とした緊張感のないような音には、んー、と唸ってしまいます。弦楽 器群がせっかくいい感じで音楽を作っていても、それに馴染まないような音を出して いては、1つの音楽には仕上がらないでしょう。ちょっとなぁ…と思いながら、聴い ていたのでした…