らいぶらりぃ
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京都バッハ合唱団クリスマスコンサート(第10回)

●日 時1998年12月23日(祝・水)14時30分開演
●会 場京都府立府民ホール”アルティ”
●出 演本山秀毅指揮京都バッハ合唱団/大阪チェンバーオーケストラ
ソプラノ:松下悦子
アルト:三井ツヤ子
テノール:松本晃
バス:片桐直樹
●曲 目バッハ/カンタータ第63番「キリスト者よ、この日を彫り刻め」
    マニフィカト ニ長調BWV243

 10月には素晴らしい「ロ短調ミサ」を聴かせてくれた、京都バッハ合唱団のクリ スマスコンサートです。いわゆる普通のクリスマスソングとは違うのですが…と、本 山先生が曲についての解説をしながらの演奏会です。曲について、その背景にあるも のから、曲の構成まで、実際に部分部分を演奏しながらの解説は、分かりやすくてい いですね。こういうものがあると、曲に対する理解が深まり、聴くに当たっても、聴 きどころというものを抑えて聴くことができるというものです。

 さて、演奏の方はと言うと、前回と同様、合唱の方も声がよく出てきていて、迫力 のある演奏だったと思います。テナーの辺りに、所々、地声的なものが聴こえてくる ような部分もありましたが、概ね、曲としてよくまとまっていたのではないでしょう か。カンタータと、マニフィカト、どちらの曲にしましても、1曲目と終曲とが大き なコラールになっていて、それで曲の外枠を固める、という形式の曲なだけに、この 部分も大事な部分だと思うのですが、そのようなことをしっかりとふまえた演奏でし た。ラッパが鳴り響く中に、合唱の声が響いてくるのは、なかなか気持ちのよいもの です。また、オケの方も、前回と同様、奇麗な音色を聴かせてくれています。ラッパ も素敵でしたが、オーボエのソロというか、オブリガートも、ソリストの声にしっと りと寄り添うように、優しく響いてきていて、素敵でした。

 ソリスト4人もなかなか健闘していましたが、ちょっとだけ気になったのが、テ ノールの松本さん。まだお若い方だからか、少々、緊張気味のようで、かなり力みの ようなものを感じました。もうちょっと自然な感じで響かせることができたら、もっ と素敵なレチタティーヴォになったのでは、と思います。対して、ソプラノの松下さ んの声は、前回にも思ったことですが、無理のない、優しい響きで、素敵ですね。ア リアもたっぷりと歌っていて、なかなか情感のこもったものでした。

 クリスマスの前々夜、ほっとできたひとときなのでした。(^^)