らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年12月26日(土)18時30分開演 |
●会 場 | いずみホール |
●出 演 | 当間修一指揮アンサンブル・シュッツ |
大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団 | |
ソプラノ:江戸美奈子 | |
アルト:五十嵐玉美 | |
テノール:波多野均 | |
バス:長井洋一 | |
●曲 目 | ベートーヴェン/「シュテファン王」序曲Op.117 |
荘厳ミサOp.123 |
今回のアンサンブル・シュッツの定期の曲は、「第九」と並ぶ、ベートーヴェンの 傑作、「ミサ・ソレニムス」です。この季節、「第九」ばかりでなく、たまにはこう いう曲も聴かないと。(^^;さて、演奏の方ですが、シュッツ合唱団の皆さんは、相変わらず、元気ですねぇ。 最初っから最後まで、ほとんど、センプレ・フォルテって感じで、パワーダウンする ということを知らないかのような熱演ぶりです。…けど、この曲って、そういう、” 行け行け”の曲でしたっけ…? ”心からの叫び”という言葉もありますが、確か に、歌っている時の皆さんの表情はとっても明るいし、それを見ているだけでも、何 だかこちらも幸せな気持ちになってくるようなものなのですが、でも、それだけでい いのかしらん…?という気もします。この曲には、「第九」以上に、ベートーヴェン の、”平和への祈り”というものが込められているかと思うのですが、そういう意味 では、ただ、勢い任せで歌ってしまうというものも、どんなものかと思います。特 に、「Credo」、ミサ曲の中心をなす曲ですが、その中には、キリストの受難を想い、 その前に敬謙に祈りを捧げながら、信仰の宣言をする、という想いがあると思うので す。だからこそ、音楽にも、ドラマティックな要素が盛り込まれているわけで、そう いう部分部分による、歌い分けというものも必要なのではないでしょうか… ま、迫 力いっぱいの演奏で、好演だったとは思うのですが。
ソリスト陣は、いつものようなメンバーですね。テノールの波多野さんの声が、い かにもリリックテノールという感じで、かぁん!と響いてくるのが、素敵ですね。 ちょっとだけ気になったのが、ソプラノの江戸さん。決して聴こえないということは ないのですが、他の人に比べると、ちょっと響きが、奥にこもっているように聴こえ るんですね。そのせいか、何か、ソプラノだけが浮いているように聴こえたのが、 ちょっと残念な気もしました…
…っと書いてきて、今日はアンサンブル・シュッツ、このオーケストラの定期演奏 会でしたね。オケのことも書かないと。(^^; 合唱のパワーの前に、どうしてもその 伴奏という印象が強くなってしまうのですが、でも、それだけでもない部分も、この 曲にはあると思います。例えば、「Agnus Dei」。平和を祈る気持ちの中に、それを否 定するかのような、不安が、金管やティンパニが鳴ったりして、もたらされてきます ね。そして、その不安の中から、また平安を求めるように、美しい旋律が流れ出して いくわけですが、この辺りの、オケの表現というものも、もっと滑らかにかつドラマ ティックにしてもいいような気もします。聴いていると、何だか、妙に音楽の流れ が、ぶちっと途切れてしまいがちに聴こえてきて、ちょっと…、と思ってしまうので した。そんな意味では、ちょっとアラのようなものが目立ったかな、という演奏でし た。