らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年12月29日(火)14時開演 |
●会 場 | サントリーホール |
●出 演 | 飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
ソプラノ:緑川まり | |
アルト:小山由美 | |
テノール:福井敬 | |
バリトン:三原剛 | |
東京オラトリオ研究会 | |
●曲 目 | ベートーヴェン/歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲Op.81 |
交響曲第9番ニ短調「合唱」 |
帰省するに合せての東京での演奏会です。東京シティフィルは、1月の国際フォー ラム以来ですね。久しぶりのこのオーケストラで、今年3回目で、締めの「第九」を 聴こうという魂胆です。聴いてみて、まず思うのは、毎度のことですが、東京のオケは、大阪のとは違う なぁ、ということ。2週間ほど前にも、大阪フィルの演奏で第九を聴きましたが、1 楽章冒頭の出だしからして、その響きが違うんですね。ぴぃんと張り詰めた、より高 い緊張感と、密度の濃い集中力、そういったものがはっきりと感じることができて、 おぉ!と思ってしまうのです。そして、その集中力が、飯守さんの指揮で、実にメリ ハリのきいた演奏へと結び付いているんです。微妙にテンポを揺らしてみたりしてい る部分もあったりして、その音楽作りは、なかなか、聴かせるものに仕上がっていま すね。ここぞという時に、しっかりとタメたりしはるから、つい、その世界へと引き ずり込まれてしまいます。1楽章での不安との葛藤の表現や、2楽章のスケルツォの 間合いの取り方、3楽章での平和への祈りの念の表現、いずれも、こうあってほしい と思うように、そのままに演奏してくれるので、嬉しいですね。
それに今回、更に嬉しいのは、ソリスト陣の顔ぶれです。緑川さんは、ちょっとひ いきにしているソプラノ。今回も、いつものとおり、ハリのある声を聴かせてくれま す。また、バリトンの三原さんも、注目の歌手ですね。やや力みのようなものも感じ ましたが、力強いレチタティーヴォを聴かせてくれます。力みと言えば、テノールの 福井さん。むしろ、力みすぎのような感じで、例のテノール・ソロの部分を歌ってい て、ちょっと浮いたような感じで聴こえたのが、残念な気もします。また、合唱の方 ですが、こちらも、声がよく出ていて、いいですね。細かいことを言えば、ドイツ語 の子音がそろっていない部分もあったように思いますが、概ね、好演だったと言えま しょう。
なお、この日の夜は、同じサントリーホールで、日本フィルの第九の公演があった とか。一つのホールを、こんな風に、1日に2本の別の公演を入れて回していくなん て、とちょっと驚いてしまいますが、逆に、それだけ多くの公演がある、という東京 の音楽事情は、羨ましいようにも思えます…