ファミリーミュージカルP I N O御一行様遭遇記

00/09/10 大船渡

 この日、朝仙台を出発し、石巻線・気仙沼線・大船渡線と乗り継いで、大船渡に着いたのは正午ジャスト。気仙沼で乗り換えた大船渡線・愛称ドラゴンレールはワンマンの2両電車。車窓から見える風景も、停車する駅も田舎だ…と思いましたが、降り立った大船渡もなーーんにもない、ところでした(^^;)。
 でも、改札を抜けて小さな待合室に入ると、そこの掲示板には「PINO」のポスターが…。おお、ちゃんと「PINO」やるのね(って、やらなかったら困るけど)と感動してポスターに近づくと、そのポスターは色がちょっと滲んだ感じで、よくよく見れば、普通の紙にプリンターで印刷したお手製のポスターでした。それもA3サイズにプリントしたのを繋いで大きなポスターにしてて、本当に手作りなのねと更に感動。で、そのポスターをしばらく眺めた後、駅の人に帰りのバスの出る場所を聞き、そこが駅前かと思っていたら、少し行った先の通りのバス停だと言うので、とりあえずその場所を確認し、そのまま会場まで徒歩で向かいました。

 地図で見た感じでも、歩いたら30分くらいは掛かるかなぁと思いましたが、タクシーに乗るにはまた駅まで戻らなきゃいけないし、時間はタップリあるしってことで、歩き出したのはいいけれど、仙台で調子に乗っていろいろ買ってしまったお土産の入った荷物は重いし、雨は降ってくるしでちょっと後悔…。しかも途中で食料を仕入れようと思ってたのに、コンビニもないねと言いつつ歩いてて、15分くらい行ったところでだったかな、やっと1軒のコンビニを発見。お昼と夜の食料を仕入れるため、お店に入りました。
 カゴを手にし、何を食べようかと陳列棚を眺め、パンを選んでる時に、俄かにお店が混んで来て、チラッと目を上げた時に男の人が数人入って来たのが見えたので、お昼時だから近所の人がお弁当でも買いに来たのかな? と思い、また視線を棚に戻したら、私の斜め後ろにいた友人が「山本くん、山本くん…」と呟く声が聞こえ、「山本くんて??」と顔を上げると、そこには正にお店に入って来て、真っ直ぐこちらに向かってくる淳くんが…。そしてよくよく見れば、近所のおじさん達かと思っていた男の人達は他の出演者(と多分スタッフ)の方々。この時の私と友人の驚愕、想像していただけるでしょうか!? 私は淳くんと視線が合ったまま、固まって動けず。どんどん近づいて来た淳くんに目の前に立たれてしまいました。この時、多分私は余程唖然とした顔をしてたのじゃないかと思うけど、外せなかった視線に、淳くんにファンだとバレたな…と思った瞬間「『PINO』観に来たんですよ」と口走り、どうも無意識に淳くんの肩をポンと触ってしまったような気が…(頭、真っ白だったからハッキリ覚えてないけれど、後で反芻していたらどうもそんな記憶が(^^;))。で、淳くんに「どいて、どいて」なんて言われちゃって、思わず身体を引いた私の前を飲み物のコーナーの方へ歩いて行きました。そして雑誌コーナー、お菓子の棚とお店の中をグルグルと歩いて、仲間の人と何やら話をしてました。チラッと「知ってる!? 昨日、何もなかったんだよ」などと言ってるのが聞こえてたので、前夜公演が終わってから大船渡に着いて、このコンビニに寄ったのではないかと…。
 ふと外を見ると大型バスが止まってて、そのバスでリハーサルの合間だかその前だかに、お昼を調達しに来たらしい御一行様は10人くらいいたかなぁ? 女の人も3人くらいいたと思うけれど、淳くんに目が行ってしまうので、子の時私が確認できた人はシニョーレ役の西原さんとゲスラー役の川北さんくらいでしたが。買い物を済ませた人が出て行って、段々空いて来たお店で、淳くんは「何でもいいや」と言いつつ、スポーツドリンク(多分ポカリスエット)とカップ麺(銘柄不明)菓子パン(ヤマザキのキャラメルパイシュー)をお買い上げ。もうひとつくらい何か持ってたかも? ちなみに淳くんの買ったキャラメルパイシューは私が先にカゴに入れてたので、あ、お揃いと思ったのでハッキリ覚えてます。これ、ムチャクチャ甘くて、私は食べてて途中で嫌になってしまったけれど、淳くん知ってて買ったのかなぁ。でももう1回チャレンジしようかとコンビニ行くと探すんですけど、秋の限定商品だったみたいで、その後見かけません。
 話逸れたので、戻します。トロトロ買い物をしてて会計が最後になった淳くんの背中を眺めながら、こんなチャンス、長年ファンをやっててなかったことで、この千載一遇の機会を逃したらきっとしばらく後悔する。それにわざとのように最後に残ったのは話し掛けて欲しいと思ってるからだろうと自分に良いように解釈をした私は、レジを済ませた淳くんに思い切って話し掛けました。
 出口に向かう淳くんに「東京の方から『PINO』観に来たんですけど…」と話し掛けると、「あ、そうなの?」と。で、帰りの都合で最後まで観れないかもしれないんですけど、頑張ってくださいねと言ったら「はい」とお返事をくれました。そして「山形には行けないので、きょうが最後なんです」と言ったら「ダメだよー」なんて言われちゃって、つい「でも、行けないんです」と言い張ってしまった私…。折角のまたとない機会に、つまんないことしか言えなくて、自己嫌悪。とっさのことで頭真っ白だったから、こんなもんでしょうかね…。大船渡の公演を観た後だったら、すごく良かったですと感想のひとつも言えたんですけど。
 出口のところまで来て、まだ会計を済ませていない商品を持った私は淳くんに「万引きになっちゃうよ」と言われて、自分の状況に気付いてそこでバイバイ。あんまり驚いて食欲もなくなっちゃったよねと言いながら、友人と買い物を済ませてお店を出てくると、淳くん達の乗ったバスも走り去るのが見えました。この間10分くらいだったかな? そうそう淳くんの格好は薄茶系のチェックのシャツに紺のGパン、黒にラインの入ったスニーカーを履いて、紺の帽子を手に持ってました。髪はブローなしのパサパサした感じで、顔もちょっとお疲れのように感じました。
 ものすごい偶然で淳くん(と「PINO」御一行様)に遭遇してしまった私と友人は少々興奮状態で更に歩くこと約10分。入り口の横にさっきのバスが止まっている会場に辿り着きました。ちなみにこのバス、八王子ナンバーでした。って、ことはこの時は東京からずっとバス移動だったんでしょうか!?

 会場入ったところで整理番号をもらい、ロビーの椅子で一休み。ここの建物は凹型の造り(多分)で真ん中がロビーで右側の出っ張り部分が「PINO」が行われた大ホール、左側には小ホールがありました。窪んだ部分は中庭となってて、ロビーのそちら側の壁はガラス面。私が座っていた椅子はその反対側の壁側ってことで、大体の位置関係わかるでしょうか?
 荷物が邪魔だったので、ロッカーがないかな? とロビーを見渡してもそれらしきものはなく、臨時のらしい託児所はあるけど、荷物は預かってくれないだろうな…とまた椅子に座っていたら、ホールから出て来た澤田夏子さんともうひとりの女性がその託児所へ入って行き、しばらくするとステファノ役の岩渕さんも入って行きました。
 託児所の中から聞こえる物音に、ここでリハするの? と思っていると、今度は建物の入り口の方(私の座ってる位置からは淳くん達が外から来たのかどうかはわかりませんが)から淳くんと木下育さんがやって来て、てっきりホールの中にいると思っていた淳くんがまた目の前に現れたので再び固まる私たち。しかも、ホールに入って行くのかと思ったら、ロビーの方にやって来て、中庭の見えるガラスのところに行き、ホールの方を見て、ふたりで大笑いするんです。
 指差して大笑いするほどの何があるのか…。淳くん達がいなくなってから同じようにそこからホールの方を見ると、なんと、そこからはロビーと同じく中庭側がガラス張りの楽屋が丸見えだったのでした。楽屋がガラス張りとはなんと大胆な…と思ったら本来そこはホールのロビーらしくて、それを仕切って楽屋にしてたようなんですね。で、私たちが見てるのに気付いた出演者の方もこっちを見て笑って、木下さんと西原さんは手を振ってくれました(笑)。滅多に見れないものも見れてラッキーなんて思っちゃいましたが、さすがにすぐそこは青いビニールシートが張られて、目隠しをされちゃいました。でも、淳くんがロビーから見て大笑いしなかったら、きっと私たちは気付かなかったと思うわ(^^;)。
 淳くんは着替えが入ってるらしいケースを持ってウロウロしてるのがチラッと見えて、こちらからは見えないところで着替えたようで、その後姿が見えたら、オレンジ色のTシャツとエンジのパンツと言う格好になってました。そして、楽屋を出て足を振り上げながら歩いてる淳くん、こちらの方を指差して再びロビーに出てくる様子。託児所のドアの前で「ここでいいの?」と言って、中に入って行きました。ここのドアは中に開くのだったけど、最初引いて開けようとして開かなくて、ちょっと照れ笑いしてました。
 託児所にいたのは10分くらいだったかな? ほどなくしてゾロゾロ出て来た出演者達はホールへ戻って行きましたが、全員はいなくて多分半数くらい。しかし、公演直前に出演者がロビーをウロウロしてるなんて、なんてのどかなの〜と変な感動しちゃいました。実際、この時はロビーにはもうかなりのお客さんがいて、淳くんは「頑張ってください」と声を掛けられたりしたけれど、平和でしたしねぇ。
 最後にじっくり観察した淳くんの後ろ姿はオレンジTシャツの下に黒いTシャツを着用し、エンジのパンツには腿のところに大きなポケットが付いてて、アウトドア用のもののようで、そのパンツを膝までまくり、白い靴下に黒い靴と言う、これまたのどかな雰囲気でした。

 その後、コンビニとロビーで見たのは別人だったのかしらぁ? と思えるほど、愛らしいピエール&ピノを間近で観て、帰りのバスに間に合うか、スリリングな思いもしたけれど、大満足で大船渡を後にした私たちでした。


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