Alfa Romeo 156
The Battle of Garage 13


 2002年 9月 21日
  走行距離 12,944Km
  作業内容 ダンパーの交換

 リア−ダンパー交換に引き続きフロントダンパーを交換する。リア−同様スプリングはアイバッハをそのまま使う。準備不足から予想以上に交換時間を要したリア−ダンパー交換の反省から、今回はできる限り事前準備を行った。ストラット構造の下調べに始まり必要となる道具の購入(これといって無かったが・・・)。もちろん不明な点はディーラーであるコーンズのフロントH氏からもヒアリングした。H氏曰く「フロントは大変ですよぉ〜。プロでも3時間作業です。本当にやるんですかぁ〜」だって(汗)。といってもいまさら引けない。大丈夫だろうかと不安な中、友人数名(K氏、M氏、H氏3名)から助っ人の申し入れがあった(と言うか半ば強制的に応援させたという説も)。持つべきものは友である(爆)。また、当初自宅の駐車場で作業しようと考えていたがK氏の提案でレンタルガレージを使うことにした。紹介いただいたレンタルガレージはNETで見つけられたそうである。ホームページを見る限りではちょっと怪しい(失礼)感じであったが、予想に反してかなり使えた。今回は一般作業で申し込みを行ったが、もともと塗装をメインに行うショップらしく充実した塗装設備を借りて塗装作業もできるようだ。また作業に使う工具類は無料で借りる事が出来ることも嬉しい。申し込みの際の電話応対や当日の対応(愛想)もかなり好感が持てたが、なんと言っても料金には驚く。なんと1時間300円なのだ。嘘ぢゃろ〜と疑いたくなる料金!。今時24時間コインパーキングでもそんなに安くないですよ(爆)。次回からのちょっとした作業はここに持ち込もうと思う。場所は多摩センター(我が母校C大学のすぐそば)にある。名前は秘密(笑)。

 さて作業はその秘密基地にて9時スタートした。まずはボンネットを開けてアッパーシート部分のナット(セルフロックタイプ 17ミリ)を緩める。完全に外さない。緩めるだけである。左画像ABCDの4箇所。この4箇所でアッパーアームユニットを固定している。ちなみにストラットは奥のCD2箇所でアッパーアームユニットと共締めされている。多分奥のCD2箇所だけを外せばストラットは外れそうだが念のためすべて緩めてユニットごと脱着することにした。ちょっと危険だがこの状態でストラットのセンターナットも緩めておく。ただし緩めるだけである。ナットは17ミリ、セルフロックタイプである。リア−同様先端に5ミリ(リアは6ミリ)の六角穴があり、ヘキサゴンを差し込み共回りしないよう緩めてやる。ナットはアッパーシートの窪みに埋まっている(リア−同様)のでオフセット75度以上のメガネレンチか貫通タイプのラチェット、インパクトレンチ等で緩める。小生はクリアランスが確保されているのでインパクトレンチで一気に緩めた。

 上部のナットが緩んだところで下部へ作業を移す。まずブレーキホースやセンサーコード類をストラットから外す。次にスタビライザーコネクティングロッドをストラットから外す。左画像がその作業の様子である。ロッドの先端のシャフトにはリア−同様ボールジョイントが使われているので共回りを防ぐために5ミリのヘキサゴンをシャフトの先端に差込みナットを外す。ナットは17ミリのセルフロックタイプ。ナットが外れるとロッドはストラットから外れるかと思いきや全然外れない。実はスタビライザーが効いていてストラットを持ち上げようとする力が働いているのである。ストラット自体は重さで垂れ下がった状態である。両者のベクトルがこのシャフトの部分で相反し摩擦が生じている。その力は結構強くシャフトをプラハンで叩いても効果はまったく無い。さあ困った!。

 そんな時は裏技を使う。左画像をご覧いただきたい。垂れ下がったストラットをジャッキで持ち上げてやるのである。持ち上げることによってスタビライザーの圧を下げてやり摩擦を無くしてやるのである。もちろんその際は「156メンテナンスビデオじゃそんな事ぜんぜん説明してなかったぞ!(怒)」とブツブツ独り言を言いながらだ(笑)。ジャッキをかける場所はどこでも良いと思うが、できればロアーアームじゃなくストラット先端のブラケットに直接かける方が安心である。ちょっとわかり辛いが左画像ではロアーダンパーブラケットの先端にジャッキがかけられている。何も考えずひたすらジャッキを使い持ち上げれば「カキンッ」という感じで圧が無くなりスタビライザーロッドはストラットから外れる。

 次にアッパーアームとナックルアームの結合部分を外す。結合部分はスタビロッドの先端と同様ボールジョイントが使われているのでこれも今までと同様シャフトの先端に5ミリのヘキサゴンを差し込んだ状態でナットを緩める。ナットは17ミリセルフロックである。あらかじめCRC5−56等の潤滑油を噴いておくとよい。ナットが外れれば普通なら両アームは外れるが、これまたぜんぜん外れない。どうやら固着しているようである。またまた困った!。ナックルアームを両手でつかみ「殺したろかぁ〜」と左右上下に揺さぶってもびくともしない(笑)。こういうときにはプーラー等という武器が必要なのだろうか。もちろんそんなものは持っていない。またもやホームセンターの梯子かと一瞬悩んだ。

 そんな時はまたまた裏技を使う。いや、裏技なんかじゃない。かなり強引な「力」技だ。左画像をご覧頂きたい。ハンマーで叩くのである。ボールジョイントを傷めないようあまり力一杯叩かず、弱い力で連打する。ここでさらに注意するすべき点がある。いくら弱い力で叩いても叩かれるシャフトの山は変形するという事だ。いざナットを嵌める時にねじ山がつぶれて入らないなどという事態は避けたい。そこで要らなくなったナットをシャフトに付けてナットの山を叩くようにする。左画像を良く見ていただきたい。シャフトの先端にナットがかかっていることがお分かりになるだろうか。コンコンと叩くこと数十回。「ガチン」という音とともに両アームは外れた。
 次の作業はダンパーブラケットを解放させる作業。左画像の通りダンパーブラケット(ダンパーフォーク等とも言うらしい)はロアーアームとナックルと一緒に固定されている。左画像の黄色い矢印Aのボルトがフロントからリア−方向に貫通し矢印Bのナットで固定されている部分がそれだ。ナットは19ミリ。かなり強いトルクで締められているので、柄の長いメガネレンチかソケットにブレーカーバーを使い外してやる。

 ナットが外れるとボルトを抜く作業である。右上画像の様にバイスプライヤーで捻りながら引き抜いてやろう。その際何度も書くがボルトの差込み方向、ワッシャ−の位置、枚数などをメモしておくとよい。
 さて、ダンパーブラケットの先端が開放されたら次はダンパーとの結合部を外す作業に入る。左画像がその作業を写したものである。黄色い丸で囲まれたところのボルト&ナットを緩める。ちなみに上部と下部が開放されたナックルとアームは作業しやすいよう手前か右横にずらしてやるとよい。ボルトは10ミリの六角穴が掘られているのでヘキサゴンを突き刺し緩める。反対側のナットは六角ではなく正方形ヘッド。一辺がブラケットと接していてモンキー等をあてがわなくても共回りはしないようになっている。ナットが外れればボルトを引き抜く。

 左画像は上下開放されたダンパーブラケットをダンパーから外したところの画像である。ブラケットはダンパーの筒に突き刺さった感じで固定されている為ブラケットを下げてやればよい。ただし完全に抜く為にはブラケットを約50ミリ下げなければならなく、この作業にはちょっとだけコツがいる。ロアーアームとナックルを出来るだけ下げた状態でブラケットをさらに押し下げる。知恵の輪を外す感じである。なかなか上手く表現できないのが残念である。ダンパーからブラケットがはずれるとダンパーは上部のアッパーシートで中刷りになった状態になる。あとは緩めておいたアッパーシートのナット4点ABCDを完全に外す。するとストラット及びアッパーアームユニットがボディーから外れる。
 ストラットが完全に外れると次にダンパーを交換する作業に入る。フロントストラットはスプリングにテンションがかかった状態で組み立てられているのでスプリングコンプレッサーを使いスプリングを縮める作業を行う。

この作業はいつも大変だ。そして注意が必要である。左右均等に締め込んで行かなければスプリングは変形するし、最悪の場合勢いよく外れ事故につながる場合がある。
 ある程度締め込まれるとアッパーシートにテンションがかからなくなる。その状態でセンターナットを外してやる。シャフトの先端に5ミリのヘキサゴンを突き刺し共回りを防ぐようにして外してやる。小生はインパクトレンチで一気に緩める方法で外した。センターナットが外れるとストラットは分解されダンパーの交換ができる。やっと折り返し地点通過。
 ダンパーを交換しスプリングをセットしアッパーシートをナットで固定する作業に入る。ここでちょっと注意することがある。アッパーシートとダンパーの位置あわせが必要なのである。左画像をご覧頂きたい。

ダンパーの最下部にはブラケットに挟まるフィンが突き出ていてブラケットに収まる方向が決まっている。またもちろんアッパーシートもボディーとの固定用のボルトが突き出ていて方向が決まっている。何も考えずスプリングを緩めると痛い目にあう。アッパーシートにストラットを固定させて、いざブラケットを突き刺そうとしてもフィンが横を向いているという具合だ。ちなみに小生は2回も脱着作業をさせられた(笑)。方向は左上画像の通り、下部フィンに対し上部ボルト位置が90度になるようあわせる。また黄色い丸印の所に小さい穴があるので穴が開いている側がフィンのある方向に来るようにあわせる。ストラットが完成したらボディーに固定する作業。アッパーシート及びアッパーアームユニットを17ミリナット4点で締めこむ。次にダンパーブラケットをダンパーにセットする。左画像がその作業を写したものである。アッパーシートの方向が間違っていなければ赤い丸印のところでダンパーから生えたフィンはブラケットに挟まるはずだ。

 あとはブラケット、ナックル、ロアーアームをボルト留めしナックルアームをアッパーアームと接続する。最後にスタビライザーコネクティングロッドをストラットに固定し各種ホース類を固定し作業は終了する。
 リア−交換のバトルガ12では記載しなかったが、作業完了後いくらか走行し再びジャッキアップし各部のナットを増し締めしよう。
 左画像が完了した画像。リア−同様黄色が眩しい!。9時に作業を開始してから終了したのが3時である。もちろん昼食をとらずにだ。延々6時間のまさしくガレージでの格闘であった。幾度となく壁にぶち当たり、その都度試行錯誤するという作業に目標時間をオーバーした原因が見られる。準備は周到にしたつもりだが実際の作業では何の役にも立たない。時間はかかったが今回の作業が無事に終了できたのは、兎にも角にも友人3名の応援があったからである。この場を借りてお礼を申し上げたい。

 ↑ お約束?(笑) ↑
ビルシュタインエンブレム

 さて、4輪がビルシュタインに交換された足回りのインプレッションについてレポートする。ビルシュタインは硬いという評判であったが想像していたほど硬くない。そりゃ純正より少しだけ硬くなったが許せる硬さだ。確かに硬くなった分突き上げ感は純正より強くなったが、硬質のスーパーボールの上に乗っている感じでけっして安物臭くない。文章で表現するのは難しいので画像で表現するとこんな感じだろうか・・・(笑)。ここにあるボールはもちろん硬質のスーパーボールである。
 もっとも評価する点はピッチが無くなった事である。純正は高速走行時に乗り物酔いしそうになる程ピッチが出て頭を悩ませたが、交換後は嫌なピッチは全く影を見せない。結果高速時のスタビリティーが数段アップした感じになり安心してアクセルが踏めるようになった。残念ながら未だ峠に持ち込んでいないのでハンドリングの評価は出来ないが、街中を勢いよく走る感じではリア−が幾分粘るようになっただろうか。逆にマイナス点は轍からくるキックバックが多少増えて直進性がスポイルされた感じだろうか。この点についてはアライメントの調整を行って様子を見たい。
 今回の交換は絶対お勧めである。小生がいつも言う「イタ車は吊るしが一番!」という持論を根底から覆された感じである。今時のイタ車はコストや組み立て工数の合理化から本当に「イチバン」じゃ無いのかも・・・。ちょっとだけ寂しい気になった。