Alfa Romeo 156
The Battle of Garage 22


 2003年 11月 24日
  走行距離 22,225Km
  作業内容 インチアップ (ホイール交換)

 ホイールを交換しインチアップをおこなった。一般的にインチアップではタイヤの扁平率が低くなり、タイヤの横剛性が高くなることで、1 コーナーリング性能の向上、2 ブレ−キング性能の向上などがメリットとして上げられる。一方、インチアップに伴なうデメリットも幾つか上げられる。まず、タイヤの断面の高さが低くなることで、路面とホイールまでの距離が短くなり、路面からの情報が、よりダイレクトに(ホイール→車体)に伝わるということである。こう書けばなんとなくメリットとして聞こえるが、実態は走行音(ロードノイズ)の増大や、タイヤである程度吸収していた路面の凸凹も吸収しづらくなり、乗り心地が悪くなる。そしてデメリットとしてもっとも大きいのがバネ下重量の増加である。金属(アルミ)で出来たホイールが大きくなるのだから、普通に考えると重くなる(軽量素材の場合を除く)。バネ下重量の増加は、走り出しのもたつきを引き起こし、しいては燃費の悪化をもたらす。つまりキビキビとした走りが出来づらくなるのである。また大きく凸凹した路面からの突き上げの収束が困難になり、よく言うタイヤのバタツキ感が強くなるのである。
 このようにインチアップはメリットもあるが、同時にデメリットを負うことも覚悟しなければならない。自分の156において、本当に気持ちよく走ろうとするならば、ホイールは15インチがベストだと思う。事実、今現在使っている冬タイヤには15インチ65%タイヤがセットされていて、乾いたアスファルトではずるずる滑り(スタッドレスだから?)はするものの、走りのキビキビ感は16インチより数段レベルが高く気持ちが良い。
 ではどうしてインチップしたの?、と問いかけられそうだが理由は簡単、カッコよくなると思ったから・・・(爆)。走りを犠牲にしてまでカッコに拘る自分が情けない(笑ってやってください)。そうは言うものの、インチアップによるデメリットを出来る限り最小限に食止めるべく、ホイールについてはなるべく軽量のタイプを選択しようと考えた。
 軽量ホイールといえばテクマグやBBSが真っ先に思い浮かぶが、いかんせん値段が高い。もう少しリーズナブルでしっかりとしたメーカのものは無いだろうかと探しているうちに格安物件が見つかった。
 購入したホイールは 0.Z 社製 SUPERLEGGERA−1 (スーパーレッジェーラ−1)である。なんともイタリアンな名前だが、この名前を英語で書くと SUPER LIGHTWEIGHT となる。つまり超軽量という意味なのである。それにしてもなんてまんま な名前なんでしょう(笑)。ちょっと昔に発売された某P社のビデオデッキ「録画王」を髣髴させるノリだ。何だかコッ恥ずかしい。イタリア人は平気なのだろうか。
 ホイールサイズは次の通り。リム幅8J リム径17インチ オフセット+35ミリ 5穴 P.C.D.98である。色はTUNER SILVERという名前らしいが濃い目のシルバー、所謂ガンメタリックと呼ばれる色である。

 左画像をご覧いただくとわかるが、ホイールが車体からかなりはみ出している。ジャスト「ツライチ」となり、フェンダーぎりぎりになった。車検は大丈夫だろうか。これは予想しなかったデメリットだ(笑)。
 これほどまでにはみ出すことになった原因は、リム幅とオフセットによるところが大きい。純正のホイールサイズはリム幅が6.5Jに対し、OZの軽量王 は8Jまで広がっている。横幅が1.5インチ(約40ミリ弱)ワイドになっているのである。装着時、オフセット位置が純正と同じ+45ミリなら、単純に外側、内側にそれぞれ0.75インチ(約20ミリ弱)はみ出すことになるのだが、オフセットも純正+45に対し+35ミリと10ミリもセンター寄りになっている。取り付け位置がホイールの中心寄りになるということは、相対的にホイール全体が純正の取り付け位置より10ミリ外側にはみ出す状態になるわけだ。広がったリム幅と変化したオフセット量のおかげで純正より約30ミリも外側にはみ出す結果となった。はみ出すおかげでアライメントはさらにポジティブスクラブ方向が増したと予想されるが、その結果どのようにハンドリングが変化するのだろうか。吉と出るか凶と出るか・・・。

 次にタイヤについて。今回は訳あってメーカーをチョイスできなかった(笑)。ちなみにホイールにおまけ として付いて来たタイヤメーカーはDUNLOPのフラッグシップモデル、SP SPORT9000である。かなり評判が良いらしい。値段もかなり良いらしいいが・・・。サイズは215/45/ZR17である。このサイズは、ほとんどのアルファオーナーさんが純正からのインチアップ(16から17インチ)に際し、選択するようである。しかしながら、純正タイヤの外径を基準に近似値を選択するならば、ワンサイズ幅の広い225/45/17インチでもよい。バネ下重量を考えると外形が少し小さくなる215幅の選択が良いが、装着後のボディー(ホイールアーチ)とタイヤのバランスを考えると225幅のほうが良い。215幅ではホイールアーチに対してタイヤ小さく見え、少し貧弱に見えてしまう。ただしタイヤの外径はメーカーによって微妙に違いがあるからあらかじめ調べることが必要である。ちなみに純正のコンチネンタルタイヤ(ContiSportContact)の場合は、205/55,16インチで外径が632ミリである。以下の表は主要メーカー別の上位機種別の外径サイズである。ご参考までに!。 (単位ミリ)
メーカー名(製品名) 215/45 外径 純正比 225/45 外径 純正比
DUNROP   (SP SPORT9000) 623 -9 633 +1
YOKOHAMA (db EURO) 627 -5 635 +3
BRIDGESTONE (REGNO GR-8000) 626 -6 634 +2
MICHELIN (Pilot Primacy) 626 -6 634 +2
TOYO (TRAMPIO Vimode) 627 -5 635 +3
GOODYEAR (EAGLE F1) 626 -6 634 +2

 タイヤサイズの選択は外径だけではなく、ホイールのリム幅も考慮した方がよい。今回購入したホイールのリム幅は8Jである。装着されてきた(笑)215サイズの適応リム幅は7Jから8Jであり、最適リムサイズは7Jなのである。つまりギリギリなのである。したがって、リムがタイヤを外側に引っ張る感じとなり、ホイールがタイヤから突き出てしまっている。見た目はイケてるが、正直言って縁石が怖い。ガリガリと擦ってしまいそうである。リム幅を考えると軽量王には225幅のタイヤの方が良かった(といっても選択出来なかったのだが)。
 数値ではある程度予想はしていたものの、装着後の第一印象は、ホイールアーチに対しホイールを含むタイヤ全体が貧弱である。ホイールのデザインも12本の細いフィンタイプのデザインだから尚更である。こうなると対策としては、車高を落とすか、ワンサイズ大き目のタイヤに交換するしか手は無い。だれか要りませんか?このタイヤ・・・(とほほ)。

 さて、今回のインチアップでどのくらいバネ下重量が増えるのだろうか気になったので、新旧それぞれの体重測定を実施した。
 左上画像が純正。下が軽量王である。一瞬自分の目と体重計を疑った。何度計っても結果は同じ、16インチより17インチの方が軽いのである。「うゎゎ〜バネ下軽量化ぢゃん!。純正って重いんだぁ〜」と駐車場に持ち出した体重計の前でしゃがみ込み、ニンマリ笑う姿を近所の人に見られなかっただろうか。思い出すだけで恥ずかしくなる
 バネ下重量の軽量化は過去おこなったショックの交換(純正から倒立タイプのビルシュタイン)で、多少の軽量化に成功しているが、今回のインチアップでも予想に反し軽量化する事が出来た。こうなると気になるのが乗り味だ。

 まず走り出しについて。もたつく感じは見られないが、キビキビ感も感じられない。純正とほとんど変わらない。徐行時の路面の凸凹は、予想を反して純正よりあたりがやわらかくなっている。コンフォートタイプのタイヤの影響だろうか。中速度で一番変化があったのが路面の凸凹についての処理。タイヤがばたつかず上手に処理してくれている。乗り味は純正よりさらにマイルドになった。このあたりはバネ下の軽量化の効果だろうか。逆に高速走行では突き上げは強くなっている。路面の繋ぎ目などを通過するときはドンという衝撃が伝わる。ただしその後の収束は、純正より早い感じだ。コーナーリング感覚は街中の交差点でしか走行していないので何とも言いがたいが、ロール感覚が少なくなったようだ。この点は少し残念である。個人的にはコーナーではグググ〜とロールさせながら曲がっていく感覚が好きなのである。
 さて、デメリットを幾つか報告する。まず、ロードノイズの増大。かなりうるさい。走り出してすぐにわかるほどである。SP9000は静寂性を考慮していると聞いているが、純正よりもかなりうるさくなっている。55%から45%への変更によるものなのだろうか、それとも(おまけ)タイヤのせいだろうか。次に、直進性能が悪くなった。高速走行では問題はないが、低速時は路面の轍にハンドルが取られれてしまう。ワイドタイヤだからある程度の予想はしていたが、予想以上である。この点は、まずアライメントを調整してみようと考えている。どのくらい良くなるか疑問だが、早急に対応したい。次回のバトルガネタ??(笑)。

 

 2003年 11月 10日
  番外
  作業内容 レストア
 

< レストア > 何ともエンスーを擽る言葉(響き)である。

  「週末深夜の帰宅。仕事で疲れ切った身体にもかかわらず、バーボン片手にガレージで待ちくたびれたボーイのレストアレーションに取り掛かる。1時間も経たずに両手はオイルで真っ黒だ・・・」

 そんな場面に使われそうな言葉だ。ところがドッコイ(笑)。雨ざらしの共同駐車場でそんなことが出来るわけも無く、ボーイのレストア等は夢の夢。 でも、使ってみたかったんですこの言葉!。今回はささやかだが、長年使い続けたキーホルダーのレストアをおこなった(←ヲイヲイそんなことに使うなよって (;^_^A )

 左の画像がそのキーホルダーである。164納車のときに購入し今にいたるまで使い続けた代物だから、来年で9年目を迎える。かなり汚い。メッキもところどころ剥れているし、本体部のマホガニーウッドもところどころニスが剥れて黒くなっている。新しい物に買い換えればいい話だが、これを使い始めてからというもの一度も大きな故障や事故に遭わなかったから、僕にとってはお守りみたいな存在なのである。
 キーホルダーのメーカーは bagnara (バニャーラ)である。サイトを覗くとお洒落なキーホルダーがいっぱいであり、物欲モードが全開になりそうになる、でもここは我慢。お守りをレストアすることにする。

 さて、レストアの第一段階はメッキの剥離作業である。車だと錆びの除去にサンドブラスト等を使うが、ここではひたすらサンドペーパーで擦る。使ったペーパーは耐水性のペーパー。最初は600番の粗い目で全体を磨き、徐々に1000番→2000番と細かくしていく。耐水ペーパーなので削れた粉がペーパーの目に入り込まないよう水をつけながら磨き上げる。完全にシルバーのメッキが剥離され地金(真鍮)が表れたら完了。

 左画像が完全にメッキを剥離した画像である。地金である真鍮は金より淡い色である。ただしペーパーでの下地処理によりまだまだ細かい傷が見られる。

 作業第二段階はバフ掛けである。サンドペーパーでは取れなかった細かい傷をなくす為の作業だが、同時に磨き切れなかった入り組んだ箇所を磨く為にも必要である。
 時間の短縮と細かい箇所のバフ掛けにはルーターがあると助かる。使用したルーターはPROXXON製のミニルーター。グラスの彫刻用に買ってあった道具である。先端にシリコンバフビットを装着し金属部をバス掛けする。仕上げはフェルトバフビットに少量の研磨剤を含ませ磨き上げる。研磨剤のつけすぎには要注意。ルーターのスイッチを入れたとたん壁や作業台は研磨剤だらけになってしまう。

 下地処理はルーターのバフ掛けでほとんど完了であるが、最後に再び手作業をおこなう。バフ掛けのわずかな斑をなくす作業である。
 楽器(ピアノなど)やメガネのレンズを拭く時に使う、やわらかい布に少量の研磨剤をつけ手で磨く。使用した研磨剤は日本磨料工業社製ピカール。<成分:研磨剤(20%、アルミナ系鉱物)、脱脂酸、有機溶剤(灯油)>
 かなり光沢が出たのがお分かりだろうか(左下画像)。この状態でも十分に綺麗だが、このままだと数日経つと錆び、光沢がなくなるのでこの状態にメッキを掛ける。

 メッキを掛けると簡単に言うが、素人が簡単にメッキ作業が出来るのか・・・?。じつは簡単に出来る道具があるのだ。
 その装具の名前はずばり「メッキ工房」 (まんまぢゃん/笑)。製造している会社は株式会社テックジャム。とあるショップ(楽器店)で紹介され、この道具を知ったのだが、最初は何とも怪しい商品だと疑いの目で見ていたが、実際使ってみると驚くほどちゃんとメッキが出来る。購入は同社サイトから通販でも可能だが、東急ハンズでも購入することが出来る。メッキの種類も、金メッキ 銀メッキ 銅メッキ ニッケルメッキ等の種類がある。

 詳しい使用法はサイトをご覧頂きたいが、標準工程は、予備処理→洗浄→脱脂→水洗→めっき→水洗→乾燥である。予備処理というのがいわゆる下地処理であり、メッキ作業の肝になる重要な工程である。綺麗に仕上げる(綺麗にメッキをかける)為には、この工程でいかに磨き上げるかがポイントとなる。
 今回のキーホルダーに対しどのメッキを選択するか少し迷ったが、耐腐食性に優れた金メッキを選択した。
 左画像はこれから脱脂工程をおこなう画像。画像右の白いプラスチック製のペンがメッキ筆。先端がフエルトになっていて、その部分に脱脂液を含まる。メッキはもちろん電解メッキの為、メッキする金属に電極を負荷させるが、脱脂についても同様である。

 隅々まで脱脂した後は水で洗浄し、すばやくメッキ作業に入る。使うメッキ液は24金メッキ液 18ml  3000円である。まず、キーホルダーの金属部にメッキ筆からのびたコードを接続する。コードの先端はクリップになっているので、金属部を挟めばよい。次にメッキ筆の先端のフエルトに金メッキ液をたっぷり染込ませ、キーホルダーを軽くゆっくりなぞるようにする。全体が金色に光だしたら、すばやく水で洗浄する。その後乾燥させ、ウエスで磨けばなんと不思議!金メッキが出来てしまう。

 出来あがったキーホルダーが左画像である。
 自分では綺麗になったと思っているが、妻はそうでもないらしい。見るや否や、「金色〜趣味わるっ!」 とのカウンターパンチである。でも言われて見ればなんとなくそんな気もしないでもない。
 シルバーにすればよかったか・・・。
今回のキーホルダーの補修は、もともとは左下画像の楽器補修の
ついでネタだったんですぅ〜。

 今年で15年目を迎えるYCR733。一見するとトランペットの様だがちょっと違う。管の長さ、太さ(厳密にはちょっと太いボア)、調子こそB♭とトランペットと内容はまったく同じだがこの楽器、正式名称はコルネットという。
 さすがに15年も経つとシルバープレート(管全体がシルバーメッキ)も要所要所に錆びが出始める。特に手が触れるピストン部や1番3番のトリガー周辺などは白っぽく変色してきている。
 通常この手の補修は、楽器屋に出すと軽く7万は超えるし、部分補修でも1〜2万はくだらない。結構ちゃんとした楽器だし、気に入っている物なのでフルレストア(楽器の世界ではオーバーホールと呼びます/笑)をお願いしようかと悩んだが、先立つものが無く今回は断念。

 とは言うものの、錆はどんどん進むので何らかの手を打ちたい。そんな中、通いの楽器店でこの話題を出したら、いいものがあると紹介していただいた。それが「メッキ工房」なのである。楽器全体のメッキ加工なら、ちょっと大変だが、部分補修ならこれで十分という事なので、早速購入し試してみることにした。
 左画像は1番バルブスライドを写したもの。U字のフックと管辺りが白く変色しているのがお分かりになるだろうか。この他にも3番バルブのフック付近、チューニングスライド、1番3番ピストンなど手が触れる箇所は見事に白く錆びが浮き始めている。
 作業はキーホルダーの補修で紹介したとおり、1、メッキ剥離 2、下地処理 3洗浄 4、脱脂 5、水洗 6、メッキ 7、水洗 8、乾燥 以上の工程である。特に気を使った工程は下地処理である。無駄に削りすぎると音色に影響するので、錆びた最小限の箇所をなるべく浅く削り作業した。

 キーホルダーの金メッキ作業と大きく違うのは、メッキ筆が銀メッキ専用(メーカーではこれをスペシャル筆と呼んでいます)になる。銀メッキは通常の電圧では上手くメッキできないので、抵抗を使い電圧を下げた筆になっている。メッキは金同様、筆をメッキさせる金属になぞるようにすればよい。金属の上で4,5回なぞれば、今まで黄色の真鍮が白っぽくなってくる。その後だんだん黒くなってくるが黒くなり出したら終了。十分に水洗いした後、やわらかいウエスで黒くなった部分を磨けばシルバーの地肌が現れる。まったくもって不思議である。
 左画像はリング付近の錆びて白くなったシルバーメッキを剥離して、再メッキ処理した管の画像である。驚くほど綺麗である。
 楽器は綺麗になったが、演奏は相変わらず下手だね。楽器が泣いてますよ。