道路公害を軽減するための東京都公害審査会への調停


公害審査会とは,公害問題でもめている事件を解決するために公害紛争処理法に基づいて設置された機関です.国と都道府県の審査会がありますが,都道府県をまたがる場合を除いて,道路公害の場合は都道府県の審査会が扱います.知事により任命された学識経験者らによる審査委員の中から,各事件毎に3名の委員が選定されて担当します.調停は両者の合意を目指すものですから,一方が相手の言い分を聞こうとい意志をまったく持たない場合は調停は調停不成立,不調となります.調停委員の権限は大きくありませんが,間に立って独自の調停案を提示し,双方に受諾の勧告をすることができます.勧告が出された場合,30日以内に異議を称えないと自動的に調停が成立したことになります.

私たちはこれらの道路の建設中止を求めて1992年11月,東京都公害審査会に調停を申請しました.もちろんそんな調停が成立するはずありませんが,裁判の進行に伴う中断があったものの,20回以上も調停の話し合いが持たれました.地裁での敗訴判決を受けて,1995年2月,私たちは道路建設を前提とした具体的な調停案を提出しました.これ以後,調停委員からの調停案も出されるに至り,俄然調停の気運が盛り上がってきましたが,一方の当事者である東京都や首都高は調停案受諾を一切拒否してきました.

(資料)都や公団の姿勢の変遷

7年間にもわたる多大な努力にも関わらず被申請人側の態度は変わらず,委員会は調停成立を断念,1998年4月23日,第23回の調停をもって打ち切りとなりました.委員長は「東京都や公団の拒否の理由は明確でなく理解できない,大変遺憾に思う.被申請人は公共体であり,今後沿道住民の不安を払拭するよう最大限の努力をしていただくことを強く希望する.」と,被申請人の態度を強く批判しましたが,それなら調停受諾勧告というもっと強い対応をとることもできたはずです.委員長自ら「この調停の限界」と述べたように,行政には弱いという公害審査会の制度的欠陥が露呈した形となりました.調停は非公開で行われてきましたが,不調となりましたので,これまでの経過を順次公開して行きたいと思います.

 

調停不成立に関する都と公団に対する抗議文

 

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