環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.4


1991年5月9日

第3回審査会の報告

第3回の審査会は,4月23日(15時00分〜16時)に開催されました。前回までの審査会で,住民側と都・公団の主張が全く対立していることが明確になり,「このままでは調停成立が困難」とみて,今回は調停委員が被申請人,申請人のそれぞれ個別の事情を聴取するため,時間をずらして審査会が行なわれました。

 

《出席者》

調停委員長 T氏,委員I氏,T氏

申請人(住民) 代理人 G氏,W氏,T氏   申請人13名

 

《審議内容》

新たに191名の参加申請

 この3回目の申請で,申請人は合計812名になりました。今回は特に「地下高速道路に反対する会」が環6拡幅区域内の沿道住民のために開いた説明会での呼びかけに応えてくれた方々と,計画変更が明らかになった中落合路外換気所予定地の住民の方々が多く集ったのが特徴です。さらに1000名をめざして申請人を集めましょう。

 

勧告申立書を提出

 私たち申請人は,地下高速道路および環6拡幅事業を遂行するための一切の手続きを当分の間中止するよう,委員会が都と公団に対して勧告することを求める勧告申立書を提出しました。これは,先の事業承認,事業認可を受けて被申請人側がこのまま事業を進めてしまうと,私たちが申請した事業中止の調停の成立が不可能になってしまうことから行なったものです。

 この勧告申立てについて,委員長は「被申請人の協力が見込める場合にのみできるのであって,今は無理」と語りましたが,申請人側はさらに食い下がり,結論は先にのばされることになりました。

 

環6拡幅の環境影響鑑定

 前回提出した環6拡幅の影響を調べるための鑑定申立てについて,委員長から,費用などの点から困難である旨発言がありました。これに対し,申請人側は,議論を大気汚染に絞ったとしてもなんらかの形の調査が必要であり,これに基づいて計画を変更すべき,と強く主張しました。

 環6拡幅の環境影響評価を行なわないのは違法である,との私たちの意見書に対して,公団から,違法性はない,とのこれまでの主張を繰り返す意見書が出され,私たちの展開した綿密な法律論に基づく意見に対する反論はありませんでした。

 

意見書(その2)を提出

 私たちの主張,つまりこの道路計画は様々な悪影響を周辺地域にもたらす,との調停申請書に対して,前回首都高速道路公団は「この道路による影響は少ない」とした環境影響評価書の一部をただ単に繰り返しただけのものを提出してきました。これでは全く答えとなっていないのですが,環境影響評価書が分厚いだけで,その中身がいかにいい加減なものかを示すため,私たちは意見書を提出しました。意見書は24ペ−ジにもおよぶ大部のもので,最も悪影響が予想される二酸化窒素に焦点を絞って,具体的に数値をあげて批判を展開しました。環境影響評価書における巧妙な数値操作の一端をあばきだしており,一読の価値がありますのでご覧になりたい方はお申出下さい。

 審査会ではこの内容をじっくり説明しましたが,環境影響評価書がいかに信用できないものであるか,委員の方々にも理解していただけたと思います。

 

 以上のように今回は私たちの主張を審査委員の方々にじっくりと聞いていただくことができ,私たちの主張の正当性について多少とも理解していただけたと思います。委員会としては次回までに,事業一時中止の勧告申立てと,環6拡幅が地域にもたらす悪影響調査の鑑定申立てに対する態度,さらには,この調停申請の進め方自体に対する態度を決めてくると思います。私たちの主張を入れた画期的な判断を下すか,それとも行政側についた弱腰の判断を下すか,注目しましょう。

 

第4回審査会は6月4日(火)

 場所は未定ですが,新宿の新都庁で1時30分から行なわれます。12時30分西武新宿線中井駅集合とします。上述のように次回の審査会は大変重要なものです。できるだけ大勢でご参加下さい。

 


第3回定例会で行政訴訟提起を決定

 4月8日の定例会では,都・公団のこの道路計画への建設大臣の事業承認,認可の取消しを求める行政訴訟への取り組みについて話し合いました。調停申請だけでは,道路建設の中止はもとより,改善策さえ容易に引き出せない見通しから,これと平行して行政訴訟に取り組む必要があると確認されました。そのため,費用負担などについてさらにつめて行くことになりました。もちろん原告になるならないは完全に個人の自由意志によることはいうまでもありません。

 


弁護士交代のお知らせ

 Y先生は都合により他の弁護士事務所に移られ,この件を担当することができなくなりました。代わりにW先生が新しくこの件を担当することになりました。W先生は弁護士1年生ですが,バイタリティ−あふれる方で,初めての仕事としてこの件を担当することになり,大変張切っていらっしゃいます。今後の活躍が大いに期待できます。


行政訴訟を行ないます

 

目的

 私たちはこれまで,地下高速道路中央環状新宿線事業および環6拡幅事業の差し止めを求めて,公害審査会への調停申請を進めてまいりました。この道路計画に関する建設大臣の認可・承認の取消しを求める行政訴訟も,目的は同じですが,より直接的に事業の可否を争うことになります。

訴訟の論点は

 建設大臣の認可・承認が違法だということを裁判所に認めさせることになりますから,この認可・承認の元になった道路計画が,これを進める手続き面でも,また計画自体としても違法であることを明確にする必要があります。計画の手続き面では,調停の中でも指摘したように,環6拡幅の環境影響評価を行なっていないという,明瞭な環境影響評価条例違反,都市計画法違反があります。計画の実体面でこれらの事業による環境の悪化,という公害対策基本法違反をあげることができます。この事業の影響を調べた環境影響評価書は,東京の大気汚染が大幅に改善されることが前提となっていますが,現実には悪化の一途をたどっているのです。さらには,無制限に車が増え続く中でこの道路の目的とする交通流の円滑化は絶対に不可能であるという点もあげることができます。

調停手続きとの関係は

 これまで通り公害審査会の調停は続けます。公害審査会では,道路を作る中でいかに私たちの意見を反映させるか,という妥協点を探るのが本来の目的ですが,行政訴訟では作るか作らないか,どちらかしかありません。行政訴訟で勝利すれば調停は無意味になりますが,展開が不利な場合には,やはり調停にも頼らざるを得ません。これまでの手続きで明らかのように,公害審査会の中で一定の譲歩を公団側から勝ち取るのは極めて困難です。行政訴訟による圧力は調停手続きを進める上でも大変有利に働くはずです。

申請人と原告との関係は

 前述のように訴訟と調停とは一体のもので,担当弁護士も調停と同じです。申請人すべてが原告になることは,それぞれの方のご都合もあり,無理なことですが,逆に原告になる人はすべて調停の申請人であることが必要です。

訴訟費用はカンパなどで

訴訟というと大変費用がかかるように思われるかもしれませんが,訴訟に必要な正規の手数料(裁判所への支払い)は,訴訟全体で8200円です。最大の費用は弁護士報酬ですが,100万円ということで引き受けていただきました。これについては,原告一人に付きいくら,という形ではなく,カンパや申請人の会会費でまかなっていきたいと思います。訴訟をあくまで申請人の会の活動の一部ととらえ,両者の会計を特に区別しないことにしたいと思います。なお,調停に関わる弁護士費用は,これまで,会合などが1回ある毎に弁護士一人当り1万円支払ってまいりましたが(後述の会計報告参照),今回の訴訟では違う形にしたいと思います。最終的に勝訴して道路ができないということになった時には,成功報酬として別に考える必要がありますが,これについては今後考えていきたいと思います。

原告になって下さい

 この訴訟を進める上で最大の問題点は,提出期限の6月8日まで(事業認可から3ヵ月)という限られた時間内にいかに多くの原告が集まるかです。原告になることによる特別な負担は基本的にはありません。ただ,できれば前述の弁護士費用捻出のため,1世帯当り5000円程度のカンパをいただけたらと,考えております。基本的には,訴訟委任状2通に押印し,原告目録を作成するための用紙に記入するだけで原告になれると考えて差し支えないと思います。

 なお,ご意見,ご質問がございましたらぜひお聞かせ下さい。

行政訴訟をめざして第4回定例会を開きます

日時:5月13日 (月)

   午後7時より

場所:新宿区落合第一出張所

   2階集会室

   新宿区中落合 2-19-2

内容:この訴訟への取り組み方について,この会で正式に決定したいと思います。多くのご意見,ご質問をお待ちしております。

 


事業説明会が開催されています

道路計画の事業承認,認可を受けて,公団による説明会が沿道各地で開かれています。4月26日の落合第5小学校での説明会では,事業の概要,実施予定,用地買収,補償などについて説明の後,質疑応答になりました。当然,補償についての質問が多くだされましたが,説明の時にはあれこれうまい話をしていました。が,質問に対しては,個別に対応するということで,具体的な話は一切出さず,住民の不信感をかっていました。

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