環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.6


1991年6月20日

430名で行政訴訟を起こしました

 かねてからの予定通り,私たちは調停申請に続いて行政訴訟を起こしました。5月28日に247名(当初248名でしたが,拡幅地域内の1名が財産権裁判に変更しました)で東京地方裁判所に第1次提訴したのに続いて,6月10日には167名が第2次提訴をしました。また,環6拡幅地域内の方,15名,1法人による提訴も合わせて行ないました。準備から訴訟期限の6月10日までの短い時間の中で,このような大規模な訴訟を起こすことができたことについて皆様のご協力に感謝いたします。

 

マスコミでも大きな反響

 5月28日の訴状提出後,裁判所内の司法記者クラブで記者会見を行ないました。クラブ加盟の新聞社16社,テレビ6社すべてが取材に来ており,新聞,テレビでも大きく取り上げられましたので,ご覧になった方も多いと思います。マスコミでこのように取り上げられたことは,私達の運動を社会問題化していく上で大きな力になり,弁護士共々大いに気を良くしています。

 

訴訟の構成について

 今回の訴訟は大きく2つに分かれます。環境問題だけを取り上げる周辺住民の訴訟と,財産権侵害の問題も加えた,環6拡幅により土地,建物等を奪われる方々による訴訟があります。これにより私たちの訴訟は大きな幅を持つことになります。特に後者の裁判では,土地の一部を奪われ,しかもそこに住み続けることで環境影響を受ける方が加わっていることから,裁判の上で環境問題と財産権侵害問題とを切り離すことができない構造になっています。このため,提訴は都合3回にわけて行ないましたが,いずれ併合ということになると思います。

 

調停との関係について

 訴訟の原告は全員公害審査会への調停申請人に加わっており,裁判の一方でこれまで通り公害審査会の調停は続けます。原告の範囲を実際に影響を受ける範囲よりも狭い環境影響評価の関係地域内の方に限ったため,少し離れた地域,例えば新宿区下落合,西落合などにお住まいの方は公害審査会への申請人でも裁判に参加できませんでしたが,調停の方をよろしくお願いいたします。

 公害審査会では,道路を作る中でいかに私たちの意見を反映させるか,という妥協点を探るのが本来の目的ですが,行政訴訟では作るか作らないか,どちらかしかありません。行政訴訟で勝利すれば調停は無意味になりますが,展開が不利な場合には,やはり調停にも頼らざるを得ません。公害審査会の中で一定の譲歩を公団側から勝ち取るためにも,行政訴訟による圧力は大変有利に働くはずです。

 

印紙代についてクレ−ムがついています

 今回の3回の提訴ではそれぞれ8200円の印紙を添付しましたが,裁判所側は,まず最初の訴状について,1人につき8200円ではないか,とクレ−ムを付けてきました。また,訴状の送達を受けた国側代理人からも,「訴額に関する上申書」が裁判所あてに提出され,その中で,印紙代は1人当り16400円が適当だから不足分を原告に支払わせるべきである,という言いがかりのような意見が述べられています。

 印紙代問題は国民が裁判を起こす権利を侵害する重要な問題です。私たちは本格的な裁判に入る前にこのことで争わなくてはならなくなりました。

 

裁判のためにカンパをお願いします

 今回の訴訟に当っては,特別な会費はいただいていません。1世帯当り年2000円の会費(これまで通り)とカンパでまかなうつもりです。しかし,予想通り裁判所から印紙代についてクレ−ムがついてきたことから,最悪の場合,財産権裁判では個別に最大1人数万円程度,環境権裁判では合計3,394,800円が必要となります。

 弁護士報酬100万円は既に支払いましたが,その他にも実費としてかなりの金額が必要になると思います。皆様からのカンパが頼りですのでどうかよろしくお願いいたします。なお,この度,郵便振替の口座を用意いたしましたのでご利用ください。口座番号は東京5−601313です。

 

薬害被害者から大口カンパが

 クロロキン薬害の被害者の方々から,私たちの運動に300万円の寄付が寄せられました。クロロキン薬害とは,腎炎の薬としてリン酸クロロキンを長期間,大量に服用したことにより視力障害が生じ,多くの失明者も出たという事件です。被害者が,国,製薬会社,医療機関を相手に訴えた裁判で,1982年被告に重大な過失があったとの判決がありました。その後和解金が支払われましたが,その中から反公害のためにたたかう人のためにと積み立ててきたものの一部を提供していただきました。この裁判を勝利に導いたG弁護士の口ききがあってのことですが,このような浄財をいただいて,身も心も引締まる思いです。薬害被害者の方々の思いを受けて,皆で力を合わせてなんとか私たちの裁判も勝ち抜いていきたいと思います。

 

提訴にあたって   環6高速道路に反対する会

訴訟,そして原告という言葉のもつ重さのために,私自身なかなか提訴の決心がつかなかったのですが,弁護士の方々の「充分闘える」という一言に支えられ,いざ動き出してみると,意外にも多くの方々の同意を得ることができ,驚き,喜ぶと同時に,私たちの置かれている状況の深刻さと,それをなんとかしなくてはいけないという強い願いを痛感いたしました。微力ながら,互いに手をつなぎ合い,支え合って,私たちの環境を,生活を守るためにご一緒にがんばってまいりましょう。

 


第4回審査会の報告

第4回の審査会は,6月4日(13時30分〜15時30分)に開催されました。

 

《出席者》

調停委員長 T氏, 委員 I氏,T氏 

 

被申請人(東京都・公団)

 東京都 W氏,M氏,K氏,M氏,U氏

 首都高速道路公団 O氏,S氏,S氏,N氏

 

申請人(住民) 代理人 G氏,W氏,T氏  申請人10名

 

《審議内容》

参加申し立て人は812名に

 前回申請した申請参加人,191名が承認され合計812名になりました。次回も多数の参加申請をしたいと思いますので,ご協力をお願いいたします。

 

裁判と調停の関係について

 調停委員長から,調停と行政訴訟の関係について質問がありました。これに対しG弁護士は訴訟と調停とは平行して進めるむね回答しました。首都高速道路公団のO氏が「訴訟で事業を取り消せといっている人が,具体的な和解を求める調停手続きをしているのはおかしい」と発言しましたが,調停委員長は「訴訟の一方で和解を求めることは日常的に行われることである」として調停の続行を決めました。

 

被申請人から文書多数が提出されました

 東京都,東京都都市計画局,首都高速道路公団から以下の文書が提出され,それぞれ説明がなされましたが,いずれも内容のない,不誠実なものです。

 

東京都

・上申書:申請人が提出した「事業を遂行するための一切の手続きを当分の間中止せよ」という勧告申立て(4月22日)は根拠がないから却下されたい,という内容。

・意見書(その3):環6拡幅の環境影響評価を行わなかったことに法律違反はない,との追加意見。私たちが3月14日に出した「環境影響評価手続きは条例・法律に違反して無効である」という意見書に法律論で答えたものですが,内容は予想通りのもの。

 

東京都都市計画局Y

・陳述書:都市計画決定に関わってきた立場から,「環境影響評価の手続きに違法性はない」との意見を述べています。内容的にはこれまでと同じです。

 

首都高速道路公団

・上申書:「手続き進行中だから,手続き中止の勧告申立てを却下されたい」という内容。さらに事業を中止するとこの事業に協力している多くの土地所有者に対して不測の事態を生じさる,と述べており,多くの人々が,引っ越すあてがない,商売が成立たない,など深刻な悩みを抱えていることに対する配慮はありません。

・意見書(3):4月23日に提出した私たちの意見書(その2)に対する意見。私たちはその意見書の中で,「審議は環境影響評価書の中に留まるべきでない」として,新しいデータを用い,評価書を詳細に批判しました。それに対し公団は,公害審査会は評価書を審査する場ではない,という私たちの意見を曲解し,「環境影響については評価書を参照されたい」との意見書をだしてきました。

 

文書提出申立書を提出しました

 私たちは,被申請人がどれだけ環境に配慮してこれらの計画をたてたのかを知り,具体的な調停案を作成していくために,都や公団に対し,未公開の資料等,例えば事業地を本件地域に定めた理由を示す公式文書,工事実施計画書,詳細な図面,環境影響評価書に引用されている出処不明の文書など,を提出するよう申立てしました。

 

公団が大気汚染を認める発言

 私たちが意見書(その2)で指摘した,環境影響評価書における大気汚染予測の誤りについて議論がなされました。そして,公団のS氏は,これらの道路により沿道3km以内という広い範囲でNO2濃度が0.001ppm上昇する,という大きな影響を認める発言をしました。評価書が正しいと主張するためにはこれを認めざるを得ないのです。

 

次回の審査会は7月18日です

 場所は未定ですが,新宿の新都庁で1時30分から行なわれます。12時30分西武新宿線中井駅集合とします。議論は会を追う毎に白熱し,面白くなっています。


第6回定例会を開きました

 6月10日,第6回定例会が開かれ,訴訟に至るまでの経過,今回の訴訟の構成,今後の見通しなどについて話し合いました。また財産権に基づく裁判の原告になった方々に対しては,弁護士を交えた特別な会合をもつ必要があることが話し合われました。

 

次回の定例会

日時:7月27日(土)午後2時

場所:S集会室

 

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