環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.7


1991年9月12日

 

10月28日,いよいよ第1回法廷

 道路建設取り消し裁判の第1回口頭弁論が10月28日(月)午前11時から12時頃まで東京地方裁判所の606法廷で開かれます。当日法廷では,私たちの弁護団による訴状の陳述と,1〜2名の原告による意見陳述が行われる予定です。また,訴状に対する被告側の答弁書もこの日までには提出されると思われますし,法定には被告の建設省に加えて,都,公団の職員も来ることが予想されます。法廷後は裁判所の付近で報告集会も開きます。マスコミなどから注目を集めている裁判ですので,こちらの意気込みを示す意味でも出来るだけ多くの原告の参加を期待します。また原告でなくても傍聴が出来ますのでぜひ参加をお願いいたします。傍聴希望者が多数予想される場合は,大きな法廷に変更させる必要がありますので,傍聴を希望する方は今月中にご連絡ください。

 

印紙代返還訴訟も提訴

 すでにカンパのお願いなどを通じてご承知のことと思いますが,裁判所から約400万円という不当な印紙代支払いを命令されました。似たような状況に追い込まれた住民運動では,原告の人数を大幅に減らすという形で対処したため,多少とも力を失ってきました。例えば3兆円の印紙代を請求されたことで問題となった湾岸戦争の戦費90億ドル支出差止め訴訟では,その後270万円に減額されたものの,571名いた原告の大部分が取り下げ,わずか2名が原告として残ることになりました。しかし,私たちはなんとかこの400万円を支払うことで,ほとんど当初の人数を維持したままの423名で裁判を進めることになりました。このことは私たちがどこまでやるかを注目していた被告側(建設大臣)に対して大きな圧力になります。また,90億ドル支払い差し止め訴訟や,私たちの裁判を契機にして,裁判所の印紙代のとり方に対するマスコミや法曹界の非難の声も高まっています。そこで,この払いすぎた印紙代の返還を求めて「過納手数料返還訴訟」を起こしました。この訴訟のための新たな印紙代はかかりません。この訴訟の行方も国民の裁判を起こす権利に直接関係する重要なもので,マスコミの注目を集めています。

 

 


第5回審査会ドキュメント (7月18日)

 私たちが問題にしている道路は,地上の環六拡幅と地下の高速道路建設との二つです。しかし環境アセスメントは地下高速道路についてだけ行われており,地上の拡幅が環境に与える影響についてはまったく調べられていません。これは明らかな条例違反ですが,都・公団はこれを認めようとせず,これまで審査会の中で何度か論議されてきました。

 環六拡幅は,アセス条例が施行された昭和56年のはるか以前,昭和25年に計画決定がなされました。都や公団は,条例の施行時までに事業に着手していたものはアセスの対象外である,という条例附則3項を根拠にして,「環六はアセス条例制定時までに幅22mに整備されて概成しており,すでに事業に着手したことになるからアセスは不要である」と主張しています。アセスが不要であるという根拠になっている「概成」とはなにかという塚田委員長からの質問に対して都からの説明があり,以下のようなやりとりがなされました。

 

(K 都道路建設部計画課長)概成道路とは,計画幅員15メートル以上の場合は計画幅員の60%以上,または18メートルをすでに有するものをいっております。かかる道路はその整備状況や利用状況等からすでに事業に着手されているものである,ということでございます。条例が制定されたときに条例に適用するかしないかについて,事業局である建設局と条例を所管する局との間で協議したものでございます。

(G弁護士)その協議内容というのは公文書になって公表されていますか。

(K)公文書にはなっておりません。メモ書きはございますが。

(I調停委員)そう言うふうに決ったものについて,いわゆる法律用語でいう公定力というものは持っているわけですか。

(K)法律的にうんぬんということについては私ども今ちょっと確答できませんが。

(G)法律家として参考までに申し上げますが,公定力はあるはずがありません。

(S:申請人)現況幅員が18m以上あれば,計画幅員が,今回は40mですけれども,80mであろうと100mであろうとアセスをしないと決めてしまったわけですね。

(K)一応解釈的にはそうなろうかと思います。

(G)「または18m以上」というところに何か特別な理由があるのですか。

(K)特別な理由があるかどうかというのは,私いま理解しておりませんのでお答えできません。現実的な道路の形態からいけば,計画40に対してここは22ですけれども4車線,40mの6割にしても24mの4車線でございますので,いわゆる利用形態からすればそう差異はないんではないかと,そういう意味かなという感じがしないでもない。これはあくまで感じでございます。

(G)東京都の解釈でやった,ということになると,4車線以上,延長1km以上の改修はアセスが必要である,という条例が死文化するわけですよね。

(委員長)ただ,条例等が一定の規則があって,実際に運用する場合にやっぱり担当する機関が自分の解釈でやるということは当然ですね。だから,その場合に細かいところでちゃんと文章化されていなければならないとか,規則化されていなければいけないというのは,実際は望むべくして無理な場合もあるんじゃないですか。

(G)本件の場合がそういう場合であるとおっしゃっているんですか。

(委員長)と,思います。

(G)それだったら私ども,委員長に対してはっきり不信感を表明します。とんでもないことだと思いますね。そういうことであればもうこの手続きは打切ってください。そういうことをおっしゃる委員長のもとで調停をやっていく気はありません。

(委員長)しかし,どうですかね。僕の考えはおかしいかなあ。これについては条例を適用しないという規則があれば,それに沿ってやるのは別におかしくないでしょう。

(G)あればですよ。

(委員長)だから今の場合,条例にあると私は思うんですがね。

(K)いわゆる附則3項によって当該事業はアセスの対象にならないという解釈でございます。これは条例所管局もそういう解釈をしておりますので,なんらおかしくはないと思うんですが。

(委員長)ただそういう考え方が正しいかどうかは一応別問題ですがね。私はそういう解釈をしております。ただ本件の場合いろいろ問題がありますので,その一事をもってどうということは考えておりません。それでは次に事務局の方から…

(G)委員長,手続きを停止してください。重大問題ですので我々に考える時間を与えてください。休憩を要求します。15分ください。

(委員長)はい。

(G)全員引上げます。

 

 このやりとりでわかるように環六拡幅のアセスをやらなくてよいという都・公団側の論理は完全に破綻しています。しかし,これまでの審査会で都や公団は従来の自分たちの主張を繰り返すだけで,私たちの声に耳を貸そうとしません。都や公団がこのような態度をとり続け,委員長までがその主張を認めてしまうようでは,これ以上このような議論を続けても相手のわずかな譲歩を引き出すことすら期待できません。今回の審査会は途中で打ち切りとし,次回は私たちの方から具体的な調停案を提出することで今後はそれを中心にこちらのペースで論議を進めさせよう,と話し合いました。

 

 最後に,いつも不遜な態度の公団のO氏よりこんな質問がありました。

(O)この調停が成立すれば訴訟を取り下げていただけるのでしょうか。

 ★裁判を嫌がっているようすがありありとうかがえました。

 

次回の審査会は10月9日(水)

場所は未定ですが,午後1時30分からで,西武線中井駅12時30分集合の予定です。直接行かれる方は事前に場所などについてお問い合せください。

 


第8回定例会のお知らせ

9月20日(金)午後7時30分

新宿区落合第一出張所2階集会室

 裁判に対する私たちの取組み方,公害審査会に対する調停案作りなどを検討します。今回は弁護士との懇談会にもしたいと思いますので多数の参加を期待しております。

 

定例会報告

第7回定例会は7月27日に,弁護士事務所のT氏を交えて行われました。7月18日の審査会についての解説,印紙代に対する対応などを中心に話し合いが行われました。

 


カンパありがとうございました

 印紙代を支払うため,会員外の方も含めて,多くの方々からカンパをいただきました。この機会に反対運動開始以来,カンパをいただいた方々のお名前を記させていただきます(省略)。ありがとうございました。

 今後裁判を進めていくためには,専門の研究者の協力をあおいで調査研究を進めたり,ひろく世論を喚起していくなどの活動資金がますます必要になります。印紙代返還の訴訟も決して楽観できません。今後とも皆様のカンパをよろしくお願いいたします。

 


道路をめぐる動き

構造等検討区間(豊島区部分)

 「高架の高速道路は作らせない」とする区をあげての強力な高架反対運動の前に,構造を検討しなおすために切り離されていた豊島区部分1.4kmについて,地下化技術検討委員会の審議結果がまとまり,6月25日公表されました。これによれば当初820mあった高架部分はかなり減るものの,地下からの立上がりの高架道路160mが豊島区高松に残り,さらに有楽町線要町駅の南側に新たな換気搭ができることになります。

 

中落合路外換気所

 25世帯130名の立ち退きが要求されていた中落合路外換気所は,路内への変更が決定し,5月8日に説明会が行われました。この変更で路外換気所住民は立ち退きを免れました。しかし,新たな計画では路内に高さ45mの排気搭と高さ20mの吸気搭の2本が立ち,地下には深さ48m,幅38mの巨大な構造物ができます。周辺環境への悪影響は極めて大きいものと予想されますが,軽微な変更であるとしてアセスメントさえ行われません。

用地買収

 新宿区落合地区内での情報ですが,1平方mあたり390万円(坪当たり1285万円)程度を提示されたそうです。すぐ移転するよう催促されているとのことですが、物件移転補償費は代りを探すのが困難なほどの低額で当惑しているとのことです。

 今後も情報をおよせください。また,地権者等に対して公団側からの働きかけがあると思われますが,どんなことでもお気軽に弁護士にご相談ください。

 

資金集めのバザーを行います

落合地域・地下高速道路に反対する会ではこれまで何回かリサイクルバザーを行って資金を集めてきました。1回十数万円の収入になります。今回は資金難に陥った現状を打開するため,「環六高速道路に反対する会」主催で盛大にやりたいと思います。10月13日(日)11時から 2時頃まで,場所は未定です。皆様のお宅に眠っているご不用品などを提供して下さいますようお願いいたします。また,事前の準備や当日のお手伝いなどもよろしくご協力お願いいたします。ご連絡をお待ちしております。

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