環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.16
1993年6月11日
次回6月18日の法廷では
東京都自動車公害対策室の方が証言へ
6月18日(金)1時半から3時半まで,東京地裁606法廷で開かれる第8回口頭弁論では,私たち原告側の証人尋問を行ないます。被告側は証人尋問を行なわないと言明していますから,おそらくこの裁判では唯一の証人尋問となります。証言に立って下さるのは,東京都環境保全局自動車公害対策室のF氏です。F氏は事業主である東京都の職員ですが,仕事がら東京の大気汚染の実態に通じており,その証言によって,環六拡幅と地下高速道路の建設によりますます深刻な大気汚染をまねいてしまうという状況が明らかになるものと期待されます。大勢の皆様が傍聴に参加されますようお願いします。なお,中井駅に12時20分に集合しますが,直接法廷に行かれてもかまいません
前回4月21日の法廷では
地域に公害をまき散らす道路や空港などの都市計画事業に反対する住民が起こした私たちと同様の多くの裁判では,事業に公共性があり,被害は認容限度内である,という理由で負けています。これまでの裁判では公共性批判が不充分だったのです。そこで私たちは「この事業には公共性が全く認められない」という事実を明確に主張しました。中央環状新宿線建設の目的は「首都高都心環状線の渋滞の解消」となっています。つまり,首都高の渋滞が解消して初めて事業の目的が達成できたこととなり,公共性があるといえるわけです。しかしこれまでの首都高速道路建設の歴史を検証すれば,こうした環状道路建設は渋滞の緩和にはつながらず,逆に新たな渋滞箇所を生むだけであることは明らかなのです。
また,この法廷で,私たちは前述のF氏の証人尋問を求め,承認されました。それとともに,原告を代表して長年道路反対運動を中心的に進めてきた新宿区中井のAさんにも地域の公害の現状,都や公団の住民無視の手続きの進め方,それに対する住民運動の経過などを証言する機会を与えて下さるよう申請し,原告本人尋問として認められました。Aさんの証言は,F氏の証言,それに対する反対尋問の次の法廷で行なわれることになります。
一方,被告は準備書面7を提出し,私たちの主張の中で地下開発の危険性を述べた部分と,中央環状新宿線はJR山手線の地下に作る方がまだ合理的である,という点について反論してきました。しかし,これらの反論は相変わらず表面的なもので当然予測された範囲内のものでした。必要に応じて再反論をする予定です。
この法廷では今後の裁判の進め方について話し合いがなされました。被告は私たちの主張が「錯雑としている」から,もう一度論点主張整理のための準備手続き(原告・被告双方の代理人と裁判官による非公開の話し合い)が必要であると申立てました。私たちの主張は明快なはずですが,被告側だけはよく理解していないようで,裁判長も苦笑していました。このため5月12日に準備手続きを行なうこととなりました。
早期結審となりそうです
5月12日の準備手続きに出席した和久田弁護士によると,被告の要求で開かれたにもかかわらず被告側からはなんらの主張もなく,わずか10分ほどで終わってしまったとのことです。ここでも,裁判長は被告側に事業の適法性を主張・立証する責任がある旨述べ,今後の計画をたずねましたが,被告側は「若干の書面を出すが,証人を立てるなどの立証はこれ以上展開する予定はない」と明言しました。被告準備書面7もそうでしたが,私たちの主張に対する反論はしていますが,そのことの裏付けとなる充分な立証はしていません。裁判長もそうした被告の真意を図りかねて再三にわたって被告に主張・立証責任があることを述べていますが(まったく裁判所というのは国側に対してはなんと親切なことでしょう!),相変わらず被告はそれを無視しているのです。
今後は,F氏の証言,それに対する反対尋問,Aさんの原告本人尋問がありますが,裁判長はそれが済めば結審するつもりであると言いました。このまま裁判が進めばかなり早い時期,来年早々には結審そして判決ということになりそうです。
恒例のバザーはますますも大好評
日程の都合上,ニュースでお知らせすることができませんでしたが,5月16日に恒例のバザーを開きました。非会員の方を含め60名もの方から多数の品物をお寄せいただいたおかげで,またまた前回を上回る237,961円もの売上がありました。このバザーは今回で8回目をむかえ「安いし,ものがいい」と,地域の人々の評判もよく,常連のお客様もずいぶんと増えました。値札付けや当日の販売など,毎回のご協力,有難うございます。
1993年分の年会費をご納入下さい
今年の会費未納の方がいらっしゃいます。振替用紙を同封してありますので,至急納入して下さいますようお願いいたします。昨年末では若干の余裕がありましたが,証人や鑑定書作成に対するお礼,調査研究費など裁判の最終段階へ向けて費用など,支出が急増することが予想されています。年会費は,1世帯(または事業所,学校など)あたり2000円です。
ステッカーで道路反対の意思表示を
街の中に私たち会が作った,道路反対の葉っぱのステッカーが目につくようになってきました。立ち退き対象となる環六沿道の方々の土地譲渡収入を食い物にしようとしている人たちにはあのステッカーが目障りなようで,いらだちの声も伝わってきていますし,ステッカーを勝手にはがされたという話も耳にします。とはいえ,まだまだ数が不足です。ご自宅はもとより,ご近所の方にもお願いして,街中を道路反対の意思表示のステッカーであふれさせたいと思いますので,皆様のご協力をお願いいたします。貼っていただける方は会の方までお申し出下さい。
地権者の方々へ
都や公団の動きが活発となっています。測量に関する連絡がありましたら「立ち退きませんから測量には協力できません」といって拒否して下さい。また,どんなことでもお気軽に私たちの会の弁護士にご相談下さい。
提訴2周年記念集会のお知らせ
7月3日(土)午後2時から4時まで,提訴2周年の記念集会を開催します。場所は「M」です。弁護士を交えて,裁判のこれまでの経過,今後の展望について話し合います。なお,6月26日に予定していた定例会は中止といたしますのでご注意下さい。
<準備書面7より>
中央環状新宿線建設は都心環状線の円滑化が目的です。これまでも渋滞解消を目的に多くの道路が作られましたが,都心環状線の交通量は変化していません。道路を作ってもすぐ車がいっぱいになってしまうのです。それどころか渋滞は増える一方です。中央環状新宿線だけが例外で,渋滞緩和効果がある,などとは考えられません。