環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.18


1993年10月12日

 

原告を代表してAさんの証言 10月22日

 10月22日(金)1時半から3時まで,東京地裁606号法廷で開かれる第10回口頭弁論では原告を代表してAさんに証言していただくこととなりました。Aさんは「落合地域・地下高速道路に反対する会」の代表として,この訴訟を起こす前からさまざまな形で行なわれてきた道路反対運動の中心として活躍してこられました。Aさんには私たち原告の気持ちを証言の中で思い切りぶつけていただきたいと思います。

 この訴訟は本当に最終段階を迎えています。この後は最終の口頭弁論が行なわれて,そこで結審という見通しで,判決は来年前半までに出ることになります。

 毎回多数の傍聴ありがとうございます。公判のために大変な苦労をされている弁護士や,緊張を強いられる証言者にとっては,多数の方の傍聴は大きな支えになります。今回はAさんの応援という意味もありますのでぜひ大勢の方の傍聴をお願いいたします。西武線新宿線中井駅に集合して12時20分に出かけますが,直接法廷に行かれてもかまいません(地下鉄丸の内線霞ケ関駅下車,徒歩2分)。開廷に先立ち,法廷隣の控え室で事前の説明会を行ないます。閉廷後の弁護士による説明会も行ないますので,ぜひご参加下さい。

 


大気汚染予測は誤りとの鑑定書

 私たちは昨年7月2日付の「準備書面4の2」の中で,環境影響評価書で用いられている窒素酸化物予測の式が根本的に間違っていて,大気汚染を不当に低く評価していることを明らかにしてきました。私たちの主張に対して,被告は内容には一切触れず,本件の環境影響評価手続きは条例上全く問題がない,という反論しかしていません。しかし,誤った環境影響評価書に基づく都市計画決定は違法であり,それに続く事業承認は取り消されるべきです。内容的な点について被告からの反論はないとはいっても,この問題はこの裁判の行方を左右するものであることから,私たちは専門家による環境影響評価書の鑑定を依頼しました。

 鑑定書を書いてくださったのは,東京都環境科学研究所(旧公害研究所)基盤研究部主任研究員のI氏です。裁判所は,鑑定書や証言の内容が信頼できるものであるかどうかを判断するのに当って,その人の専門,業績,現在の地位,職務内容などを極めて重視します。I氏は大気汚染,統計の専門家,それも大学などの研究者と違って,立場上理論だけでなく東京の大気汚染の現状にも精通している研究者で,著書,論文も多数発表していらっしゃいます。I氏は証言台に立って下さったF氏の場合と同様,むしろ立場上は被告側に近い東京都の職員で,そのことも鑑定書の重みを増すことになります。

 鑑定書の内容は,@本件環境影響評価書で採用している二酸化窒素濃度の将来予測手法は,窒素酸化物転換式は,東京都環境影響評価条例技術指針関係資料集の趣旨に反した理論的根拠が薄い式を用いていたり,最新のデータを用いていないなど,妥当とはいえない,A本件環境影響評価書では予測値の誤差の評価を全く行なっておらず妥当ではない,というものです。これらのことは,私たちの「準備書面4の2」で展開した環境影響評価書の不当性についての主張を明確に裏付けるものとなりました。

 私たちはこれまで,これらの事業が不当・不正なものであるということを再三にわたり主張してきましたが,F氏の証言とともに今回のこの鑑定により,「環境への影響は少ない」とした環境影響評価書がでたらめで,逆に本件道路建設によりこの地域の大気汚染が悪化するということを裁判所に明確に示すことができました。裁判所は,本件事業の適法性を主張,立証する責任は被告にある,ということをこれまで4回も言葉にしています。公開されている資料が乏しく,自分たちで調査するための組織も資金もない住民側が事業の不当性を立証することは普通極めて困難だからです。しかしこの裁判では私たちが一方的に事業の不当性を主張,立証しているだけで,被告は余り意味のない若干の証拠書類を提出しただけで,ほとんど立証活動をしていないのです。早期結審,判決を求めるための準備は着々と進んでいます。

 


F氏,被告側の反対尋問を一蹴

 第9回口頭弁論が,9月6日(月)1時半から3時半まで,東京地裁606号法廷で開かれました。前回6月18日に行なわれたFさん(東京都環境保全局自動車公害対策室)に対する私たち原告住民側の主尋問に続く,被告建設大臣側の反対尋問,私たちの側の補充尋問が行なわれました。

 前回のF氏の証言内容は,現在の深刻な大気汚染と健康被害の状況,道路建設が大気汚染を悪化させていること,不充分な対策により大気汚染の将来見通しが暗いこと,中央環状新宿線建設が大気汚染の悪化をまねくこと,しかも本件道路計画決定の時点でそれらのことが予見できたこと,さらに換気所からの高濃度汚染物質による影響についても言及したものでした。傍聴していた人全員が,「都の職員なのにあのような証言をしてしまって,後で不利益を被るようなことはないだろうか」,と心配になるほど生々しいものでした。それに対して,これまで私たちの主張にほとんど反論らしい反論をしてこなかった被告側が,どのような反撃をしてくるのか,緊張の場面でした。

 被告側は証人の経歴に関する質問をした後,F氏の専門である大気汚染の現況,将来予測,対策に関する質問を行ないました。それらがあまりにも初歩的な質問だったので,私たち住民側が補充尋問を予定していたことの半分くらいを,Fさんはその中に加えて答えてしまいました。

 ただ,環境影響評価書策定当時の最新の大気汚染将来予測はどのようなものだったか,二酸化窒素予測に用いた式が誤っていることが確認できたか,という点で回答が若干混乱してしまいました。しかし,それらの点は休憩の後に行なわれた私たちの側の補充尋問の中で,環境影響評価書で用いた環境庁新中期展望の将来予測は最新のものではあっても既に破綻しており採用すべきでなかったこと,二酸化窒素予測式が誤りであることは東京都の資料でも明らかであること,などを証言していただきました。

 今回の証言尋問で被告側は何一つ得るものはなかったはずです。私たちが思いつかないような独自の視点から鋭い尋問をするのではないか,というおそれもあったのですが全くの杞憂でした。あの程度の質問しかできないようなら,なんで反対尋問を1時間半もやったのだろうか,と被告側の真意は相変わらず訳が分かりません。

 


ステッカーをはりましょう

 私たちの会が作った,道路反対の葉っぱのステッカー,地域によってはかなり目立つようになってきましたが,もう貼っていただけましたでしょうか。ご自宅やそのまわりに貼るだけでなく,ご近所の方にもお願いして,街中を道路反対の意思表示のステッカーであふれさせたいと思いますので皆様のご協力をお願いいたします。貼っていただける方は会の方までお申し出下さい。

 


10月の定例会は30日に変更します

 裁判への取り組み方など,会の方針を決める定例会は,毎月第4土曜日午後2時より開かれていますが,今月は都合により30日(土)に変更させていただきます。時間は午後2時から,場所は本会代表宅です。10畳ほどの部屋でやや狭いものの,気楽な会ですので皆様お気軽にご参加下さい。

 


恒例の秋のリサイクル・バザー

 毎年春と秋に行なっている私たちのバザーはしっかりと地域に根付いて大変な人気です。道路建設反対運動の資金作りのために,今回も盛大に楽しく行ないたいと思います。皆様のお宅で,使わなくなった品物がありましたらこのバザーのために提供して下さいますようをお願いいたします。食器,衣類,日用雑貨類,家電製品,おもちゃなど,なんでもかまいません。ただ,衣類は秋・冬物,そして清潔なものをお願いいたします。また,前日の値札付けや当日のお手伝いなどもよろしくご協力お願いいたします。ご連絡をお待ちしております。

 日時:10月17日(日)11時から 2時頃まで (雨天の場合は10月24日)

会場:S駐車場 

 

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