環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.23
1994年11月5日
控訴審が始まります
4月14日の東京地裁での原告敗訴判決を受けて,私たちはこれまで控訴の手続きに全力を上げてきました。原告でない会員の皆様にはしばらくの間,ニュースも中断していたため,その間の事情がお伝えできなかったことをおわびいたします。
これまでの経過は次の通りです。
4月14日,東京地裁の判決は,地権者以外の原告の訴えを却下,地権者の訴えを棄却というものでした。これは,周辺の住民にはそもそも訴えを起こす資格がない,地権者は訴えを起こす資格はあるもののその主張は退ける,という全くひどい判決でした。法律的な整合性などどうでもいい,何が何でも国を勝たせるのだ,という裁判所の強い意志すら感じられます。この判決が確定してしまうとその影響は余りに大きなものとなってしまいますし,被告,国を勝たせようとするあまり,控訴審でそのまま通るとは到底考えられない法律判断さえ含まれていました。そこで,私たちは4月16日の定例会で控訴することを決定いたしました。
すぐに控訴審の委任状集めをした結果,187名の方がこれを提出されました。なくなられた方,転居した方,印紙代を自己負担とせざるを得なかったこともあって家族で一人だけが残ったという方,その他様々な理由で原告を辞退された方があって,一審段階の423名から,半分ほどになってしまいました。とはいえ,一審の時の印紙代は会の負担と任意のカンパでまかなったのに対し,自己負担となった今回,しかも敗訴判決を受けた上でどれだけの方が原告として裁判を続けられるか,という心配もありましたから,187名は大変心強い人数でもあります。
いよいよ控訴審の手続きが開始され,次は控訴理由書を提出しなければなりません。ここでは原判決の誤りを明確に指摘し,私たちの主張の正当性を明快に訴えなければなりません。この控訴理由書の検討のためには充分に時間をかける必要がありました。
第1回控訴審公判は12月13日
第1回公判を12月13日(火)午前10時から開くむね裁判所から通知がありました。控訴理由書は11月半ばまでには提出しなければなりません。控訴審はこの控訴理由書のできいかんが大きな意味をもちます。現在最終段階の検討を行なっています。控訴理由書の概要は次号で紹介します。
公害審査会の進め方も検討中です
10月26日に公害審査会が開かれました。今回は,長い間休止状態にあった公害審査会を今後どのようにしていくのか,私たちの対応を示すためのもので,実質的な話し合いはありませんでしたので,皆様には特にご案内を差し上げませんでした。
私たちは,裁判で最終的に負けが決まった場合には公害審査会に戻らざるを得ない,その時のために形の上だけ継続させておきたいと考えていました。しかし調停委員の側は,休止状態は続けられない,私たちがあくまで道路建設差し止めということにこだわるのなら不調,つまり調停成立不能として終了させる,という意志を示してきました。私たちは,なおしばらく休会状態を続けてほしいと訴えましたが,聞き入れられませんでした。今後,道路建設を前提としての調停手続きを開始する方向で,弁護士も交えて検討中です。
裁判と公害審査会の関係は?
裁判で争っているのは建設大臣によって1991年3月になされた環六拡幅,中央環状新宿線事業の認可・承認が,その時点で法律的に正しいものだったかどうかです。ですから例えば今の時点でいくらアセスの誤りが明白でも,その当時その誤りを認識し得なかったのならそれは法律的には問題がありません。しかし,実際に被害を受けるのは私たち周辺の住民です。公害審査会では処分が行なわれた時にどうだったかはそれほど重要ではありません。実際に公害がどう発生しどのような被害が起こるのか,それをどのように防ぐのかが問題になるのです。ですから,純粋に法律論を展開して裁判で争う一方,現実の道路をめぐって公害審査会で論議することは矛盾しません。要は,道路公害を事前に防ぐことが目的なのですから。ただ労力的には私たちも弁護士も大変な負担となってしまいます。
一部で工事が始まっています。そんな段階でどんな話し合いがあり得るのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし,公団側は,「中落合・中井地区まちづくりの会」への説明の場で,道路の詳細設計はまだできていない,2〜3年位は意見を聞き入れる余地がある,と明言しています。敗訴判決を経て,私たちは公害審査会でできることもまだまだあるはずだと思います。皆様のご意見をお聞かせ下さい。
道路建設の被害をお知らせ下さい
用地買収は現在まだ4割程度ですが,地下鉄の駅舎部分を中心に道路工事が始まっています。これにより夜も眠れないほどの騒音,振動が発生するなどすでに被害に会われている方がいらっしゃいます。公害審査会では工事中の公害も審議の対象になりますので,審議再開の場合,この場を利用して対策を要求することも可能です。
公害審査会での実質的な審議を開始させるためには,私たち申請人の側から道路建設を前提とした上で具体的に要求する改善点を示した「調停案」を示す必要があります。具体的な公害防止の道路作りについてご意見がありましたらぜひお寄せ下さい。脱硝装置,車線数,歩道の形状,横断歩道や信号の設置場所と形状,街路樹の選定,地下構造物による被害の軽減策などなど。検討すべきことはたくさんあります。
次回審査会は3月22日
次回の公害審査会は1995年3月22日(水)午前10時から開かれます。場所は都庁の会議室になると思いますが,詳細は後日連絡があるまで分かりません。次回のニュースでお知らせいたします。
会員の集いを11月20日に開きます
毎月第4土曜日に,本会代表のS宅で開かれている定例会とは別に,これまでにもおりにふれて開かれている会員の集いを,控訴審が始まるのに先立って開きます。私たちを取り巻く大変厳しい状況の中で,道路公害を事前に防ぐため,今後どのような活動をしていくのか,今後の裁判の見通しはどのようなものなのか,公害審査会にはどのように対応していくべきなのか,弁護士も交えて,真剣に討議していきたいと思います。大勢の皆様のご参加をお願いします。
バザーの報告
恒例の秋のバザーを10月16日に開きました。今回はスーパーオリンピックの目の前,新宿区立の山手児童公園を借りて行ないました。地域にすっかり根付いたこのバザーは,始まる2時間も前から待っている人もいて,いつもの様に大変な盛況でした。準備期間が少なく,品物が不足気味でしたが,178,788円の売り上げでした。ご協力いただいた方々に感謝いたします。