環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.22
1994年4月26日
全面敗訴の不当判決
私たちの裁判に対して4月14日に判決が言い渡されました。
判決主文は,周辺住民の訴えを却下する,地権者の訴えもすべて棄却する,というものでした。つまり,周辺住民については原告としての適格性を否定して訴えそのものを認めず,地権者については当然のことながら原告適格を認めるものの,その請求を全面的に退けるものでした。そもそも国を相手の裁判ですからなかなか難しいとは思っていましたが,ここまでの完全な敗訴は全く予想外でした。
「周辺環境は考慮する必要がない」
判決は要するに「都市計画は全体として都市環境の整備をめざすもので,事業地周辺の環境を特別に考慮する必要はない」というものです。道路予定地周辺の住民が環境保全を訴えても,そもそも道路計画は周辺環境の保全を目指して作るものではないから訴えそのものが無効だというし,周辺環境への影響を調べる環境影響評価(アセス)手続きを行なったとしても,それは東京都が独自に制定した条例によるものだから国の定めた法律(都市計画法)の前では全く無意味,つまり環境影響評価なんてやってもやらなくてもどうでもいい,というのです。都市計画が周辺環境に考慮する必要がないというのは暴論です。たとえば空港建設に際して周辺への騒音に考慮する必要がない,ということが許されるでしょうか。仮に都市計画法上は考慮する必要がないとしても,だからといって私たちが公害対策基本法に基づく環境基準をはるかに上回る悪い環境を甘受しなければならない理由はありません。
判決文の法律的な問題点は,現在弁護士を中心に検討中ですが,お読みになりたい方はお申し出下さい。
控訴します
4月16日の定例会で,今後の方針について議論いたしました。判決が手も足もでないような理路整然としたものならともかく,法律的にも,常識で考えてもあまりに筋の通らないものだったので,その問題点はかえって明確です。これまで以上の厳しいたたかいを強いられることになりますが,控訴することに決定し,4月20日に会の代表らが正式に弁護士に依頼いたしました。なお,これまでの活動に対する謝礼と今後の控訴審の着手金及び報酬として100万円を弁護士にお支払いいたしました。
控訴費用の負担をお願いします
控訴するための印紙代一人5,000円は,原告各自に負担していただくことに決めました。大口のカンパがあった一審の時のように会で負担することができない状況ですので,大変不本意ながらご了承願います。高裁やマスコミに強いインパクトを与えるためにもできるだけ原告を減らさない形が望ましく,一人でも多くの方が裁判を続けて下さいますよう切にお願いする次第です。
原告の方に控訴のご案内をさしあげます
控訴期限が4月28日ですので,とりあえず控訴手続きだけを行ないますが,早急に原告一人一人の皆様の意志を確認させていただきます。控訴のご案内をさしあげますので,ぜひご参加下さいますようよろしくお願いいたします。
控訴に当って 環六高速道路に反対する会 代表 S
何というひどい判決でしょう!わずか4行の主文が読み上げられて閉廷された時,ぼう然としてまさに頭の中は真っ白という状態でした。環境の悪化を憂慮して訴えを起こした私たちに対し,裁判所はその権利がないと言ったのです。病気にかかり死ぬ苦しみに合わないと訴える権利はないというのです。
世界的に環境問題に関心が集まっている中で,中立であるはずの裁判所が,「お上のやることに口出しはさせぬ」と公然といい放つとは,いったい日本は本当に民主国家なのでしょうか。このまま引き下がる訳にはいきません。「やりましょう!」と弁護士の方々もおっしゃっています。ぜひこれからも私たちの環境,生活を守るために力を集めてまいりましょう。