環六高速道路に反対する会ニュ−ス
No.35
1996年10月2日
調停が正念場を迎えています
住民の思いをぶつけた前々回調停
私たちの調停案に対して昨年12月に提出された都や公団の反論,それに対する私たちの意見,さらにそれに対する都や公団の再反論がテーマになったのが5月8日に行なわれた調停でした.その再反論書は連休のさなか,4月30日に提出され,到底充分に目を通す余裕もありませんでしたが,あまりにお粗末なものでしたので出席者は口々に批判の声をあげました.例えば東京都の回答の全文は以下の通りです.
1.東京都では,従来から道路建設事業に当たっては,事業説明会は工事説明会などの開催,住民グループや個人との個別的な対応の実施など,さまざまな形態で住民の意見を伺いながら可能な限りの対応を行い,関係住民の理解と協力を得るよう努めてきた.
環状6号線拡幅事業においても,同様の対応を行ってきており,今後とも,説明会などの場を通じて関係住民の意見を伺い,沿道環境にも配慮した具体の検討を行い,住民の方々の一層の理解と協力を得ながら事業を進めていく.
2.被申請人は,環状6号線拡幅事業実施の中で,沿道の土地利用状況等を踏まえ,歩道や中央分離帯への積極的な植栽や車道の低騒音舗装など,環境に配慮した構造を検討し実現可能なものについては,極力実施していく.
3.被申請人は環状6号線供用後には,車道及び歩道の路面等について,維持修繕を適切に行うなど,可能な限り沿道環境の保全を図っていく.
住民の理解と協力を得ながら事業を進めていくといっても,一方的に決まったことを周知していくだけで,私たちの意見が反映されないまま進められてしまうでしょう.環境に配慮した環六の構造といっても,基本的な計画を変更しなければ小手先のことにしかすぎません.道路の維持修繕など当たり前のことで,あえて要求しようなどとは全く思いつきませんでした.
年度内にも委員会からの調停案が出される?
前回の調停は,7月17日(水)10時30分から急遽行なわれました.直前になって都や公団の都合で8月〜9月に延期したいといってきた関係で,用意していたニュースの発行を中止したところ,委員長からやはりこの日に開きたいとの申し入れがあり,皆様にお知らせする余裕もないままに,調停が開かれました.上述の東京都や公団の誠意のない回答に対してさらに反論の意見書を提出し,誠意ある回答を求めました.これについては次の調停までに回答があるはずです.
この調停の席で委員長は,年度内にはなんとか調停案を提出したい,との意向を示してきました.私たちとしてはそれまでにできるだけ立場を有利にしていかなければなりません.
有利な調停をめざして現地視察を実現しよう!
次回調停は10月18日10時30分からです.場所は都庁第1本庁舎北塔33階N6会議室です.私たちは委員3人に現地を視察し,現地で私たちのなまの声を聞いてもらえるよう申し入れることにしました.この日の調停では是非その日程を決めさせたいと思います.
私たちの要求の主眼は車道の削減と脱硝装置の設置です.弱者に配慮した広い歩道と,環境への影響を最小限にくいとめる道路作りは,1993年に改定された道路構造令でも明確に規定されています.いま,道路がめざす公共の福祉とは,車社会のためではなく生活のために役立つことなのです.旧来の考えでの道路作りを推進している都や公団の姿勢は到底承服できるものではありません.また,再三指摘しているように脱硝装置も既に実用化が可能な段階に来ています.首都高速道路公団は,東京都や建設省が実用化を検討している,などと他人事のような事をいっている場合ではなく,その導入を真剣に検討していかなければなりません.
委員会からの調停案の提示を控えて,こうした主張を繰り返していくだけで有利に展開させることはできません.委員の方々に私たちの立場を理解して貰うことが必要です.そこで,委員会による現地調査,実地調査,そして委員と私たちだけの懇談を要望していこうということになりました.同時に審査会への参考人招致,鑑定意見書の提出等も検討し,すでに脱硝装置や大気汚染の研究者に接触し,様々な情報を得ています.
次回調停では,委員の方々への圧力を強めるためにも,大勢の方の出席をお願いいたします.
期待される土壌脱硝技術
調停に向けて専門家との接触の中で,土壌脱硝という新しい技術を知ることができました.これは,現在建設省を中心に調査研究が進められている大規模な脱硝装置とは異なり,実に単純なものです.厚さ40cmほどの一般的な造園用土壌の下から自動車排ガスで汚れた空気を連続的に通過させるだけで,二酸化窒素の96%,浮遊粒子状物質の94%の除去に成功しているのです.換気塔もなく排気口は普通の植栽地ですから歩道や中央分離帯の景観向上にも大いに役立ちます.弁護士事務所の方と会員2名が大阪府が実験を行なっている現場を視察してくる予定ですが,その結果を今後の調停に生かしていきたいと思います.
道路をめぐる動き
完成予定が2004年3月に延期
東京都は,3月22日付の公報で,環状6号線拡幅事業の完成予定を2004年3月31日にすることを公表しました.地下高速道路中央環状新宿線は既に延期が決まっていましたのでこれで足並みがそろったことになります.当初の予定は1996年,つまり今年の3月でしたから8年も遅れることになります.1991年3月に着手してからすでに5年あまり経過していますから,工事期間は13年にも及びます.工事着手から7年で完成という前提で行なわれた環境影響評価(アセス)は一体なんだったのでしょうか.
この完成予定の延期で,道路構造を見直すための時間はたっぷりあることになります.粘り強く調停を続けていきましょう.
首都高3号線への接続はできない?
中央環状新宿線はその南端で構想路線である中央環状品川線に接続すると共に,首都高速道路3号線に接続します.この3号線との接続道は東大駒場キャンパスや駒場の住宅の地下わずか数メートルのところを通ります.直径13.6mの巨大なトンネル2本が,シールド工法によりモグラのような掘削機で掘り進められますが,既に地下深く打ち込まれたマンションの基礎杭はどうなるのでしょうか.もちろんそのままつき崩せばマンション,地下トンネルの双方に被害が生じてしまいますから,マンションを一時的に立ち退かせるしかありません.地上の拡幅には強制収用という手段があります.しかし地下を使用するという都市計画で,地上の建物を収用することはできないのではないか,法律の専門家も首をかしげています.駒場の住民の方々はこぞって住宅地下の道路に反対していますが,中心メンバーの多くがこうしたマンションの持ち主ですから,少なくとも3号線への接続は極めて困難な事態となることが予想されます.
環境庁アセス制度ヒアリングで会員が発言
環境庁では,環境影響評価法の制定をめざしてアセス制度の在り方について検討をしています.去る8月20日には関東ブロックのヒアリングが開かれ,私たちの会でもメンバーの一人が裁判の結果を踏まえて後に記した意見を述べ,注目を集めました.より詳しい同趣旨の意見書を提出しましたが,裁判の結果を今後にいかすためにも,現在の道路がいかにひどい法律の下で作られているのか,ということを人々に訴え続けていくことが必要だと思います.
第22回道路公害反対運動全国交流集会
11月9日(土),10日(日)の2日間,川崎市国際交流センターで全国の道路公害反対運動の団体が一堂に会する交流集会が開かれます.私たちの会でも毎年1名を派遣していますが,この集会で知り得た多くの仲間や専門家からこれまで多くの貴重な情報を得ています.今年は3年ぶりに首都圏での開催ですので皆様のご参加を期待しています.参加希望の方はご連絡下さい.
未来からの「やめて!」の集会でアピール
11月17日(日)午後2時から,なかのZERO小ホールで,未来からの「やめて!」という命の声が聴こえませんか…,という集会が開かれます.裁判にも協力していただいた藤原寿和氏や広瀬隆氏らの講演と共に,本会代表も道路公害問題を訴える予定です.是非ご参加下さい.
10月20日,恒例のバザーです
恒例の秋のバザーを10月20日(日)午前11時より2時まで,新宿区立やまて児童遊園で開きます.選挙の日ですが,かえって人出があるのではないかと期待しています.衣料品(夏物は除く,古着は洗濯済のもの),食器,家電製品,日用雑貨,玩具,文具,古本などご提供下さいますようお願いいたします.前日の値札つけ,当日の準備や販売へのご協力もよろしくお願いいたします.ご連絡をお待ちしております.
スケジュール 10月18日(金)10時30分 公害審査会の調停 都庁第1本庁舎北塔33階N6会議室 10月19日(金)9時〜5時 S宅でバザーの値札付け.都合のつく時間にどうぞ. 10月20日(日)11時〜2時 バザー.準備,販売などご協力をお願いいたします |