環六高速道路に反対する会ニュ−ス

No.45


1999年1月27日

 

最高裁へ補充書を提出

 自動車公害をまきちらす環六(山手通り)の拡幅と地下高速道路の事業取り消しを求める裁判の上告理由書を最高裁に提出してから,そろそろ3年になろうとしています.いつ判決がでてもおかしくない状況ですが,今までのところ何の連絡もありません.そうした中,各地の道路反対運動と交流するうちに道路周辺住民にも原告適格(裁判の原告となる資格)があると判断すべきであると主張する上で極めて有力な事実が明るみに出てきました.私たちは,昨年12月25日上告理由書の補充書を提出して,その事実を裁判所に示し,原告適格を否定した原判決を見直すよう求めました.

 

補充書の内容―原告適格を認めよ!

@私たちの受けた高裁判決「都市計画法は沿道環境を特別に保全しない」

 高裁判決では,事業地内の地権者以外の,道路付近に住んでいて大気汚染や地盤沈下を懸念している原告については「都市計画法は個々人の個別的利益として保護している訳ではないから,そうした沿道環境の保全を理由に裁判を起こすことはできない」として原告適格の存在を否定しました.都市計画法は良好な都市環境を作るための法律ですが,そこにいう良好な環境とは一般的な環境のことであって,沿道環境を特別に保全する必要はない,沿道住民の個別の利益を特別に保護しない,という趣旨のものでした.逆にいえば,環境保全を目的とした都市計画などありえない,違法なものということになります.

A都道調布保谷線では都市計画法で沿道環境を保全

 都道調布保谷線では,当初の幅員18メートルを36メートルへと拡幅するための都市計画変更が行なわれました.この拡幅は環六の拡幅のように車線数を増やすためのものではなく,環境施設帯を作るためです.両側10メートルずつに植樹や遮音壁を施し,地域住民用の側道を作ることで沿道環境の保全を図ります.つまり,税金を使って大勢の人達を立ち退かせてまで沿道の環境を保全し,道路周辺住民の利益を守ろうというのです.しかも,これは別の法律によるのではなく,都市計画法に基づく昭和49年(1974)の建設省都市局長,道路局長通達「沿道道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準について」によるもので,国自身の都市計画法解釈に基づくものなのです.

 @とAは明らかに矛盾しています.@が正しいのならAの通達は違法ということになってしまいます.国道43号線訴訟,川崎公害訴訟など,大気汚染,騒音といった道路公害を厳しく断罪した判決がでている中,Aのようなやり方こそ時代の要請に沿ったものです.私たちの受けた判決@が間違っているのです.


目黒区で地下高速道路の都市計画を変更

 地下高速道路と高速3号線とを結ぶための連結路が,目黒区駒場地区の住宅地下を通る形で計画されていたことはご存知だったでしょうか(ニュース35号参照).現に人が住んでいる民家の地下数メートルを通るこの計画に住民の賛同が得られるはずはなく,関係住民の粘り強い運動の結果,首都高はついに道路計画の変更する方針を決定しました.これらの連結路を山手通り(環六)から玉川通り(国道246)の地下を通過させ,大橋1丁目の2重のループで高架の高速3号線に接続させることにより,住宅地下の通過を回避することにしたのです.この変更は,確かに大きな改善ではありますが,このループ内に新たな換気塔が計画されていますし,首都高としては新宿線最大の難関がクリアーされ,道路完成にむけてはずみをつけた形になったのも事実です.

 

緊急! 地下高速に意見をいうチャンス

 上記の変更により,都市計画の変更手続きが行なわれています.さらに,昨年10月の都市計画法施行令改正に伴い,都市計画の決定に車線数を加えることになったことから,新宿線全線の車線数決定(4車線)という手続きも行なわれることになりました.その結果,以下のように地下高速道路中央環状新宿線都市計画変更の公告・縦覧が行なわれており,意見を募集しています.新宿区の都市計画審議会も計画変更そのものは承認してしまいましたが,「本計画の事業を推進するにあたり,環境への影響を十分に配慮した排気ガス浄化装置を設置するなどの手段を講じて進めるよう要望する」という付帯意見をつけています.このチャンスを見逃す手はありません.「道路建設に反対である」,「土壌脱硝装置を設置し,環六には歩道を広くとり豊かな植樹をしてほしい」,「地下水脈遮断による地盤沈下対策がなされていない」,その他なんでも構いません.皆様の意見書を多数提出して下さいますようお願いいたします.住所,氏名,件名,と意見があれば様式は自由,はがき一枚でも有効です.

【件名】 都市計画道路の変更(都市高速道路中央環状新宿線)

【縦覧期間】 1月22日〜2月5日

【縦覧場所】 東京都都市計画局総務部(都庁第2本庁舎21階),各区役所.

【意見書提出先】 〒163-8001 西新宿 2-8-1 東京都都市計画局地域計画部都市計画課

【問合せ】 東京都都市計画局施設計画部街路計画課 Tel 5388-3294

【意見書提出期限】 2月5日まで. 至急お願いします!

 

(訂正) 前号のニュースの記述に大きな誤りがありました.

 大気汚染の動向について中落合測定局の値が大幅に悪化していると書きましたが,測定場所が不適切との長年の指摘を受けて沿道に移動させたことによるものでした.

 

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