No.12 00/11/06 ◆ 萌え論:その2

記号の恋愛 下

【 萌えが滅ぼす人類社会(笑)】
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 ココからは更に『トンデモ系』の電波コラムに突入します。話半分に聞いて下さい。
 でないと多分鬱になります(笑)。

 しばらく前振りをしてから上段と繋がりますので、ちょっと構成が分かり難いですが
お付き合い下さい。



「上」の草稿を公開した時に、こんな質問を受けました。
 上手く要約できないのでそのまま一部を引用しますが

>あれ、読んでると絶対いると思うんです。
>極論すっと「・・・んな無責任なっ!!」てなコト思う方。
>そこをメインに据えて考えて行きたい方。

 そういうツッコミは脇に置いて読まなきゃいけないの? って質問です。
 基本的にそれは、各自の規範や人生観に触れる部分でしょうから、好きなように読ん
でいただければ良いと思うんですが・・・確かにその先をどう考えてるのかも書かない
と片手落ち(放送禁止用語)ですね。

 ただ、私のスタンスって『滅びるんなら、滅べば?>人類』っていう投げやりな態度(笑)
が根底に有るんですよね。無責任と言われればこんな無責任な話は無いんですけども、
私の中では「逝ってヨシ」なんで(^^;

 以下は予想されるツッコミへの返答ではありません(笑)。
 単に自分の投げやりな態度を説明してるだけです(爆)。


 個人的に、社会というシステムに対する存亡の危機は、ひょっとしたら理系の範疇で
はなく人文系の範疇で起きるんじゃないかって予感が有ります。

 例えば現状、ヒトがヒトとして地球に住んでいられなくなる限界が幾つも具体的なカ
タチで見えてます。異常気象とか、食糧危機とか、核・生物兵器とか、新種の病原体と
の接触とか、化学物質や環境ホルモンによる環境汚染なんかがそうですよね。
 でも、そういったテクニカルなカタストロフ、ある種「目に見える危機」は、理系の
人間が回避してくれるような気がしてるんですよ<気がするだけです(笑)。

 科学技術の発達は、それらのカタストロフが「目に見える」おかげで正しい方向へ発
達すると思ってる。科学技術の発展に対しては楽観的なんです。

 で、ヒトの危機はそこじゃ無くて「人文系」なトコで起きると思ってる(^^;
 つまりは個人の内に有って「目に見えない」所で、です。
 日本は宗教っていう倫理観の柱が無いんで、世界で一番早くその危機が来るんじゃ無
いか、とも思ってる。

 それが何か、と問われれば「ヒトの精神の変容」です。
 つまり、「上」で述べたような各個人の精神の変容というのは、ひょっとしたら人類
の、大袈裟に言うなれば「存亡の危機」なのかもしれないとすら思ってるんですね。

 #思った上での無責任な態度なんで救いようが無いんですが(笑)。

 本来、種の持つ資質・特質、他の種に対する優越ってのは、環境への適用によって進
化するモノです。淘汰圧、なんて専門用語で言われるアタリですね。
 トコロが、人間だけはその段階に圧倒的勝利を収めてしまった。
 もはやこれ以上、知性や技術を磨いても、それは「生物として生き残る為の進化」の
範疇に収まらないわけですね。

 つまり生存競争によって磨かれた「知性」が、競争相手を失っても尚その先へ進もう
としてる、生物の世界で言う「過剰適応」にとっくに陥ってるのかもって考えるんです。

 ヒトは生存競争に勝利した後も、自らの欲望を満たす為に、知性を磨き技術や社会を
進化・発展させてきました。
 サーベルタイガーが長すぎた牙で獲物を限定してしまって滅んだように、人間は自由
な精神と際限無く膨らむ欲望、そして「好奇心と知能」によって滅ぶと感じてます。

 そしてそれは、目に見えるカタストロフとしては起こらない。
 例えば生物としては歪んだ「極端な」欲望、生存に不利な「脆弱すぎる」精神、繁殖
に不利な「生殖異常」etc.のようなカタチで、じわじわと現れると思う。


 「上」で、虚構の萌え、分離された性欲こそが純粋な恋愛であり純粋な恋愛対象だっ
て考察(電波受信とも言う(笑))をしました。
 性欲に性的役割を付加しない、って願望は既に実現し普及しつつあります。
 経口避妊薬に代表される、簡便で確実な避妊手段の発達と、それらが促すフリーセッ
クスの希求。言うまでも無くこれらセックスと生殖の分離は、ヤヲイが内包するファン
タジーを実現しつつあるって事だと思うんですね。

 もう一つは、こちらはまだ可能性でしか無いですが、キャラクターフィギアの造形力
と勃興したロボット産業。また人工知能が持ちつつある擬似的な感情表現。
 それら不完全な「ヒトに似た記号の集まり」、不完全な模倣品を、「リアル」と勘違
いできてしまう人間の想像力。
 これらが近い将来組み合わされる事はほぼ確実だと思います。

 あらゆる家事援助が可能で、魅力的な外見で、一緒に風呂に入ったり夜の相手もして
くれる、泣く事も笑う事も可能なロボット。
 つまりふにふにのほえほえのメイドロボ(萌え(笑))。

 実用化されたらわざわざ結婚する男性が減りそうですが、でもそういう事が起きる。
 男性用にそれらの産業が勃興すれば、応用として女性用にも実用化されるでしょう(^^;
 こうした流れが顕在化して、少子化の一要因と認識されれば、それらが厳しく規制さ
れることは確実でしょう。
 ただ、ここで勘違いしてはいけないのは、少子化は「とっくの昔に始まってる」って
事実です。

 晩婚化、未婚化が当たり前になっている事の理由の一つに、結婚したがらない女性の
増加が指摘されています。
 かつては、女性が終生「一人で生きる」事は実現困難な夢でした。
 家庭に入らない、子供を作らない女性の人生が不利な時代が有ったんです。

 しかしそれらは、もう昔話になりつつあります。

 男性並みの仕事をこなして、男性と同じように企業活動を通して社会にコミットして、
充実した人生を送る。成熟した女性が子育てや主婦業とは違った分野で自己実現出来る
社会を、我々は男女の性差に縛られない平等な社会として実現しつつあります。
 収入、責任、社会的地位と名声。全てで男女が平等に評価されれば、男性に取って代
わる女性が増えることは何の不思議も有りません。
 「結婚こそが女性の幸せ」なんて常識こそが虚構、嘘の物語だって事に多くの女性が
気が付いてしまったのが、男女平等を実現した社会と言えると思います。

 そうなると、女性にとっては社会的制約や常識以外の別の動機付けが無い限り、家庭
に入って子育てをする事のメリットは有りません。
 子供を産まなければ一人前とは認められなかった時代じゃないからです。
 責任ある仕事をして平均以上の収入がある女性が、結婚して家庭に入り仕事を辞める
となれば、誰もが「勿体無い」と言う社会になってるんですな。

 子育てと仕事を通じた自己実現が両立できる社会になれば、少子化の問題は解決する、
なんて楽観論が有りますが、それは幻想に過ぎないと思います。
 子供を育てたい、という欲求を感じる事が出来なければ、そもそも子供なんか要らな
いわけなので。

 結婚の役割を端的に言い表わせば、家庭を築く事は共同体へ構成要員を再生産する行
為に他なりません。共同体を維持する為に、次の世代の構成要員を輩出する事が各個人
に期待されてるわけです。
 すなわち、システムとしての共同体の最小構成単位が「家庭」。
 分かりやすく言うと「子供を持つ夫婦」なんですね。
 どんなに社会的に栄達し、仕事の上で優秀な業績を上げても、家庭を築かなければ共
同体の維持には直接貢献しないんですよ(^^;

 だから「いい歳になったら結婚しろ」と言われてたわけです(笑)。

 社会がシステムとして上手く働く為に、仕事人間として優秀な要員は不可欠です。
 同時に、そのシステムを支える要員を再生産する場として、家庭が不可欠です。
 従来は、会社人間として“サラリーマンの父”が務めを果たし、その妻たる専業主婦が
“家庭の母”として再生産を支えてきました。
 男女の性差によって、システムの維持発展の為の仕事を効率的に「分業」していたわ
けです。

 その分業体制に終止符を打ったのが、男女同権という考え方。

 男も女も、自分の生き方、自分の生き甲斐は、自分自身で選び取る社会にしようとい
う考え方です。
 ここでも、人間はジェンダーを排除する方向で進んできた。
 期待される性的役割から逃れようと足掻いてきたわけです。

 当たり前の事ですが、産まれた時に、男か女かどちらかなんです。
 かつてはその時点で、新しく産まれた人生に期待される役割の大半が決まってしまっ
ていたと言えます。
 人生を自分で決める事が出来る自由、と言うモノを希求し続けた結果、我々は社会を
効率的に維持していくシステムを解体してしまったわけなんですね。

 それが良い事なのか悪い事なのかと問われれば、私は即座に「良い事だった」と応え
ます。自分の人生に期待される性的役割を果たす「だけ」の人生なんて、詰まらないと
感じてしまう教育を受けてきましたんで(^^;


 先進国の低出生率は既に目を覆うばかりの状態で、このまま行けば立ち行かなくなる
事が確実ですが、最悪の一面は経済規模の縮小に現れます。
 シュリンクしていく社会は基調としてデフレーション経済なんですね。
 整備された社会資本が、少なくなる構成要員にとっては重荷になる。我々は苦労して
造り上げてモノを今度は捨てながら生きて行かなきゃいけないわけです。

 モノ余り経済なんて21世紀の先進国じゃ当たり前になるんですよ。生産効率が上がっ
て市場は縮小するんですから、モノは安くなって労働の価値は下がります。
 いまさら計画経済に移行するとは思えませんので、資本主義が何処へ向かうかが問題
ですね。

 資本主義は、人間の欲望と社会の持ってる価値の総量が増え続ける事を前提にしてき
ました。延々と成長基調、インフレ基調の景気なら、何の問題も起きないシステムとし
て発展したんですね。

 構成要員が減るなら、減った分の欲望を、新たな欲望を“発明”する事で補うしかな
い。それは多分、私の個人的な「感触」では、萌えの方向へ経済がコミットして行く事
で実現する。
 ロボットやバーチャルリアリティがどんどん純粋な萌えのカタチへ進化して行く、と
いう方向への圧力は押しとどめる事が出来無い。

 一番危険だと思うのはバーチャルリアリティの分野での技術革新です。
 将来的にリアルを超越したバーチャルが必ず生まれます。
 そして、そっちに進む技術革新のテンポの速さは、それを受け入れる社会の構造の変
化よりも遥かに早い。そして、その流れを止める事は出来ない。

 人間ってドーブツはそーゆーふーに出来てるんで(笑)。
 規制が有ればそれをかいくぐってでも実現してしまいます。

 くどい物言いになりますが、トランスジェンダーやメイドロボ、仮想現実空間でのみ
生きる事が、技術として将来確実に可能なんですよね。
 で、不完全なモノを完全なモノと誤認するだけの想像力が人間には備わっちゃってるっ
て不幸がある。
 本当の人生より好ましい人生が、脳直刺激が産むバーチャルなエクスタシーであった
り、造りモノのお嫁さんだったりしても、そっちの方が気持ち良ければ良いじゃ無い
ってのが、人間(笑)。
 つまり、デフレ社会が産み出した、生殖に貢献しない性欲産業まで容認しちゃう。
 本物じゃないお嫁さんは、減り続ける人口が産み出しているのに、です。

 デフレスパイラルは角度を付けて急加速するんじゃ無いでしょうか?(^^;

「それは人間の有り様として病んでる、オカシイ、糾すべきっ」とヒステリックに叫ぶ
ヒトは大勢居ると思うんです。
 でも既に、性同一性障害は「病気」だから治療する事になってる。

 産まれた時に負わされた性的役割というタガすら、個人の精神を縛る事は出来ない。
 もうそんな時代なんですよね。個人の精神の有り様を、社会が求める「規範」が制御
できる時代じゃないんですよ。
 「嫁さんよりロボットの方が良い」と心の底から思ってるオトコに家庭を築かせる事
は出来ないですよね?それが正しいとか正しくないとかは置いておいて(^^;
「人はこーあるべきだっ!!」みたいな論理は既に力を失っちゃったんです。
 少なくとも私はそう思う(笑)。

 個人が個人の責任において生き方を決めてしまったら、法に触れない限り国家でも
干渉できないってのが現代社会の病理そのものなんですよ。

 人類という種全体の繁栄を考える事と、個人の利益を追求する事は相反する事がこれ
までも多かったんですけが、それらは法律で何とか出来てました。
 でもこれから先に起きる問題は、例えば「生涯に子供二人」をまっとうに育てる事を
義務づけるぐらいしか手が無いんですな。

 結婚相手が居なかったら刑務所行き? みたいな。
 そりゃ無理ですがな(笑)。

 我々が進む先は、個人のノーミソキモチイイ方向へ向かってるんで。


 子供を持つ事を義務化しよう、って議論が起きるのはそう遠い話しじゃなさそうです。
 でも、それを「面倒だ」と思う人間が居る以上、面倒を軽減する何らかの技術や仕組
みが生まれてしまうのもまた確実なんですな。
 人間の欲望ってのは止まる所を知らないですから。
 そこから発達するのがデザイナーズチャイルドなのか、社会による子育てなのか、は
たまた途上国から先進地域への人口流動なのか、今はまだ分かりません。
 あらゆる可能性が考えられますが、実現可能な事はなんでも実現してしまうのが人間
なんですよね(^^;

 一方で、それらの欲望に枠組みを与える道徳や規範はどんどん薄まっていく。
 生殖医療の「タガ」が技術の発達でどんどん外へ押し広げられているように、人間の
生き方を縛る道徳意識や規範意識も「楽」な方へと流れていきます。

 技術と欲求が行きついた先に何が有るのか? どんな社会が作られるのか?
 そこに居るのは未だ「本能をもった動物としての人間」と呼べる者なのかどうか?

 怪しいと思いますが、そしたら人間の“定義”が変わってしまうだけでしょうね(笑)。
 メイドロボにも人権が与えられたり、バーチャルなセックスでデザインされたDNA
を持った子供が産まれたりする未来が来るのかもしれ無い。
 それがユートピアなのかディストピアなのか、現時点で判断は不可能です。
 その時にはそれを容認する人々しか社会に居ないのかもしれないんで。

 だから私は、ヒトの有り様が変化する事を嘆いてるんじゃないですよ。
 そうなった方が良いなあと思ってるくらいで(笑)。

 家庭を持って子供を育てて、「大勢の孫に囲まれて死ぬのが幸せ」ってビジョンは、
生物の本能として果てしなく正しい姿ですよね。
 だってそうでなきゃヒトという種が維持していけないんだから(^^;

 けど、その本能を上回るのが、人間にとって長すぎた牙。
欲望想像力、さらに言えばそれを実現させちゃう知恵好奇心

 こいつが発達していたおかげで、人間は知性でもって生存競争の勝利者になりま
した。我々を食物連鎖の頂点に置いているのは知恵なんですよ。
 人間を滅ぼすのもやっぱりコイツです。
 知恵の実は確かに人類の原罪なんですよね<そう来るか(笑)
 他の道は無いような気がするんですけれど・・・悲観的すぎますか?(^^;

 ま、人類全体に敷衍できる話じゃなくて、日本だけかもしれないです。
「倫理観を育む教育」で目論見通りに解決できると良いんですけどね。
「各家庭に床の間を」とか「教育勅語復活」とか、元ラガーマンが思い付きだけで言っ
てる間はとーてー無理だと思いますがヽ(´ー`)ノ

そんじゃまた(^_^)/~
次回へ続く▽

制作・著作 「よごれに」けんけんZ
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