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綾波業務日誌

〜彼女がココロを持った理由(わけ)〜
byけんけんZ



十日目 日曜日



業務日誌 ○月×日


6時30分起床 体調は平常。体温他異常無し。

 普段より早く目が覚めてしまう。なにか、身体が疼いているような感じ。楽しい予感。
 落ち着かないせいで目が早く覚めてしまったのだろうか。
 朝食をとって出発。

 朝食:おにぎり2ヶ お茶 (コンビニレシート添付)

7時30分 予定より1時間以上早く、碇君の家に到着。

 碇君はまだ寝ていた。9時に待ち合わせていたから当然と言える。
 ダイニングに酒類の空缶、空き瓶が散乱している。
 片づけるのを手伝った後、碇君が昨日のカレーの残りを食べるのを眺める。
 葛城一尉は休日は朝が遅いと言う。椅子に座ったままキスだけした。
 少しカレーの味がしたのが残念だった。碇君だけ味わいたいと思っているのに。

8時30分 予定より30分早く碇君の家を出る。

 少し歩いて環状リニアに乗って、ショッピングセンターのある街区に向かう。
 休日の朝でリニアは空いていた。碇君は普段着だが私は制服なのが少し残念。
 同世代の女の子が着ている服を、初めて羨ましいと思う。
 制服は機能的でシンプルだが、華やかさとは程遠い。
 女の子はおしゃれして可愛くしているのが良いと言う。一般論だが碇君もそう思っていると思う。

9時 商店街、もしくは繁華街と言われる街区でリニアを下りる。

 まだ時間が早いのか服を売っているお店や大きなショッピングセンターは開いていなかった。
 朝食がいつもより早かったので少し空腹を覚える。
「クレープ」と呼ばれる食べ物を売っている店が早くから開いていたので、碇君に買ってもらう。
 歩行者天国になっている大通り脇の公園で、ベンチに座って食べる。
 街の中で人の波を眺めながら食べる食事は新鮮だった。
 一つしか買わなかったので碇君と一口づつ食べる。
「間接キス」と言うのだと教えてくれた。少し照れているようだった。

10時 買い物

 初めにショッピングセンターの家電製品売り場を回る。
 大きな物は配送を頼むのだが、午前中に買えば今日の夕方届くと言うので急ぐ。
 1時までに、家で必要な物は大体買う事が出来た。
 すべて今日の18時以降20時までに届くと言う。
 主な買い物は、炊飯器、ポット、レンジ、コンロ、掃除機、洗濯機、アイロン、テーブル。
 他にも食器のセットやカーペット、柄の揃ったカーテンとベッドカバーと枕カバーなどを買った。
 全てNERVのカードで支払ったが、支払限度額と言うのがあるそうなので心配である。
 総額で20万円を超えている。大学を出た人の初任給がそのくらいだと言う。
 NERVの管理する私の口座に、どのくらいの残高が有るのか知らない。

13時 昼食

 デパートの中にある中華料理店で昼食にした。
 飲食店フロアで私が興味を引かれたのがラーメンのディスプレイだったからだと思う。
 炒め野菜をあんで絡めた具が乗っているのを選んだので、全部食べる事が出来た。
 碇君はチャーシューメンを食べた。
 烏龍茶とエビシュウマイも頼んだが、どれも美味しくて満足だった。

 その後、洋服を見る。
 店によって置いてある物が違い、サイズも柄も大変な種類が有るので迷ってしまう。
 家電品のように、能力と値段が一目で分かるようなディスプレイになっていないのも混乱の原因。
 碇君に時間は有るからと言われて、気になるものをなるべく試着する事にした。
 碇君が似合うと言ってくれたものだけ買うつもりだったけど、どれを着ても似合うとか可愛いとか言ってくれるので正直判断に困ってしまう。
 下着売り場でも買いたいものが有ったが、店員の説明を一緒に聞いてはくれなかった。
 後で聞いたら女性の下着売り場と言うのは男性には恥ずかしい場所なのだと言う。
 性別が違う方のトイレに入ってはいけないと言うルールと同じようなものだろうか?

16時30分 喫茶店で休憩する。

 碇君はコーヒー、私は紅茶を頼む。
 歩き疲れているので甘いものが良いと思い、パフェも頼む。
 デートには必要だと思えたからなのだが、碇君にも好評だった。
 甘いものを食べていると「女の子らしい」との事。
 そう思って観察すると、男女の二人連れはみんな女性の方が甘いものを食べて、男性の方はコーヒーを飲むのが一般的なようだ。
 今日の買い物のレシートを点検して、リストの見落としが無いか確かめる。
 服や下着も含めると総額で25万円にもなっていた。
 交通費や食事代は碇君のカードでまとめて払った。
 良く分からないがそれもデートのルールらしい。 (買い物リスト及びレシート添付)

18時 帰宅

 家に帰るのとほとんど同時に業者が荷物を運んでくる。
 すべて運び入れると部屋が狭くなったように感じる。
 最初に掃除機を開けて部屋の掃除をして、カーペットから荷物を解く。
 梱包材は業者がリサイクルの為引き取ると言うので、碇君がまとめて縛って外に出してくれた。
 全ての物があるべき場所に納まる頃には、20時を回っていた。
 食料品は何も買わずに帰ってきたので、碇君の提案で利用した事が無かったピザの宅配を頼む。

20時30分 夕食:ピザ、フライドポテト、コーラ

 現金の持ち合わせが無かった為、これも碇君に払ってもらう。
 二人で居る時は飲食代は男性持ちと言うのがルールらしい。知らなかった。
 物が増えた部屋の印象を碇君に聞いてみると、だいぶ生活感が出てきたとの事。
 これからは部屋の掃除や洗濯、布団を干す事などに留意して実行しようと思う。
 居心地が良くなれば、それだけ碇君が長い時間ここに居てくれる気がする。

 食べ終わって落ち着いて、今日は楽しかったねなどと一日を振り返って話しをするのも楽しい。
 けれど遅くなると何もしないで碇君が帰ってしまいそうで私は落ち着けなかった。
 そしたら碇君が葛城一尉に電話して
「今日は色々届いて片づけが必要だから、明日の朝早くに帰る」
 と言ってくれた。
 今日は嬉しい事ばかりだったけれど、そう言ってくれたのが何より嬉しくて抱き着いてしまった。
 碇君は驚いた様子。私が感情をはっきり表に出すのは珍しかったらしい。

 その後、二人ともシャワーを浴びて、真新しいカバーのかかったベッドに二人で入った。
 初めて性交した日以来、碇君が夜まで家に居るのは始めてなので、落ち着いて性交した。
 今日の初めの性交は、私が焦れったいと思うほど丁寧だった。
 手と口で何度も気持ち良くしてもらった後で、碇君が入ってきた。
 性交そのものは余り時間がかからず終わってしまったけれど、とても満足。
 昨日していなかったせいか、碇君がとても元気で積極的だったのが印象に残った。
 終わった後も、私が手でゆっくり刺激するとすぐに碇君の性器が硬くなった。
 もう一度しても良いかと尋ねられる。
 言われるまでもなく、私は碇君が出来る間は何度でも性交したいと思っている。
 二回目がすぐに始まる。準備が要らないし碇君が中に入っている時間も長い。
 私は2回目以降の性交が好き。途中で疲れて休んでいる間も、碇君が中に居るだけで気持ち良い。
 何度も私が気持ち良くなった後で、碇君が終わった。得をした気分。満足だった。

 お茶を沸かしたのが24時ごろ。
 碇君が眠っている間に、今日の日誌を書いている。
 昨日碇君の寝顔を眺めていて胸に込み上げた思いが、ようやく言葉になる。

「いとおしい」と言う気持ち。

 ここに居てくれて嬉しい。そばに居られて嬉しい。
 眺めているだけで満足だけど、ホントは抱き締めたい気持ち。
 これが「好き」と言う事なのだろうか。
 誰かの事を思って心が渇いている。誰かの事を思うと心が苦しくなる。
 もしそうなら、碇君も私と同じ気持ちで居てくれると言う事。
 それが一番嬉しい。

 余り深い眠りではない様子。何度も寝返りを打っている。
 起こしてもう一度「したい」と言えば性交してくれると思う。
 やっぱり夜はずっと一緒に居たい。
 それが一番望ましい状態だと確信した。

 今日の日誌はここまで。

以 上









1999.03.06・初出
1999.03.06/Ver1.10

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