#01 かける 第一回は『かける』でございます。進学で上京したナガオカ人が一番びっくりする のがこれではないでしょうか。 友人(東京出身)「英語、予習してきた?」 私 「してないよ。あの先生、学生番号順にかけるから今日は大丈夫」 友人「電話...?」 不条理コントではありません。かけるが通じなかったのですね。ヨソでは『かける』 といえば、電話かフリカケのことらしい。授業中、先生が生徒を指名するのは、『あて る』というようです。『かける』が方言だったなんて思いもしなかったので、これは かなりのカルチャーショックでした。
#02 消雪パイプ 言われたのは投稿者Rさん。言ったのは県外から来た人だそうです。確かに知らない 人が見れば、謎のブサイクなセンターライン。Rさんに言った人は、南のかただそう ですが、東北や北陸の他県でも見かけなかったような気がします。旅行したのが十年 前なので断言できませんが。もしかしたら消雪パイプってナガオカ・オリジナル?
#03 恐怖の三文字 すずめ いちご はしら これ、ナガオカの人なら、アクセントが一文字目にきたと思います。ナガオカでは、 三文字の単語のアクセントは大抵最初に置きます。すずめ、いちご、はしら、 となるわけですね。これが、上京した私が「かける」に続いてびっくりした第二弾。 アクセント、ないのです。平坦に発音するんですね。コギャルの使う「彼氏」や 「ピッチ」等と一緒の発音です。東京では「彼氏」を「カレシ」と言う年配のかたも、 「すずめ」は「すずめ」とは言わない。不思議...。 わんざ。それは真夏のコレクターズアイテム。 わんざ。うす茶に透ける瞳、裂けた背中。 わんざ。集めても結局、ポケットで粉々。 わんざ。何が楽しくて集めたんだか、今ではさっぱりわからない。叙情詩『わんざ』でした。ドリアン先生も号泣。 わんざとは、セミの抜け殻のことですね。これが方言であることを私はこの夏、 初めて知りました。不覚。 「ええっ、じゃあ、標準語では何て言うの!」 私が詰め寄ると、友人は言いました。 「セミの抜け殻」 ...それでいいの...?
#05 タンタン 「靴をはきなさい」、と小さい子に言う場合、ナガオカ人なら、こう言いませんか? 「タンタンはいてくだちゃいねー」 タンタン。懐かしくやさしい響き。 タンタン。歩くときの音が語源なのか。 タンタン...もういいっちゅーの。ドリアン先生も憤慨。というわけで、この、靴の 幼児語『タンタン』も方言でございます。 ヨソでタンタンといえば、フランス漫画のキャラクター。あの頭の丸い、Tintinと 書いてタンタンと読む、アレです。で、靴はというと『クック』なんですね。くつ。 くっく。もひとつヒネリがねー。でも、タンタンにしてもクックにしても、元のクツ よりも長い単語になっちゃってるところがご愛敬。あ、ワンワンもイヌより長いか。 幼児語って、意外と幼児にキビしいかも。
#06 栄光の12チャンネル ナガオカでこう語れば、「インテリ」とか「学者肌」とか「浮世離れ」とか「友達 少ないでしょ」とか言われると思います。でも、同じ台詞を首都圏で言うと、「イン テリ」その他は割愛されて、「友達少ないでしょ」だけが返ってきます。首都圏で、 8は『いいとも』『スマスマ』のフジテレビ、そして12は『我ら釣仲間』『演歌 の花道』のテレビ東京。ワケわかんない趣味の人になりますね。私も上京後しばらくは、 8と12は偉いチャンネルっていう思い込みが取れなくて、天気予報を見ようとして 『夕焼けニャンニャン(フジ)』をつけてしまったりしていました。 ご参考までに対応表を。
自分が観てるのしか思いつかなかった(除/NHK)。 新潟にネット局のないテレビ東京の番組は、人気が出るとどこかの局が買うというシス テムみたいですね。で、適当な時間に流す。『鑑定団』は首都圏では火曜日の夜9時 から、『TVチャンピオン』は木曜夜7時半からです。でも、そういえば昔は民放2局 しかなかったんだよなあ...。
#07 タイソーギ着て、ズックはいて なくて、自前のを着ます。その、ガイダンスの後で。 友人(東京出身)「ジャージ買わなきゃだよー。高校のヤツじゃカッコ悪いもんなー」 私「ジャージ...」 ジャージ、わかんなかったんですよねー。ダサダサ。高校時代は、『体操着』って 言ってました。みんながですよ。これ、世代的な問題かなあ。いまはナガオカでも ちゃんとジャージって言ってるのかなあ。何と、『ズック』も平然と使ってました。 このへん、いまだに自信ないです。『スニーカー』でいいんですか?なんかダサい 気がするのは『スニーカーぶるーす』のせいかなあ。それもまた世代的な問題か...。 昭和は遠くなったなあ....。 何のことはない大みそかの一家ダンランのことなんですが。ナガオカでは年取りとか 言って、大みそかの夜にご馳走を食べますよね。のっぺ作ってアラマキ焼いて。でも 私の聞いた限りでは、ヨソではこういうのは元旦に行うらしい。with お雑煮で。もち ろんのっぺはないです。おせち料理を大みそかに食べちゃう、と言うとかなりびっくり されます。31日は大掃除して疲れ切ったあと紅白みながらソバ食って寝る、あるいは 初日の出暴走に出る、というのが関東風らしい。(後半ウソ。でもそう思いたくなる程 幹線道路の大みそかは凄い。私は甲州街道のそばに住んでいるのですが、スペインの 牛追い祭のように走ってくるバイクを見て心底びびりました) 「コ、どう? 『スノーダンプ』に」 「コ?」 「コ。お正月に気付いたんだけど」 「コ?」 「コ。お雑煮の。アンタんち言わない?」 NG!主宰と副主宰の会話でした。アホみたいに「コ?」って言い続けているのが 私こと主宰です。このあと爆笑しましたね。コ! 何で気がつかなかったんだろう。 お雑煮のおモチを入れる前のものを、ナガオカではなぜか『コ』と言います。 「お雑煮のコだけちょうだい」とかね。どんな字を書くんだろう。粉?固? 不思議なのはお雑煮にしか使わないこと。カレーのコ、ミートソースのコ、とか は言いません。正月限定言語ですね。というわけで、このNG!は主宰と副主宰 (ナガオカ在住)のこんなバカ電話から生まれているわけです。 これは微妙なトコなのですが、「ハンコつく」、このフレーズはヨソで通じたり 通じなかったりするのです。そう言う人もいないわけじゃないのですが、主流派は 「ハンコ押す」。首都圏で「つく」の通じない率は90%くらいです。ちなみに 私の出会った「つく」使用者は、東京の下町出身の人でした。私個人的には、 「押す」というとゴム印かシャチハタで、「つく」というと彫った印鑑、という 気がしています。何の根拠もないんですが。 投稿モノです。 「ポンポ、はいりまちょうねー」 これ、わかります? 私はちょっとわからなかったんです。ポンポって、何だ? おナカのことか?おナカに入る?しかも「ちょうねー」。幼児プレイのもっと 先を行く胎児プレイか?コーナー違う。妄想はサテおき、そんな謎の言葉ポンポ とは、おフロのことだそうです。どうしてポンポなのかなあ。何の擬音? 書き忘れネタです。『雑煮のコ』の次に来るはずでした。具沢山で有名なナガオ カのお雑煮。ユズやらミツバやらトト豆なんかを散らす御家庭も多いと思います。 問題はこのトト豆ですね。パックに堂々と『トト豆』と書いて売ってたりします から、ナガオカではメジャーな言葉。ヨソでもお魚の幼児語は『おトト』だし、 『豆』は言うまでもない標準語なんですが、組み合わせるとなぜか方言。ヨソで は『イクラ』ですね。でも、副主宰が言うには『トト豆』と『イクラ』は 違う らしい。 「イクラが育ったのがトト豆」 それって鮭じゃないの...?(産卵寸前の卵が『トト豆』ってことでしょうか) 投稿モノです。 「あちさんについていったらダメらいね」 誘拐防止教育、「知らない人についていっちゃダメよ」のナガオカ版。 『あちさん』は『あちらさん』が詰まったと思われます。『他人』の幼児語ですね。 幼児語はホントに多いですね、方言が。『げっぽをねらえ!』に至らないのは、どこと なく可愛気があるからでしょう。タンタンもあちさんもポンポも全国普及活動したい くらい可愛い。どんなにブサイクな動物も赤ちゃんの頃は可愛い、っていうのと一緒な んでしょうか。 #12で『トト豆』について書いたんですが、『トト豆』と『イクラ』の関係について さまざまな説があるようです。私は単純に『イクラ』のナガオカ語だと思っていたん ですが、副主宰は「イクラが育ったヤツ」というわけのわからないことを言い出し、 その後「イクラに火が通って白くなったものがトト豆」という投稿がありました。 そして、副主宰の知人からは「トト豆はイクラより安い」という報告が。??? ほんとは『げっぽ』への投稿だったんですが、可愛いのでこっちに振り分けさせて 頂きました。投稿者うさぎさんごめんなさい。で、『あたける』ですが、標準語に 直せば『暴れる』ですね。ただ、対象は、小さいお子様に限ります。「東京湾で ゴジラがあたけてる」とはあんまり言いません。ジタバタ感のある暴れかたに使う。 標準語で、このニュアンスを表わす単語ってないと思います。いい言葉だなー。 いまは川西に移転した某病院の入退院口には、こんなハリガミがありました。 『コウモリは各自でお持ちください』 昨年夏、身内の見舞に行った私はちょっとびっくりしました。なんだか、黒い羽の ある小動物を、病院のなかのみんなが抱っこしてるような気がしません? ホラー な病院。『コウモリ』はもちろん傘のことなんですが、『ズック』よりもさらに 終わった言葉かも。 同様に『ヤッケ』がありますね。ウチの親がヒップホップ系 のワカモノを見て「今の子はヤッケ着るがーね」と言ったときには涙しました。 バカていねいとか、バカでかいとか、過剰を表わす言葉『バカ』。 これ、ナガオカでは使用頻度がバカ高い。バカいい、バカ悪い、バカ速い、バカ 遅い、バカ近い、バカ遠い....。ほとんどあらゆる形容詞についちゃうんじゃない でしょうか。「バカできる」と言われた子は利口なのかバカなのか。以前、『探偵 ナイトスクープ』で、バカアホ分布調査をやっていましたが、ナガオカはもう バカひとすじの地域と言えるでしょう。ちなみに『バカげに』は完璧方言。 「めっぱつできちゃってさー」 副主宰の同僚H嬢が言いました。言われた人々の頭上に飛び交う「?」。 言った当人の顔を見て納得。 「それを言うなら『めっぱち』でしょ! なんで『つ』なのよー!」 「うそー! 『めっぱつ』だよ! 『めっぱち』なんて方言だよ!」 ・・・どっちも方言ですね。関東では『ものもらい』、関西では『めばちこ』。 あれ?これじゃ全部方言ですね。『ものもらい』が一応メジャーでしょうか。 正式名称は『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』だそうです。何で麦? 上京して不思議だったことシリーズ。 味付けが塩辛いことをナガオカでは『しょっぱい』と言いますね。「そ、それも 方言かよ!」と思ったかた、ご安心を。『しょっぱい』はもとより多少ナマって 『しょっぺ』とかになっても問題なく通じます。ただ、東京の人、「しょっぱい」 とあんまり言わない。ガマン強いわけではなく、そういうとき『カラい』と言う のです。私のファーストインパクトは、大学の学食で友達が何気なく言った「この お味噌汁、カラい」でした。いったい何が入ってるんだろうと思いましたねー。
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