使いこなそう!弥生会計---経営分析編---


経営安全性の判定

何はともあれ損益分岐点売上高の求め方が解らなければ始まりません。求める数式は、いたって簡単です。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 − (変動費 ÷ 売上高))

さて、「固定費」って何。「変動費」って何。「限界利益」って何。です。それぞれ簡単に説明しましょう。


固定費は、売上とか生産とかに関係なくかかる費用です。つまり、売上が「0円」でもかかってしまう費用のことです。変動費は、売上や生産に応じて増減する費用のことです。そして、上記3つの関係は次のようになります。

総費用 = 固定費 + 変動費
限界利益 = 売上高 − 変動費
純利益 = 限界利益 − 固定費

変動比率 = 変動費 ÷ 売上高
限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高
固定比率 = 固定費 ÷ 売上高

ここまで解ると、最初の数式を少し解りやすく変更してみましょう。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
・・・・・・・・・ = 固定費 ÷ 限界利益率


ちょっと路線を外れますが、損益分岐点の利用方法の一部を紹介しましょう。

損益分岐点販売(生産)量 = 固定費 ÷ (販売価格 − (変動費 ÷ 販売(生産)量))

(変動費 ÷ 販売(生産)量)は、単位当りの変動費となり、(販売価格 − (変動費 ÷ 販売(生産)量))は、単位当りの限界利益となります。

必要売上高 = (固定費 + 目標利益額) ÷ 限界利益率

目標の利益額を確保するために必要な売上高を求めます。確定した損益計算書から固定費と限界利益率は導くことができます。目標利益額を与えてあげれば、必要売上高が求められます。

必要売上高 = (固定費 ÷ (限界利益率 − 目標利益率))

目標の利益率に達するために必要な売上高を求めます。確定した損益計算書から固定費と限界利益率は導くことができます。目標利益率を与えれてあげれば、必要売上高が求められます。

予定利益額 = (予定売上高 × 限界利益率) − 固定費

売上高が何%増加すると、利益がどれだけ増えるかを求めます。確定した損益計算書から固定費と限界利益率は導くことができます。予定売上高を与えてあげれば、予定利益額が求められます。予定売上高は、(実際の売上高 × (100 + 増減率 × 100))、例えば売上が7%増加したときの利益額を求めるときの予定売上高は、「(実際の売上高 × (100 + 0.07 × 100))」です。

損益分岐点売上高 = (1 − (変動費 ÷ (売上高 × (1 +− 商品(製品)価格変更率))))

商品や製品の価格を変更した場合の損益分岐点売上高を求めます。確定した損益計算書から固定費、変動費と実際の売上高は導くことができます。商品の販売価格や製品の出荷価格の変更率を与えれば、その変更による損益分岐点売上高が求められます。この損益分岐点売上高とは別に、販売量や出荷量が変わらなければ、予測の売上高や利益を計算することもできます。

損益分岐点比率(不況抵抗力) = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 × 100

上記の数式は次の方法でも求められます。「損益分岐点比率(不況抵抗力) =固定費 ÷ 限界利益 × 100」。確定した損益計算書から固定費、変動費、実際の売上高と限界利益は導くことができます。

経営安全率(安全余裕率) = (売上高 − 損益分岐点売上高) ÷ 売上高 × 100

上記の数式は次の方法でも求められます。「経営安全率(安全余裕率) = 1 − 損益分岐点比率」。つまり、損益分岐点比率の逆です。確定した損益計算書から売上高と損益分岐点売上高は導くことができます。これは、赤字経営までの余裕を表します。


この他にもたくさんありますが、これ以上の紹介は控えましょう。損益分岐点のことが解れば、自分でもそれを応用した数式を探すことができると思います。また、市販されている損益分岐点や経営分析に関する本にもたくさん紹介されています。ここでは、最後に紹介した「経営安全率」を使って、経営安全性を評価します。


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