3年生のかけ算をまちがえる6年生は
特別ではない。
3年生で習う2ケタのかけ算を小学6年生のクラスでやったら、
かなりのこどもが繰り上がりの足し算のところでまちがえていた。
そういう記事が朝日新聞の来年からの完全土日休みの学校週五日制、
新学習指導要領に関連して特集されていました。
小学6年生に限らず中学生でも、それもかなり学校で数学が出来ている生徒でも、
例えば連立方程式や関数の問題を解いていて後は答えは出すだけ、というところまできて、
「あ、このわり算どうやるんだっけ」とか
ケタの多いかけ算を前にして呆然としているなんてことが見受けられます。
筆算の形を書いてやると「あ、そうか」とできるのですが、
小数点がからんできたりすると「あれ?」
こういうことを見ていると、
算数は学年が上がるにつれて難しくなる。
小学校を卒業して中学校に「上がる」んだから「算数」は易しくて「数学」は難しい。
などといういわゆる[常識]にちょいと疑問符を投げかけてみたくなります。
小学校低学年ほど、足し算やかけ算、わり算などの計算の、
もっとも基本的な考え方の部分をやっているわけです。
そして上の学年ではケタが増えたり小数点が出てきたりするけれど、
やっていることは低学年ではじめに習ったことの発展した形にすぎない。
学年が上がって難しくなったからわからなくなるのではない。
「やり方を覚えてできて」はいたけれど
基本がきちんと「わかっていた」わけではないので、
もんだいが複雑になってくるとわけがわからなくなってしまうのです。
特に中学生になって算数が数学になると、5×aを5aとかいて、
「かける」を省略して文字式で表すように式を記号として覚えるので
形だけ覚えていればそれに当てはめて「できる」気になってしまう。
「計算はできるけれど文章題が苦手」という声はよく聞くけれど、
その「計算」が形だけの理解だったから「文章題」で式をつくることができない、
ということも言えるわけなのです。
さて、
来年度から教科書の内容が現在から3割減らされるということが問題になっています。
前回の改正ですでに2割減って子どもの負担は相当少なくなっております。
8掛けしてさらに7掛けなのです。□×0.8×0.7=□×0.56で、
モトからすると、56%になるわけです。
実際教科書を見ていただくとわかりますが、隔週土曜日休みで2割減った段階の
今の小学校の教科書には電卓の絵がついた問題があって、
ちょっとケタの多いかけ算などはピポパ(古いなあ)していいことになっています。
計算に時間を使うより「考える」ことを大事にしよう、
というのはたしかにいいことなのですが、時々でてくる面倒くさい計算が
結構それまでに習った内容のドリルの役目を果たしていたのもまた事実。
また2002年からなくなるものでよく例に出されるのが円周率。
3.14→約3
として計算する、というものですが、
直径3cmの円のまわりの長さは?
3×3=9 答え 約9cm
というかんじになるわけですね。たしかに計算はたいへん楽になりそうですが
どっちが直径でどっちが円周率なのよ、って感じもします。
今までの[約3.14]はたしかにめんどうでした。
でも6年生でちょうどうまいこと3.14をかけたり3.14でわったりする問題が出てくるっていうのも、
答えを出すためにはどうしても3ケタのかけ算やわり算をやらなければいけないという
けっこういい復習の場だったのですな。
それに3.14の問題をやっていて
78×3.14+22×3.14なんて面倒な式になったときに
それぞれかけ算してから足すのではなくて、
(78+22)×3.14とまとめちゃえば100×3.14で簡単になるよ、
なんてくふうしてみたり、
6.28(3.14×2)や
12.56(3.14×4)、
18.84(3.14×6)、
25.12(3.14×8)あたりの数字はよくでてくるので
問題で出てきたとたんに計算しないでもパッと答えが出る子もいて、
その子のうれしそうだったコト。
3.14を約3とするなら、いっそのことはじめから
π(パイ)にしちゃえばいいのに……、と
そういうわけにもいきませんですね。
どうも脱線してすいません。
基本的なかけ算やわり算の筆算、
小数点の計算などは、これからもおりにふれて復習していかなければ、と
思っている次第ではありますが。
脱線ついでに、
「先生、びせいぶつの“び”ってどういう字でしたっけ」
「えー、それは特徴の“徴”の“王”さまのところをルートにかえなさい」
「えーと、え?√???」
「あ、ルートじゃなくてパイだった」
徴→微
「家での学習について」につづく
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