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03変異原としてのDNA塩基類似物質:


塩基誘導体のうち最も強力な突然変異誘発剤として、チミンの誘導体である5−ブロモウラシル(ケト型とエノール型、下図右側参照)がある。下図左側は正常な塩基対を示す。

ケト型5−ブロモウラシル(図中bU1)はチミン(T)相当塩基として振る舞うため、複製の過程で複製鎖(1)に示すように複製鎖DNAに取込まれる。しかし、チミンではないので、相補結合を示す記号(この場合2本の水素結合)は省いた。

5−ブロモウラシルの1位の水素原子は、6位の炭素原子についている酸素原子に結合してエノール型の5−ブロモウラシル(図中bU2)に変化することがある。この場合には、シトシン(C)相当塩基として振る舞うため、複製鎖(2)に示すように複製鎖DNAに取込まれる。しかし、シトシンではないので、相補結合を示す記号(この場合3本の水素結合)は省いた。

複製鎖(1)と複製鎖(2)がそれぞれ鋳型鎖となって、次の複製またはタンパク質合成反応が行われる時、エラーが生じ、変異原性が固定化されるであろう。