08.胃袋で強力な変異原に変化する硝酸塩: 硝酸塩はそれ自身では遺伝的な(発ガン性の)変化を引き起こさないが、細胞内では非常に強力な変異原物質(発ガン因子)であるニトロソアミン類に変化する。硝酸塩は、牛肉の燻製パストラーミ、フランクフルト、ベーコンなどに含まれているそうだ。 硝酸イオンは還元酵素と胃酸の作用で亜硝酸になる。亜硝酸は体内の第2アミンとの反応でニトロソアミン類(1−メチル−ニトロソグアニジンやメチルニトロソウレアなど)になる。ここで、亜硝酸と第2アミンとの反応は、ニトロソアミン類を生成するための典型的有機化学反応の一つである。 反応の流れは以下の通りである。 1−メチル−1−ニトロソグアニジンやメチルニトロソウレアは、02.で述べたアルキル化剤であり、DNA塩基のグアニン(G)の6位の酸素原子をメチル化して、アデニン(正確に言えばアデニン相当)に変えてしまう。 無害と思われていた硝酸塩化合物が、体内の生体反応によって、極めて強力な変異原物質に変身した訳である。 |