ニワトリさん効果


なんせ、寝つくまでがめっぽう長いのだ。
眠いのに寝れないからグズる。
グズってどんどん機嫌が悪くなるから、ますます寝れなくなる。
「寝てる時間より、寝くじ言ってる時間の方が長いじゃないか...」
グズる菜月をひたすら抱っこしながら、かぁしゃんはよく思う。

が、最近、ひょんなことから、菜月を一瞬にして寝かせる方法が見つかったのである。
ノーベル平和賞ものだ。
とは言わないが、ほんと、谷口家の平和に貢献した功績は大きい。
平和賞を差し上げたいくらいである。

が、この平和賞を差し上げたい人というのは、実は人ではなく「ニワトリさん」なのだ。
「ニワトリさん」とは、我が家にあるニワトリさんの形をした目覚まし時計である。
彼(彼女?)は大阪人であり(?)、けっこうど派手な声で鳴く。
時間になると、
「わて、はりきって起こしまっせぇ、コケコッコォ〜、コケコッコォ〜、コケコッコォ〜。」
ひとしきり鳴き、目覚ましを止めると、
「おはようさん。」
と言う。

菜月は、このニワトリさんが大の苦手。
勝手に目覚ましのボタンを押しては、ニワトリさんが鳴き始め、びっくりして、一緒になって菜月が泣く。
そこで、
「ほら、ねんねしないとニワトリさんが鳴くよ。」
と言ってみたら、なんと、ほんとにねんねするようになった。
これを谷口家では「ニワトリさん効果」と呼んでいる。


谷口家に平和をもたらせた
ニワトリさん


菜月は、この「ニワトリさん」以外にも、
「わんわんわん。」
と鳴きながら歩き、くるっと一回転する犬のおもちゃ「スーパーウルトラわんちゃん」や、ボタンを押すと、救急車やパトカーの音が流れる「車の本」も苦手だ。
どうやら、「唐突すぎる動き」と「けたたましさ」に弱いらしい。
わけのわからないところから、「音」が出るのが苦手らしいのだ。

ボタンを押すと音が出る本。
つい最近までは、その本がそこにあるばっかりに、その近くにある絵本さえも取りにいけないくらいだったのだ。
その車の本を見ては、
「ないない、ないない。」
遠くからそう言って立ちすくんでいた。
菜月的には、
「どこかにいってちょーだい。」
というところであろうか(^^ゞ

その恐がり方がおかしくて、時々、その本で音を鳴らしては、からかっていたのだけれど、そんなことを毎日やっているうちに、最近ではすっかり慣れてしまって、今やその本が大のお気に入りになってしまった。
「もっとやって、もっとやって。」
と言わんばかりに、その本を持っては、うろうろしている。

やはり、隠しカードは、ここぞ一発という時に使わなければいけない。
「ニワトリさん効果」もしかり。
多用は禁物、である。

しかも、ニワトリさんといえど、さすがに眠くない時には効果はない。
よくよく遊ばせて、もうそろそろ眠そうかな、という時を見計らって使用しないと意味がないのだ。
適切な使用方法が求めれる。


「スーパーウルトラわんちゃん」は
この頃から苦手でした...


(生後9ヶ月)



今や車の本が大好き!

(1歳6ヶ月)



が、いったん、ニワトリさんが鳴くや、その効果は絶大であり...ほんとにころっと寝る。
今までの寝くじはいったい何だったんだ、というくらい、ころっと寝る。
「ほら、ねんねしないとニワトリさんが鳴くよ。」
そう言って、ニワトリさんを何回か鳴かせるだけで、ものの数分で寝息をたてて寝始める。
不思議なくらいだ。


ニワトリさんににらまれると、
こんな形でも寝れます。


(1歳6ヶ月)


そして、かぁしゃんは、ちゃんと悪知恵も働かす。
「ニワトリさん効果を使う時」は、添い寝しながら、右手で目覚ましのボタンを押し、
「わて、はりきって起こしまっせぇ、コケコッコォ〜、コケコッコォ〜、コケコッコォ〜。」
ニワトリさんをひとしきり鳴かせながら、左手では、なっちゃんの頭を自分の胸に押し当てて
「大丈夫、大丈夫、かぁさんがついてるからね。なっちゃんが寝たら、ニワトリさんも鳴かないよ。」
と、菜月の耳元でささやき(演出効果なのだ)、自分は、ニワトリさんから菜月を守る「正義の味方」を演じていたりする。
実にずるい。

その横で、とーしゃんは、と言うと...
ちょっと「ニワトリさん効果」の効き目が薄そうな時、菜月の枕元に、
「はい、一応、これも置いとくね。」
だめおしの「スーパーウルトラわんちゃん」を並べていく。
なかなかの念の押しようである。
菜月は、というと...枕元に「ニワトリさん」と「スーパーウルトラわんちゃん」を並べられ、蛇ににらまれたカエル状態。
一生懸命、目を閉じて、一生懸命寝ようと努力する。
なかなか、けなげだ(^^ゞ


今の菜月にとって「ニワトリさん」と言う言葉ほど効果のある言葉はない。
部屋にいても、ニワトリさんの目覚まし時計が視界に入るだけで
「なん、なん。」(何?何?)
と遠巻きにニワトリさんを指さして立ちすくむ。
が、
「ああ、ニワトリさん?ニワトリさんは朝は鳴かないから大丈夫よ。」
かぁしゃんは、さらっと調子のいいことを言ってごまかしていたりする。
(怖がってくれるのは、寝る時だけでよいのだ)


そういえば、先日も...
公園の時計塔には、そのてっぺんの高いところに「風見鶏」があるんだけど、風にゆらゆらするその風見鶏を見あげて、
「なん、なん。」
と不思議そうに聞く菜月に、何も考えずに
「ああ、ニワトリさんがいるねぇ。」
と言ってしまった。
風見鶏を指さしたまま、立ちすくむ菜月。
たぶん、
「え、あれもニワトリさん?」
菜月の頭は混乱したに違いない。

それからも、公園に行くたび、やたら上を見上げては、
「なん、なん。」
指さし続ける菜月。
「かぁしゃん、あんなところにもニワトリさんいるけどほんとに大丈夫なの?」
菜月的には、そんなところだろうか?
(いやいや、だから、怖がってくれるのは、寝る時だけでよいのだ)


風見鶏を指さして「なん、なん」

(1歳6ヶ月)


しかし、ここまで効果絶大であると、さすがに、少し後ろめたいめたいものがある(^^ゞ
「はたして、ほんとにこんな寝かせ方をしてよいのだろうか?」
と。
...が、菜月が、これですこやかに眠りにつけるかどうかは別として、私たちが、実にすこやかであるのは確かだ。
とにかく、寝かせるまでがたいへんな重労働の菜月。
寝かせるのに時間がかからない。これほどありがたいことはない。

そこで、公園でその話をしたら、
「それだったら、うちはオバケ効果を使ってる。ほら、オバケが来るよぉ〜って。」
「うちは、カミナリさん。ほら、今、そこの影からカミナリさんが見てたって。」
どうやら、みんな、いろんな隠しカードを持っているらしいことが判明し、
「な〜んだ。いいんじゃん、いいんじゃん。」
いとも簡単に開き直ったりしている今日この頃。

菜月、1歳と6ヶ月。
「ニワトリさん効果」に期待する日々。
菜月が、車の本のように、
「ニワトリさんなんて、実はぜんぜんこわくないんだ。」
ということに気づくのはいつの日だろうか?
って、そう遠い日ではないよなぁ、たぶん...(^^ゞ


少しニワトリさんにも慣れてきた
今日この頃


(1歳6ヶ月)