新語


菜月、2歳0ヶ月。
日本語もかなり上達してきた。
最近では、歌さえ歌うようになってきた。
(音程がないので、歌だと気づかれないことが多いのだけれど...)
『お時計さん』(という名前かどうかは知らないが)の歌なんてお手のものだ。
「こちこちこっちん、おとけいさん。こちこちこっちんうごいてるー。おーとなが針がー、こーどもが針がー。こんにちは。さよーらな。こちこちこっちん、さよーらな!」
ちと「助詞」の使い方に誤りはあるが、ま、とりあえず、それらしい形にはまとまっている。


これは「いえぇ〜い」のつもりなのだ


(1歳11ヶ月)


ところで、菜月は、なぜか「さよなら」が「さよらな」になってしまうのだけれど...
そういえば、他にも
「おてだま」は「おてまだ」
「どらやき」は「どやらき」
「もりのなか」は「もりのかな」
なんでかうまい具合にひっくり返ってしまう(^^;;;
ちなみに「ゆきだるま」は「ゆきまだ」と言う。ちょっとわからない(^^;;;

そして、もっとわからないのは「ウルトラマン」は「ゆーとまらん」と言う。
ここまでくると、かなり難度も高い。
24時間一緒に生活している私でさえ、これは、解読できるまでにかなりの日数を要した。


かっちゃんのこの姿を見て

ウルトラマンを覚えた菜月



中には、いまだ解読されないものもある。
「んも」
サイコロの形をした消しゴムを見つけて菜月が言ったのだ。
「これは、んもだねぇ。」
と、自信まんまんに。
「んも」っていったい...「ん」からはじまる日本語って...(^^;;;
「おいも?」
と聞き直すと、
「おいもぉ?」
不思議そうに聞き返す菜月の顔を見ると、「んも」は「おいも」ではないらしいのだけれど...
「んも」っていったい...
いまだ、誰もその「んも」のなんたるかが解明できない今日この頃。


ところで、
「それはさわっちゃダメよ。熱いからね。」
「それは置いといて。壊れちゃうからね。」
私がそういう言い方をするせいか、最近の菜月は「だからね」に凝っている。
なんでも理由をつけてしまう。
「だめ、だめ。」
と言うと、
「あついからね。」
と菜月が続ける。
「お茶飲むぅ。」
と言うので、
「だめ、だめ。」
と言うと、
「べーべーするからね。」(おもしろがって、お茶を口からべーべー吐き出す)
と言う。
ちゃんと私の言いたいことを先に言ってくれる。
よくわかってるじゃーないか、菜月( ̄▽ ̄)


でも、
「これ、とって。」
と、フォークの絵柄のクマさんを取ろうとするので、
「それは無理よ。」
と言ったら、
「クマさんだからね。」
自信満々に言う。
いや、別に「クマさん」だから取れないわけではないのだけれど...(^^;;;
でも、とりあえず、理由がついて、菜月はなんだか1人納得しちゃってるのだ。

滑り台の柱のところに立ち、
「ここあがるぅ。」
と言うので、
「それは無理よ。」
と言ったら、
「しろだからね。」
自信満々に言う。
いや、別に「色」は関係ないのだけれど...(^^;;;


ここは「しろ」じゃないから登れるのだぁ

(2歳0ヶ月)


そんな調子で、菜月は「新語」もたくさん作る。
「行ったもでしょう。」
これは、「行ったでしょう」と「行ったもんね」が一緒になっちゃったものらしいのだけれど、何の躊躇もなく使う。
自信を持って使う。
だから、なおさらおかしい(^O^)

「もうはじまってるかもしら。」
これは、「もうはじまってるかも」と「もうはじまってるかしら」が一緒になっちゃったものらしいのだけれど...これもまた、すっかり日常生活に定着してしまっている。
「『いないいないばぁ』始まっちゃってるかもしら。」
「とーさん、帰ってくるかもしら。」
何の躊躇もなく使う。
自信を持って使う。
おかげで、
「なっちゃん、明日は晴れるかもしら?」
谷口家でも「かもしら」がまん延する今日この頃。


「いっしょとおなじだねぇ。」
というのもある。
これは、
「あ、これ、一緒だねぇ。」
と菜月がよく言うので、
「そうだね。おんなじだねぇ。」
と私が答えていたら、いつの間にか
「これ、いっしょとおなじだねぇ。」
と、まぁ、そんなことになってしまったのだ(^^;;;

そういえば、4歳の寧々ちゃんが、公園の帰り、私に
「じゃ、またこんどあしたね。」
と言って帰っていったっけ。
子供は、みんな「新語」を作り出す名人なのかもしれない。


「新語」製造機の子供たち


「おはな、かわいかってみた。」
パンジーをなでなでしながら言う菜月。
「そう、お花、かわいがってみたの?」
なかなかほほえましい会話だったのだけれど...
「かってみた」
どうも、こいつもあやしい(^^;;;
たとえば
「痛かってみた」
「甘かってみた」
「こわかってみた」
なんでも、最後に「かってみた」がつく。
もう少し高度なやつになると
「ぬげたげてみた」
なんていうのもある。
つまり、「ぬがしてあげた」ということなんだけれど、なんだかまわりくどい(^^;;;
確かにいわんとしていることはわかる。
だけど、菜月、どう考えてみても、やはり、日本語が崩壊しているぞ。


やぎさん、「かわいかって」みた

(2歳0ヶ月)


が、何の疑いもない菜月しゃん。
言葉を覚えると、もうおしゃべりは止まらない。
「今日は晴れたもでしょう、ロビン?」
ロビンにだって、まずはお天気の話から入ったりする。

そして、
「おかあさんに、せっかくに、つくったに。」
(おかあさんがせっかく作ったのに)
今日も「新語」を製造し続ける。

菜月、2歳と0ヶ月。
菜月のおしゃべりは止まらない。


「今日は晴れたもでしょう、ロビン?」

(2歳0ヶ月)