役割


菜月、2歳と6ヶ月。
だいぶスプーンも上手に使えるようになったとはいえ、こぼしたり、すくえないと怒ったり、お茶がほしいだの、あれがいるだの...
食事には、なかなか手がかかる。
よっぽど菜月がおなかをすかせていないかぎり、菜月の食事の時間はみんなと一緒なのだけど...
となると、菜月のご飯の相手に追われて、どうしても、自分の食事は後回しになることが多い。

なのに、菜月はというと...
自分がご飯を食べて、おなかいっぱいになるやいなや、さっさとイスから降りて
「かぁさん、何して遊ぼうか?」
まだ、私は食べてないっちゅうねん!

そして、これまた、さっさと自分だけご飯を食べたとーしゃんは、私のお皿を見て
「あれ、民さん、そんなにたくさん残すの?」
これから食べるっちゅうねん!
だれにも気遣ってもらえなかったりするのだ(^^ゞ


この5秒後、

お弁当箱をひっくり返した菜月


(2歳6ヶ月


生後2ヶ月。
夜中、火がついたように泣き出すと、お乳をあげても、ミルクを飲ませても、泣き止まず、いったい何を要求しているんだか、どうしていいのかわからず、抱いたり、お乳をあげてみたり、ほ乳ビンをくわえさせてみたりだったあの頃。
眠くて眠くて死にそうな顔でお乳をあげていた時、とーしゃんが言ったのだ。
「お乳じゃなかったら、オレが替わってあげられるのに。」
と。
その言葉は、少なからず感動的な言葉であり、この人は、なんてやさしい人だろうと思ったものだ。

が、あれから、2年。
菜月もすっかりお乳を卒業し、1日3回、大人と同じものを食べれるようになり、ようやく、父の出番になった今。
「お乳じゃなかったら、オレが替わってあげられるのに。」
あの言葉は、いったいどこへ(・_・?


とーしゃん、菜月にミルクをやる、の図

(生後2ヶ月)


2年半たった今や、菜月の世話は、すっかり安心して、私にまかせているらしいとーしゃん。
菜月が妙な顔で、どうでもきばっているらしいのを見ると、目をそらして、なんだか、わけもなく忙しそうなのだ( ̄▽ ̄)
うんちは、いまだに苦手。

そして、菜月の歯が生えてから2年近くになろうとしているのだけれど...
いまだ、歯磨きひとつしてくれたことはない。
(教育の賜物で、最近、やっとしてくれるようになった)
もしかしたら、菜月が、毎日、歯磨きをしていることすら気づいているのかどうか、あやしいものだ。

というわけで、親知らずが痛み、歯医者に行ったとーしゃん。
帰ってくるなり、
「歯医者で歯磨きの仕方が悪いって言われちゃったよ。」
そして、菜月の口をのぞきこんで
「あ、でも、なっちゃんも、こうしてみると、やっぱり、歯に食べかすが残っとるよなぁ。」
何の躊躇もなく、何の悪気もなく、かぁしゃんの逆鱗に触れるようなことを言うのだった。
ちゃんと口を開けさせ、機嫌よく歯磨きをさせてくれるようになる。
簡単なことのように思えるけれど、歌を歌ってみたり、笑わせてみたり、時には怒ったり、すかしたりしながら、ここまでくるのに、どれだけ長い道のりだったか、そんなことは、とーしゃんは知るよしもない。


菜月が生まれてから2年半。
3人は、同じ日々を暮らしてきたはずなんだけど...
男の人というのは、1日の大半を会社で過ごしていて、直接、子供の世話をすることが少ないせいか、生まれた時には、わからないことだらけで似たようなものだった、子供の世話に関しては、とーしゃんとかぁしゃんの間には、いつの間にか、明らかに開きが出きてしまうのだ。
それは仕方がないことだとわかっているけれど...

おふろに入れてくれた時には、歯磨きもついでにしてほしいなぁ、とか...
自分がご飯食べた後は、菜月のご飯も手伝ってやってほしいなぁ、とか...
時には、トイレに連れていってやってよぉ、とか...
ご飯作ってる時くらい、ちゃんと相手してやってよぉ、とか...
思うところはたくさんある。


とーしゃん、はじめての歯磨き

(2歳5ヶ月



ところが、とーしゃんには、そんなかぁしゃんのやきもきなんてわからない。
うんちが替えれない...
服がどこにあるかわからない...
たまーに絵本を読んでやろうとすると、
「もう終わりにする。」
と菜月に宣言され、寝させようとすると、
「かぁさんとねんねするんだからぁ。」
と菜月に抵抗されようとも、
「オレはけっこうめんどうみとるでぇ。」
自信まんまんだ( ̄▽ ̄)


「オレはけっこうめんどうみとるでぇ」

(2歳1ヶ月


そんなとーしゃんには、ずいぶん「記憶違い」も多い。
この間も、
「でも、なっちゃんも、おふろ入れるの楽になったよぉ。赤ちゃんをおふろに入れるのってたいへんだもんね。最初は、1人で座ってられんじゃん。自分が体洗う間、そこに置いとくわけにもいかんし、ずっとかかえとかんといかんし、一緒に入って、一緒に出んといけんもんね。迎えに来てくれる人がおらんと、1人でぜんぶやるのは、たいへんよぉ。」
そういう話をしていたら、とーしゃんが言うのだ。
「そういえば、俺が遅かった時が1回あって、民さん、おふろ入れるの、たいへんだったって言ってたもんな。」
(1回って、いつの1回?)

「え、いつ?まだ神奈川におった時?」
「そうそう、いつか、おれが遅くなった時が1回あって...」
(え、で、1回って、いつの1回?)

どうやら、広島に帰ってくるまでの6ヶ月の間、とーしゃんは、毎日自分が菜月をおふろにつけていたと記憶していたらしく...
かぁしゃんの記憶では、会社が休みの週末を入れても、とーしゃんが菜月をおふろに入れてくれたのは、週の半分だったという記憶なのだが...
あぁ、おそろし、おそろし。


週末は、とーしゃんとおふろに入るのだ

(生後10ヶ月



(2歳1ヶ月


「今は、でも、夜もあんまり起きなくなったもんねぇ。」
という話をしていた時も、
「そうよな、お乳やめたら、ぴたっと夜寝るようになったもんな。」
と、自信まんまんで言うとーしゃん。
たしかに、お乳をやめてから、ほどなくして、夜中、お乳を求めて2回も3回も起きていた菜月が、あまり起きずに朝まで寝てくれるようになったのは確かだ。
でも、それは、けして「お乳をやめた瞬間、ピタッと」とではなく...
お乳を卒業しても、なかなか食事のリズムができなくて、夜中の2時に起こされて、おにぎりを作って食べさせたり、お茶をついできて飲ませたり...
そんな気の遠くなるようなことが、日々繰り返されたという記憶は、父親にはないらしい。
あぁ、おそろし、おそろし。



のんきな2人

(2歳4ヶ月)



やっぱり、のんきな2人

(2歳5ヶ月)


でも、このへんで、そろそろ、とーしゃんの擁護もするならば...
とーしゃんは、週末になると、いつも車でどこかに連れて行ってくれる。
ちょっと遠くの公園、花見、海、川、いたるところだ。
この2年間で、実にいろんなところに行った。
遠出は無理にしても、広島市近郊の幼児を遊ばせられるようなところには、だいたい行ったことがあると思う。
私たちは、晴れていれば、ほとんど毎週末のように、菜月を連れて、車でおでかけする。
ペーパードライバー暦およそ10年を自負するかぁしゃんでは、遠出はできず...
毎週末のように車で出かけるのを、とても楽しみにしている菜月。

とーしゃんは外で仕事をし、かぁしゃんはうちで育児と家事に励む。
かぁしゃんには、かぁしゃんのできることがあり、とーしゃんには、とーしゃんにしかできないことがあるのだ。
母親には母親の役割が、そして、父親には父親の役割があるのだと思う。


今年は暑かったぁ〜



ひまわり畑にも行きました

(2歳3ヶ月


おふろに入れてくれた時には、歯磨きもついでにしてほしいなぁ、とか...
自分がご飯食べた後は、菜月のご飯も手伝ってやってほしいなぁ、とか...
時には、トイレに連れていってやってよぉ、とか...
ご飯作ってる時くらい、ちゃんと相手してやってよぉ、とか...
思うところはたくさんある。
思うところはあるけれど...

菜月、2歳と6ヶ月。
でっかいとーしゃんの背中と、ちっちゃな菜月の背中が、並んで歩いている姿を後ろから見ていると、ま、いいか、と思うのだ。


とーしゃんと一緒に、らんらんらん♪

(2歳5ヶ月)