男の子 女の子


幼稚園の保護者会でのこと。
「みれいちゃんは、けんちゃんと結婚するの。」
幼稚園の子供同士で、そんなことを言っているんだって、という話が出た。
「『え、けんちゃんってどの子?どの子?』って親も、そういうの半分楽しんだりしてね。」
という話を聞いて、そうか、幼稚園に入ると、もう、そんなことまで言うようになるんだと思い、帰って、菜月にさりげなく聞いてみたのだ。
「ねぇ、なっちゃんは、『男の子』は誰と仲良しなの?」
と。
菜月は、その質問に、
「みれいちゃん!」
何の躊躇もなく、元気に答えるのだった。
「.....」

「みれいちゃんは、ほら、女の子でしょ?」
と言うと、菜月は、
「あ、そっか、そっか。」
と言いつつ、今度は、
「ななほちゃん...かな?」
ちょっと躊躇して答えた。

菜月、当時、4歳10ヶ月。
「男の子」と「女の子」という区別は、彼女の中にはないらしいことが判明した瞬間だった(^^ゞ


幼稚園での様子

(菜月、4歳7ヶ月)


幼稚園で菜月のクラス担任の田中先生が結婚された。
その日、幼稚園バスから降りるなり、年長さんの真由ちゃんとくみちゃんは
「ねぇねぇ、田中先生、名前が変わったんよぉ。」
と、真っ先に報告してくれ、大騒ぎ。
「名前がかわった?え、じゃぁ、先生結婚されたんかな?」
親も大騒ぎだったのだけれど、菜月に聞いても、首をひねる。
そう、菜月には、『結婚』というのがまだよくわからない(^^ゞ
そこで、
「なっちゃん、田中先生、なんて名前になったって言ってた?」
と聞くと、
「たなか またか先生になった。」
菜月が答えた。
「.....」
え、名前が変ったって、名字じゃなくて、ほんとに名前が変ったのか?!
謎を深める出来事だったが、その後、幼稚園からもらってきたお知らせを見てみたら、「たなか ゆみか」先生は、結婚されて、「またか ゆみか」先生となられたことが判明した。

菜月には、『結婚』というのが何かわからない(^^ゞ
ましてや、結婚したら、『名字』が変るなんてことはわかるはずもない。
菜月にとって、田中先生は、田中先生なのであり...
その後も、当分、先生は、「たなか またか」先生だと信じて疑わなかったのだった(^^ゞ


先生との送別会

(菜月、4歳11ヶ月)



『結婚』って何だかよくわからない。
けれど、結婚すると名前が変わるということは、菜月にとって、けっこう衝撃的なことであったらしい。
「なっちゃんは、結婚したら、なんてお名前にしようかなぁ。」
と、ある日、楽しそうに言うのだった。
そんなこと、今、菜月が自分で決められることではないなんて、もちろんわかるはずもなく...(^^ゞ

おもむろに
「なっちゃん、今度は、『たにぐち はるこ』にしようかなぁ。」
うれしそうに言うのだった。
何を隠そう、『谷口 春子』は、おばあちゃんの名前であり...
「なっちゃんが『たにぐち はるこ』にしたら、おばあちゃんと一緒になるやん。」
とつっこんでみたら、
「いいじゃん。おばあちゃんは、結婚して、また名前が変わればいいんだから。」
と言うのだった。
おばあちゃんは、すでに結婚しているのだとは思ってもみなかったらしく...(^^ゞ
しかも、結婚して変わるのは、名前の「菜月」ではなく、姓の「谷口」のほうだということも、やはりよくわかってないのだった(^^ゞ


おばあちゃんにかわって、

「谷口春子」になるつもりの菜月

(菜月、4歳11ヶ月)



その菜月に、
「結婚はね、男の人と女の人がするんだよ。」
と教えてやったのだけれど、
「ねぇ、かぁさん、じゃぁ、なっちゃんは、『男の子』?」
思いもよらない返事が返ってくるのだった。
「結婚はね、男の人と女の人がするんだよ。」
そう教える以前に、実は、もっと基本的なところから教えてやらないといけなかったらしい。

そこで、
「なっちゃんは、『女の子』よ。」
と教えてやると、
「かぁさんは?」
と聞く。
「女の子。」

「じゃぁ、おばあちゃんは?」
「女の子。」
「女の子...かぁ。」

納得しているようなしてないような顔で、菜月はうなずいていたのだけれど、
「じゃぁ、お姉ちゃんは?」
と聞くので、
「女の子よ。」
と答えたら、
「え、なんで?」

「なんで?」....なんで、と言われても、かぁさんにも、それはなんでかはわからない(^^ゞ


そんな菜月も、そうは言っても、みんなが同じではない、ということには、気づいている。

かぁさんと、菜月、貴裕、3人でおふろに入っていた時のこと。
いきなり、貴裕のおちんちんを手にとったと思ったら、自分の股をのぞきこんで、
「貴裕君は、おちんちんがついてる。かぁさんは、おひげがついてる。なっちゃんだけ、何もない...」
寂しそうに言った(^^ゞ


なっちゃんには何もなーい!

(菜月、4歳8ヶ月
 貴裕、1歳7ヶ月)

ま、寂しそうに言うだけだったらいいのだけれど、かぁさんが病気でダウンし、おじいちゃんにおふろに入れてもらった時には、
「おじいちゃん、お母さんも、ここにおひげがついてるの。おじいちゃんと一緒だよ。」
報告も忘れなかった。
一言多いっちゅうに(^^ゞ

菜月、5歳1ヶ月。
みんなが同じではない、ということには、気づいてはいるのだけれど...
それが、『男』と『女』の違いとはわからないらしい今日この頃。


そういえば、先日、世羅の実家に帰った時のこと。
いつも、世羅に帰ると、1歳上のいとこの拓ちゃんも一緒におふろに入るのだけれど...
みんなで湯船につかっていた時。
「おばちゃん、ちょっと待って!ねぇ、ちょっと待って。」
突然、拓ちゃんが、菜月の股をのぞきこむように見ると
「ねぇ、なっちゃん、おちんちんがないね。」
と不思議そうに言うのだ。
1歳上の拓ちゃんも、まだ、男の子、女の子はわからないのかなと思い、
「拓ちゃん、女の子にはねぇ、おちんちんはないんよ。」
と言うと、
「それは知ってるけど...」
と言う。
「それは知ってた?」
と聞くと、
「それは知ってるけど...子供の女の子には、あるのかなぁと、ちょっと思って。」
不思議そうにそう言うのだった。

拓ちゃん、6歳1ヶ月。
みんなが同じではない、ということは、しっかりわかっていただけれど...
それは、『大人』と『子供』の違いだと思っていたらしい今日この頃。


なっちゃんは「女の子」

拓ちゃんは「男の子」


(菜月、2歳11ヶ月)


菜月の着ているキティちゃんの服を見て、あーあー言う貴裕に、
「貴裕君も、大きくなって『おねえちゃん』になったら、キティちゃんの服着れるからね。」
と、貴裕をなだめる菜月。

「なっちゃん、誕生日のプレゼント、自転車なんてどう?」
聞いてみると、
「う〜ん、自転車買ってもらったら、お父さんみたいに、会社に行かないといけなくなるから、なっちゃん、いらない。自転車はねぇ、なっちゃんが『お父さん』になってからでいいや。」
元気に答える菜月。

そして、
「かぁさん、みずきちゃんちの『弟』はねぇ、えみちゃんって言うんだって。」
今日も、幼稚園から帰ってくると、そうお話してくれる菜月。


かぁさんの口紅で

お化粧してみました。

(菜月、4歳8ヶ月)


菜月、5歳1ヶ月。
なんとなく、『男の子』『女の子』がわかってきたかなぁ思う時もあるけれど...
貴裕は、たぶん、『お姉ちゃん』にはなれないし...
菜月も、たぶん、『お父さん』にはなれない。
えみちゃんは、みずきちゃんの『弟』ではなく『妹』なのだ、と。
そんな難しいことまでは、まだわからないと思われる今日この頃。


性別は違っても、同じ顔

(菜月、5歳0ヶ月

貴裕、1歳11ヶ月)