債権法改正 要綱仮案 情報整理

第18 保証債務

2 主たる債務者の有する抗弁等
(1) 主たる債務者の有する抗弁

 保証人が主たる債務者の有する抗弁をもって対抗することの可否について、次のような規律を設けるものとする。
 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。

中間試案

2 主たる債務者の有する抗弁(民法第457条第2項関係)
 民法第457条第2項の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 保証人は,主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができるものとする。

(概要)

 主たる債務者が債権者に対して抗弁権を有している場合について,主たる債務者の相殺のみを定めている民法第457条第2項を改め,類似の状況を規律する会社法第581条の表現を参考にして,規律の明確化を図るものである。
 本文(1)は,主たる債務者が債権者に対して抗弁権を有している場合全般を対象として,一般的な理解(最判昭和40年9月21日民集19巻6号1542頁参照)を明文化するものであり,会社法第581条第1項に相当する。

赫メモ

 中間試案2(1)と同じである(中間試案概要の該当部分、参照)。

現行法

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第457条 …
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり

【主債務の支払確保のために手形が振り出されていた場合,保証人は保証債務の履行に際して,手形との引換給付判決を求めることができる】最高裁昭和40年9月21日・民集19巻6号1542頁
 BがAからの借入れの支払確保のために手形を振り出していたところ,Aから保証人Cに対する保証債務の履行請求に対して,原審は,手形との引換給付判決をしなかった。
 保証の責に任じた保証人が,主債務者に対し求償権又は代位弁済により取得する権利を行使する場合には,主債務者は,自らが債務を弁済した場合に比してより不利益な状態において,すなわち,手形による二重払の危険を残しながら保証人の請求に応ずべき理由はないものと考えられるから,保証人に対しても,手形と引換えにのみその請求に応ずべき旨の抗弁をなしうるものと解されるので,もし保証人が債権者に対し引換給付の抗弁をなしえないものとするならば,保証人は主債務者に比してきわめて不利な状態において保証債務を履行する責に任じなければならない結果となるからである。そうすると,保証人は自己の求償権または代位弁済により取得する権利を行使する必要上,債権者に対し上記抗弁をなしうるものであり,しかも,自己に対する手形の交付を債権者に主張しうるものと解しなければならない。