債権法改正 要綱仮案 情報整理

第18 保証債務

2 主たる債務者の有する抗弁等
(2) 主たる債務者の有する相殺権、取消権又は解除権(民法第457条第2項関係)

 民法第457条第2項の規律を次のように改めるものとする。
 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者が主たる債務の履行を免れる限度で、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

中間試案

2 主たる債務者の有する抗弁(民法第457条第2項関係)
 民法第457条第2項の規律を次のように改めるものとする。
 (2) 主たる債務者が債権者に対して相殺権,取消権又は解除権を有するときは,これらの権利の行使によって主たる債務者が主たる債務の履行を免れる限度で,保証人は,債権者に対して債務の履行を拒むことができるものとする。

(概要)

 主たる債務者が債権者に対して抗弁権を有している場合について,主たる債務者の相殺のみを定めている民法第457条第2項を改め,類似の状況を規律する会社法第581条の表現を参考にして,規律の明確化を図るものである。

 本文(2)は,主たる債務者が債権者に対して相殺権を有する場合のほか,取消権又は解除権を有する場合に関する近時の一般的な理解を明文化するものであり,会社法第581条第2項に相当する。

赫メモ

 中間試案2(2)と同じである(中間試案概要の該当部分、参照)。

現行法

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第457条 …
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

斉藤芳朗弁護士判例早分かり

【物上保証人は,債務者が抵当権者に対して有する債権と被担保債権を相殺することができるとされた事例】大阪高裁昭和56年6月23日判決・判時1023号65頁
 BがAに対して負担する債務αについてCが物上保証していたところ,BもAに対して債権を有していたため,Cが債務αとBのAに対する債権を相殺する旨の意思表示をした(Bは行方不明となっている)。
 民法457条2項の類推適用により,物上保証人は被担保債権を消滅される限度で,被担保債権の債務者が抵当権者に有する債権を自働債権として自ら相殺することができる。