債権法改正 要綱仮案 情報整理

第18 保証債務

6 保証人保護の方策の拡充
(3) 保証人の請求による主たる債務の履行状況に関する情報提供義務

 請求による履行状況の情報提供義務について、次のような規律を設けるものとする。
 債権者は、委託を受けた保証人から請求があったときは、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち履行期限が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

中間試案

6 保証人保護の方策の拡充
 (3) 主たる債務の履行状況に関する情報提供義務
   事業者である債権者が,個人を保証人とする保証契約を締結した場合には,保証人に対し,以下のような説明義務を負うものとし,債権者がこれを怠ったときは,その義務を怠っている間に発生した遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができないものとするかどうかについて,引き続き検討する。
  ア 債権者は,保証人から照会があったときは,保証人に対し,遅滞なく主たる債務の残額[その他の履行の状況]を通知しなければならないものとする。
  イ 債権者は,主たる債務の履行が遅延したときは,保証人に対し,遅滞なくその事実を通知しなければならないものとする。

(概要)

 主債務についての期限の利益の喪失を回避する機会を保証人に付与するために,主債務者の返済状況を保証人に通知することを債権者に義務付ける等の方策について,引き続き検討すべき課題として取り上げたものである。前記(1)の検討結果を踏まえた上で,主たる債務者の履行状況などに関して説明すべき要件とその具体的内容等について,更に検討を進める必要がある。

赫メモ

 主債務者が主債務について債務不履行に陥ったが、保証人が長期間にわたってそのことを知らず、保証人が請求を受ける時点では遅延損害金が積み重なって多額の履行を求められるという酷な結果になる場合があることが指摘されている。そのため、主債務の履行状況について保証人が知る手段を設ける必要がある。
 また、債権者の側からも、金融機関が守秘義務を負うことを考慮すると、保証人からの照会に対して回答することが許されるかどうか判断に迷う場合があるとの指摘があり、保証人から照会があった場合に債権者が採るべき行為に関する規律を設ける必要がある。
 そこで要綱仮案は、委託を受けた保証人が請求したときは、債権者は、主債務者による債務不履行の有無や債務の残額などについて情報提供しなければならない旨の規定を設けるものである。なお、債務不履行の有無や主債務の額などは主債務者の信用などに関する情報であるから、主債務者の委託を受けていない者に情報を提供するのは相当でないとして、規律の対象は委託を受けた保証人に限定された(以上につき、部会資料76A、11頁)。

現行法


斉藤芳朗弁護士判例早分かり