債権法改正 要綱仮案 情報整理

第18 保証債務

6 保証人保護の方策の拡充
(4) 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務について、次のような規律を設けるものとする。
ア 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、主たる債務者がその利益を喪失したときは、債権者は、保証人(法人を除く。)に対し、主たる債務者がその利益を喪失したことを知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
イ 債権者は、アの通知をしなかったときは、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時からその旨の通知をした時までに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生じていたものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

中間試案

6 保証人保護の方策の拡充
 (3) 主たる債務の履行状況に関する情報提供義務
   事業者である債権者が,個人を保証人とする保証契約を締結した場合には,保証人に対し,以下のような説明義務を負うものとし,債権者がこれを怠ったときは,その義務を怠っている間に発生した遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができないものとするかどうかについて,引き続き検討する。
  ア 債権者は,保証人から照会があったときは,保証人に対し,遅滞なく主たる債務の残額[その他の履行の状況]を通知しなければならないものとする。
  イ 債権者は,主たる債務の履行が遅延したときは,保証人に対し,遅滞なくその事実を通知しなければならないものとする。

(概要)

 主債務についての期限の利益の喪失を回避する機会を保証人に付与するために,主債務者の返済状況を保証人に通知することを債権者に義務付ける等の方策について,引き続き検討すべき課題として取り上げたものである。前記(1)の検討結果を踏まえた上で,主たる債務者の履行状況などに関して説明すべき要件とその具体的内容等について,更に検討を進める必要がある。

赫メモ

 保証人は主債務者の履行状況について必ずしも把握しているわけではないから、主債務について分割払の定めがある場合に、保証人は主債務者が各支払期日に履行をしていると考えていたところ、実は主債務者の期限の利益は失われており、そのことが通知されず、保証人が請求された時点では利率よりも高い割合で計算された遅延損害金が積み重なっているという事態は保証人に酷なものである。そこで、要綱仮案では、主債務者が期限の利益を失ったことを債権者が2か月以内に保証人に通知しなかった場合には、通知の懈怠に対するサンクションとして、主債務者が期限の利益を失った時から通知の時までに生じた遅延損害金を請求することができないこととするものである(部会資料76B、3頁参照)。

現行法


斉藤芳朗弁護士判例早分かり